外出先でのモバイル利用だけでなく、工事不要などの利便性から家庭の固定回線としても、ADSLの代わりにWiMAXを利用する方が増えている。
そのトレンドの背景には、UQ WiMAXの「ファミ得パック」の登場の影響もある。この新しいパックによって、WiMAX回線を同時に2回線利用するコストが大幅に安くなったのだ。
「ファミ得パック」では、通常2回線の契約で7,760円(年間パスポート)のところが、なんと6,360円となるので、1回線をモバイル、もう1回線を家庭の固定回線として使えば、月々のインターネット料金を見直す際の選択肢としてかなり有力だ。 もちろん、モバイル回線のほうをWiMAXモバイルルーターにすれば、ノートPCやスマートフォン、タブレット端末等のインターネット接続をまとめることで、大幅な通信料金の節約に貢献できるだろう。
WiMAXのサービス自体のシンプルさも大きな魅力だ。面倒な工事の必要もなく、機器を購入したときから使える手軽さの評価は非常に高い。これから新生活のシーズンに突入するが、手続きに手間と日数がかかる固定回線を避け、即使い始められるWiMAXは非常に魅力的なサービスである。
こうした状況の変化の中で、NECアクセステクニカのホームWiMAXルーター、「AtermWM3450RN」は、宅内でWiMAXを最大限に活用したいというニーズを強力にサポートする製品として登場した。今回は、その開発・製造元であるNECアクセステクニカの小笠原弘道氏(開発本部)、永井寿彦氏(マーケティング本部販売推進部)、宗像卓実氏(同)らに話をきいてきた。
―ホームルーターとモバイルルーターでは、どこが大きく異なるのでしょうか。
永井WiMAXハイパワー対応や64QAM対応による上り速度向上といった点では、弊社の最新モバイルルーターAtermWM3600Rと違いはありません。そのため、WiMAX電界が弱かった部屋でも安定して通信ができるようになりました。また、WiMAX電界が良い部屋ならアップロードの速度が向上しています。今回のホームWiMAXルーターAtermWM3450RNは、より快適に宅内でWiMAX通信したいすべての方がWiMAXのメリットを感じることのできる性能強化を図っています。
しかしながら、常に身につけるようにして内蔵バッテリで運用されるモバイルルーターと、常時ACアダプタから電源を供給されながら、宅内に設置され、離れた場所で使われるホームルーターでは、Wi-Fi出力パワーの初期値などで違いを出す工夫をしています。
小笠原モバイルルーターは、Wi-Fi端末との通信がせいぜい数十センチ~約1メートルの距離で使われますが、ホームルーターは、Wi-Fi端末との間には壁などがあることも考えられ数メートル以上の通信距離となります。前回記事のAtermWM3600RではWi-Fi出力の初期設定を最小値(12.5%)にしてバッテリーの消費を抑えて長時間使えるようにしていますが、ホームルーターは常に電源を給電してあることもあり、Wi-Fi出力の初期設定も最大値(100%)にして離れた部屋からも安定したWi-Fi通信を楽しめる設定にしています。
また、モバイルルーターが基本的に個人で使用するのに対し、ホームルーターは家族全員が使うことが前提になります。当然お子さんもゲーム機等からインターネットにアクセスするわけで、お子さんを有害コンテンツから守るためにも有害なサイトへのアクセスをブロックする悪質サイトブロック「ファミリースマイル」(オプション機能、別途申し込みが必要)を搭載していますので安心してお使いいただけると思います。
―そのほか、モバイルルーターとの大きな違いは、本体にイーサネット2ポートを装備していることでしょうか。
小笠原そうですね。最近、テレビやレコーダーがブロードバンド対応しているものが増えていますが、固定回線を使ったブロードバンドルータの設置場所が異なることが多く、テレビのところまでケーブルを引き回すのは結構大変なケースが増えています。しかし、WiMAXホームルーターがあれば動かしにくい大型テレビやレコーダーのそばにインターネットへの出入り口を持ってこられるわけで、テレビとレコーダ用にイーサネットが2ポートあれば配線問題も一気に解決できると考えています。今後、こういったニーズが急速に高まってくると思います。
宗像実は、法人の利用も想定していましして、デスクトップパソコンやデジタルサイネージのように有線LANで接続しWiMAX通信をしたいという要望もかなりあります。
例えば、工事現場の仮設事務所やイベント会場などで、一時的に回線が必要になるケースは多く、その場合には、これまではモバイルルーターが利用されることがよくあったのですが、やはり有線LANのみのデバイスもつなげられたほうが法人利用では便利です。
また、法人の場合、セキュリティ等の関係でWi-Fiの電波が出てもらっては困る、ルーターとクライアントの間は有線LANのみ、というケースも少なくないので、AtermWM3450RNは側面にWi-Fiを完全にオフにしてしまうスイッチを備え簡単にWi-Fiを止めることができるようになっています。
今回のWiMAXハイパワーや64QAM対応によって、弱電界への対応や、アップロード速度の向上が実現され、こうした用途でホームWiMAXルーターが利用される場面はますます多くなっていくと考えています。
―外観ではどのような点を意識されましたか。
永井ホームルーターは、毎日持ち歩くものではありません。しかし、少しでも安定した無線環境で使おうと、リビングなど窓際などに置かれて、何かにつけて視野に入ってしまうものですから、かえってデザインは重要であると考えました。
そこで、部屋に据え付けたときの見かけや設置のしやすさ、自由度などを十分に考慮しました。このように斜めに立つところなどは、ちょっとコンパクトでおしゃれでしょう。今回は、女性のデザイナーに参加してもらって、特にフェミニンなイメージに仕上げました。リビングなどの見えるところに置いてあっても違和感なくインテリアに溶け込みます。もちろん壁掛けも可能になっています。壁掛けパーツはフック式になっているので、普段は壁掛けしていて、一時的に別の部屋に持ち出すといったことも可能です。
永井また、家庭で使われることを考慮し、セキュリティをとても意識しました。先ほども話に出ましたが、Atermではお馴染みのファミリースマイルサービスに対応し、お子様のいらっしゃる家庭でも、安心してインターネットを使っていただける環境を提供しています。
―ファミリースマイルというのは、どのようなサービスなのでしょうか。
宗像ネットスター社の家庭向けフィルタリングサービスで、悪質であったり有害だったりするサイトへのアクセスをブロックするものです。製品ご購入後、ルーター1台あたり1980円/年のライセンス契約をしていただくことでご利用いただけます。MacアドレスやIPアドレスでの管理ができますから、各端末を利用されている方の年齢などに応じて、個別にブロックレベルを設定することができます。お子様のいらっしゃる家庭には、このようなサービスは欠かすことができないものと考えます。60日間の無料体験もできますので是非一度お試しください。
―なるほど、やはりホームを強く意識しているということなのですね。
小笠原製品やインターネットそのものを安心して使ってもらえるようにしたいというのがNECグループの願いです。もともとAtermは、家庭用のISDN用のターミナルアダプタ(TA)からスタートして、現在は、家庭用のブロードバンドルーターなども提供していますので、ユーザサポートを強く意識しています。そのため、Aterm製品専用のインフォメーションサービスを備えサポートの充実にも高い評価をいただいています。 当社のWiMAXルータは、日本国内で設計開発、生産・製造をおこなっていますので、国内メーカ製品の安心感をより広く知って感じていただきたいですね。
―ありがとうございました。
(Reported by 山田祥平)