ペットライフ

ペットの「夏バテ」スッキリ解消術
お盆を過ぎてもまだまだ危険!

今年の夏は本当に暑いですね。猛暑日の連続記録を更新、などというニュースを聞くと、ただでさえ暑さでグッタリ気味の身体から、ますます元気が奪われていくような気がします。しかし、夏バテしている暇はありません。人間の夏バテよりももっと危ない「ペットの夏バテ」はいまが真っ盛りだからです。秋の便りが届き始める10月頃まで、ペットの体調には万全の注意を払いましょう。

熱中症に比べ軽視されがちな「夏バテも」危ない!

ペットと暑さが関わる重大な事故として知られているのが「熱中症」です。熱中症は犬、というイメージがあるかもしれませんが、猫も普通に熱中症にかかります。熱中症は、車内や部屋に閉じ込められたり直射日光にさらされたり、蒸し暑く風のない場所で身体を動かしたりすることで起こる症状で、身体からの放熱が追いつかなくなり体温が急上昇。生命に関わる重篤な結果を引き起こす、本当に怖い病気です。とくに北方犬種や鼻ペチャの犬などがかかりやすく、あっという間に亡くなってしまうことも珍しくありません。

熱中症の怖さについては、さまざまなメディアで紹介されることが多いので、読者のみなさんは先刻ご承知でしょう。とはいえ、梅雨が明けて気温が急激に高まる時期には、熱中症で動物病院に担ぎ込まれるペットが急増するそうですから、いくら注意してもし過ぎることはありません。

散歩中に水浴びをさせるのも効果的です

ところが、「ペットの夏バテ」については、熱中症ほど注意を払っている飼い主は多くないようです。たしかに、私たちが夏バテになったとしても、それが原因で命を落とすような場面はそう多くはありません。しかし本来、「暑さで体調を崩す」という現象は熱中症も夏バテも同じ。医学的な厳密性は置いておいて、症状が急激に悪化するか、それとも慢性的にジワジワと身体を蝕んでいくか、の違いでしかないと考えておくべきでしょう。夏バテは「大変な事態」なのです。

夏バテで元気がなくなる程度ならまだ軽い方。体調の悪化が別の病気の引き金になり、取り返しのつかない結果を招くこともあります。とくに幼齢期やシニア期のペットは、呆気なく命を落としてしまうことも。人間は薬を飲んだりスタミナが付くものを食べたり、ときには仕事を休んだりして自分で回復することができますが、ペットはそうはいきません。生活のあらゆる場面でペットの身体を気遣い、体調を徹底的に管理しましょう。

ペットの夏バテの症状とは?

夏バテは、暑い日が続いて体調を崩すことですが、その大きな原因は脱水症状と、それに伴う食欲不振にあります。夏バテするとペットはどうなるのか、さまざまなペット関連企業が発信する情報、および、私の愛犬であるサモエドを日本の暑さから守るため、かかりつけの獣医さんにうかがったアドバイスなどをもとに、その症状を見ていきましょう。

●おしっこの量が少ない気がする
●目や口の粘膜が渇いている
●皮膚に張りがなく、つまむとなかなか元に戻らない
●寝ている時間が長くなった
●散歩などでキビキビと歩かなくなる
●遊びに誘っても気乗りしない様子だ
●食欲がない。おやつを欲しがらない
●目に生気がなく、どんよりしている
●下痢や軟便など、便の不調が見られる
●嘔吐や発熱など、明らかな不調がある

獣医さんによると、もっともわかりやすいのは食欲不振だそうです。獣医さんに診てもらえば夏バテかどうかの判断はできますので、ここのところ何となくおかしいな、と気づいたら、早めに診察を受けましょう。夏バテが続くほど回復に時間がかかるばかりか、免疫力が低下してほかの病気にもかかりやすくなるそうです。たしかに人間も、夏バテを引き金に風邪をひいたりしますから、早めのケアが大切、は納得のいく話だと思いませんか?

夏バテ防止の基本は「給水」にあり

ペットの夏バテを防ぐための最大のポイントは、やっぱり「たくさん水を飲んで、栄養をたっぷりとってもらう」ことに尽きるようです。なかでも重要なのは「水の摂取」。室内飼育でも室外飼育でも、水飲み場を1カ所しか設けていない人は多いと思いますが、ペットがいつもいる場所を中心に、水飲み場を増やし、目に止まったときにちょっとでも口を付けられるようにしておきましょう。

新鮮な水をいつでも飲めるように工夫しましょう

水の状態にも工夫が必要です。まず、水はいつも新鮮でなくてはなりません。2日も3日も水を取り替えない人はまずいないと思いますが、雑菌が繁殖することがありますし、水はこまめに取り替えましょう。

また、水を飲むことに「楽しみを与える」工夫も必要です。わが家の愛犬は、お腹を壊さない程度に冷たい水や、ハーブやミルクで香りをつけた水など、何種類かの水を点在させておくと、目先が変わるためかよく飲んでくれるようでした。小さな氷をかじらせてあげる、口もとに水の容器を持っていってひと口でも飲んでもらう、散歩中など家の外で身体を動かしているときに水を差し出すなど、こまめな給水で一日の摂取水分量は増えそうです。

ごはんを工夫して水分摂取量を増やしましょう

直接水を飲むだけでなく、ごはんからも水分は摂取できます。そこで効果的なのがウェットフード。カリカリのドライフードは水分量が1割前後とかなり少ないのですが、ウェットフードは7~9割が水分ですから、栄養と水分が同時に摂取できます。

ウェットフードで水分補給+食欲増進

ドライよりもウェットが好きな子も多いと聞きますし、普段食べているフードと味が変わることで食欲も湧いてきます。2日に1回ぐらいウェットフードを与える、またはドライフードにウェットフードを混ぜて与えると、夏バテで落ち気味の食欲を改善できそうです。わが家では、ドライフードにスープなどをかけて与えたりもしていました。

ただし、いくら食べてほしいからと言っても、ごはんを置きっぱなしにするのは衛生上問題があります。出しっ放しにしておくと、この時期はすぐ傷んでしまいますから、食事を与えてから20~30分経っても食べきれないなら片付けてしまいましょう。

エアコンと扇風機を併用しよう

昨今のエアコンは省エネ技術が進み、室内温度をさほど低下させずとも涼しさを感じられるものが多くなっています。また、省エネのためエアコンの設定温度を27℃、28℃にしているご家庭もあるでしょう。人間にとっては確かにこれで充分快適なのですが、ペット、とくに犬にとっては快適でない場合があります。室温の目安は25℃~26℃と言われることも多いですが、わが家のサモエドも、25℃を越えると目に見えて“ハアハア”が増えます。省エネ性を多少犠牲にしてもエアコンの設定温度を下げ、ペットが寝ている場所に向かって扇風機でやわらかな風を送るなどして、体温の放散をサポートするべきでしょう。風が当たらない場所では体温の放散能力は大きく低下してしまいます。

寝床にクールマットを敷くなどして、夏バテ防止に努めましょう

寝床にも工夫が必要です。体温を効果的に放散できる冷却プレートや、窓からの日差しを完全にさえぎるブラインドなどを設置するのもオススメですし、2Lのペットボトルや氷枕などを冷凍庫で凍らせておき、寝床のすぐ脇に置いておくのも効果バツグンです。ただし、むき出しのままだと結露でビシャビシャになるうえに、温度が低すぎてお腹を壊したりしますから、タオルなどで必ずくるんでおきましょう。

また、犬種にもよりますが、被毛を梳いたりサマーカットをしたり、お腹の部分だけ毛を短く刈ったりも効果があると言われています。ペットサロンで相談すると、効果的な夏対策をアドバイスしてくれるはずです。屋外飼育の場合は、夏の間だけ室内や玄関内で寝てもらうという手段も考えましょう。

散歩は、暑さと直射日光を極力避ける

涼しい時間に散歩に行くなど、外出時の気配りも大切です。人間と比べて体高が低く、お腹や胸、頭が地面に近い犬は、路面の熱を直接全身に受けてしまいます。地面に近づくと風が弱まる場合も多いですし、直射日光にあぶられた舗装路では、肉球をヤケドして腫れたり水ぶくれができたりが容易に起こります。

散歩は早朝や夜間を中心に。直射日光を避けましょう

普段は昼間に散歩する習慣があったとしても、この時期は早朝や日が沈んでからなど、体温上昇を防ぐ時間帯での散歩に切り換えましょう。たとえばわが家の場合ですが、散歩は日が落ちた頃、深夜1~2時、早朝7時前の3回とし、1回の運動量は少なめに。昼間は抱っこしてクルマに乗せ、木立が深い公園で下ろして日陰の草の上だけを軽く散歩させる、などの暑さ対策をとっていました。深夜の散歩は、クルマ通りも少ないのでオススメです。ただし、防犯には充分に気を配ってください。

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