ペットライフ

インターペット ビジネス・フォーラムで
夢のある話を聞いてきた

7月16日に「インターペット ビジネス・フォーラム」が東京・浅草橋のヒューリックホールで開催されました。

ペット業界の関係者をはじめ、ペットビジネス参入を目指す関係者に向けたフォーラムではありますが、ペットを飼うひとりの立場として、「実現したらすごい!」と夢のある話を聞くことができたので、いくつかご紹介します。

今回は「ペット産業の明るい未来をどのように具現化するか!?」をテーマに、パネリストには、公益社団法人東京都獣医師会 会長・村中志朗氏、一般社団法人全国動物教育協会 会長・下薗惠子氏、イオンペット株式会社 代表取締役社長・小玉毅氏、ジャペル株式会社 代表取締役社長・片岡春樹氏、マースジャパンリミテッド 社長・森澤篤氏がパネリストとして登壇しました。一般社団法人ペットフード協会 名誉会長・越村義男氏の進行のもと、今後のペット産業やビジネス戦略、アイデアなどについて本音で語り合い、非常に盛り上がっていました。

飼い主の不安や不満を解消するアイデア

夫婦関係が円満になったり、子どもの情操教育によい影響を与えたり、ペットを飼うことの魅力を取材記事でもお伝えしました。それでも実際には不安や不満を抱えている人も多いでしょう。ペットショップなどの店頭では、不安に関しては「しつけ」や「病気」、不満に関しては「ペットと旅行に行くのが難しい」という声がやはり多いそうです。

そういった不安や不満を解消するために、イオンペットでは、例えば犬を購入した飼い主から犬を預かりきちんとしつけを行う。ペットの詳細な情報をIDで管理し、引越先や旅行先で病気になったときにも、1万5000店舗を超えるネットワークを活用し、そのペットに最適な医療を提供する。旅行先で一時的にペットをホテルで預かるなど、さまざまな取り組みを検討しているそうです。

また、ヨーロッパではしつけ教室に通わないとペットを飼えない国もあるので、そこまで徹底しなくとも、ペットと一緒にしつけ教室へ定期的に通うことを啓蒙したり、サービスを提供することも大切。きちんとトレーニングされたペットが増えれば、もっと公共施設で受け入れられるようになるとの意見も出ていました。

ペットフード協会の「あったらいいと思う飼育サービス」の調査では、「しつけ代行サービス」という回答が上位に挙げられています

ペットと飼い主の理想郷をつくりたい

動物愛護が進んでいる海外と比べて、まだまだペットと暮らしやすい環境とはいえない日本。そんな日本でペットフリーの街をつくろうという話もあがっています。

農地利用の減少などに伴う「土地余り現象」の対策として、イオンには自治体から街づくりプロジェクトの商業施設としての誘致の話が増えているそうです。そのなかでイオンが提案しているのは、「ペットフリーの街」です。街全体でペットを持つことで、飼い主の不安や不満を解消し、街のどこに行ってもペットと施設を利用できる。ペットにとっても飼い主にとっても理想郷の街をつくれば、そこにペットを飼う人が多く集まり自治体の繁栄にもつながっていく大きな取り組みです。

ペットフード協会 名誉会長・越村義男氏にも自治体からペットの理想郷をつくるための相談があるそうです。ペットと一緒にあらゆる施設が利用できるなんて、いったいどんな街になるのでしょうか。考えただけでもワクワクしてきます。

高齢化する飼い主への取り組み

日本人口の5%を占めている団塊の世代が2025年ころまでに後期高齢者(75歳以上)に達すると言われる「2025年問題」。10年後には人口の約30%を超えて、現在の医療や介護システムが崩壊すると予想されています。これまでは「病気になったら入院する」「介護が必要になったら施設に入る」という病院完結型の医療や施設完結型の介護ですが、2025年には自宅での医療や介護をせざるを得ない状況を迎えてしまいます。

そんな将来を見据えて、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。これは地域が協力し合って高齢者を支えていこうというシステムです。

厚生労働省の推進する「地域包括ケアシステム」

東京都獣医師会では、この「地域包括システム」にペットを介在させる提案を厚生労働省や東京都議会に働きかけているそうです。以前の取材記事でも紹介しましたが、高齢者がペットを飼うことで健康寿命がのびたり、通院の回数が減少するという調査結果も出ているので、高齢者のQOL向上、国の医療費削減にもつながることが期待できます。ペットの先進国であるドイツやオーストラリアでは、高齢者の医療費が5000億円ほど削減されているそうです。

ペットを飼うことで高齢者のQOLが向上するさまざまな調査結果が出ています

最近では、少子化による学校の統廃合も増えていますが、そうした学校の遊休地を活用してペットと一緒に入居可能な老人ホームのような施設をつくるのもよいのでは?というアイデアも出ていました。ペットを亡くした高齢者は、ペットが好きで飼いたい気持ちはあるものの、自分の寿命を考えるとペットを最後まで面倒みれないかもしれない……と飼うのを諦めているケースがやはり多いそうです。でも、そんな施設ができればペットと暮らすこともできますし、その施設でペットが好きな高齢者などの雇用も生まれます。また、遊休地になっているような学校は街の中心から外れた場所にあることも多いため、民家に迷惑をかけることもないので、実験的にでもスタートして国や自治体へ提案すべきとの話でした。

さらに、高齢者が安心してペットを飼えるための取り組みとして、東京都獣医師会は日本ペットオーナーズクラブと協力して日本初となる「ペット安心ケア制度」を開始しています。万が一ペットのお世話をできなくなってしまったときに、生命保険のなかからペットの一生の生活費と医療費がまかなわれます。実際にペットをあずかるのは東京都だけでの展開となっていますが、東京都獣医師会の会員の病院が責任をもってペットを家族の一員として受け入れてくれるそうです。

飼い主とペットの生涯を考えて誕生した「ペット安心ケア」制度

ペットに関しては後進国の日本ですが、逆に言えば、まだまだペットに関するサービスや取り組みなどの伸びしろがあるということです。そして、そのためには業界団体や企業の努力だけではなく、ペットの飼い主一人ひとりの意識が何よりも大切なのだと思います。

オリジナルのフィードバックアンケートを作りましょう ペット特集トップページへ