世の中には、音楽があふれているが、それらは時代とともに少しずつ変化してきた。そして、音楽が変わるのと同様に、テクノロジーは音楽の楽しみ方にもいろいろな変化を与えてきた。かつて、ポータブルカセットプレーヤーが音楽を聴くことを、音楽を身にまとう行為に変えてしまったようにだ。こうした背景を踏まえた上で、今回は、NECパソコンでの音楽の楽しみ方のバリエーションを紹介しよう。
かつてのレコード、今はCDだが、街のミュージックショップでこれらのパッケージを購入するのは、音楽を購入するように見えて、実は、その音楽を聴く権利を購入しているのに過ぎない。早い話が、一度CDを購入すれば、そのCDを持っている限り、未来永劫、その音楽を聴く権利が手に入ったことになる。いわば通行手形だ。
だが、音楽というコンテンツは、実際に手に取れるCDのような物理的なパッケージになっていなくても、それを聴く権利を入手できる環境が整い始めてきている。その典型が、クラウドを使ったダウンロード販売だ。 これも実にわかりやすい。買ったのは音楽を聴く権利なのだから、自分が持っている、あらゆるデバイスでその音楽を楽しめるというのは、誰でもスンナリと理解できる。デジタルオーディオプレーヤーや、いつも持ち歩いているスマートフォンなどに音楽データをコピーし、いつでもどこでも自分の購入した音楽コンテンツを楽しめる。しかも、デジタルデータだから、いっさい音質が劣化することもない。そういう音楽の楽しみ方が当たり前になってきた。
MEDIASシリーズのようなスマートフォンで音楽を楽しむのは、パソコンで音楽を楽しむのに似ている。スマートフォンはOSが稼働していて、そこでアプリを動かすという点で、まさにパソコンそのものだ。自分の好きなミュージックプレーヤーアプリをインストールして、それを使って音楽再生を楽しめるという点で、パソコンでの音楽の楽しみ方とまったく同じだ。最初からプリインストールされている音楽再生アプリですませてもいいが、せっかくアプリを自由に選べるスマートフォンなのだから、自分の好みにあったルック&フィールを持つアプリで音楽を楽しみたい。
NECのパソコンにインストールされているmusic.jp を利用すれば、CDから音楽データをリッピングしたり、、音楽配信サービスでダウンロード購入した音楽データをスマートフォンに転送するのは簡単だ。USBケーブルで接続するなり、無線LANを使って転送するなりすればいい。
スマートフォンで音楽ファイルを再生していれば、電話の着信や、新着メールなどが届いたときの通知音なども、同じイヤフォンから聞こえるので便利だ。今のスマートフォンはバッテリの保ちがよいとはいえないので、少しでも消費電力を抑制したいところではあるが、音楽の再生程度の処理なら、そんなに影響を与えないはずだ。
NECパーソナルコンピュータは、オーディオサウンドへの取り組みに熱心なベンダーとして知られている。たとえば、LaVie LやVALUESTAR Nが採用しているYAMAHAとのコラボレーションによるスピーカーシステムなどは、その好例だ。VALUESTAR N は、FR-Portと呼ばれるテクノロジーによって、スピーカーユニットの背後から出た音を逆流させ、ブーメランのような道をたどって外に出す導線を確保、空気圧ノイズを抑制し、純粋に低音成分だけを前に出す。密閉型でもなければバスレフ型でもない新たな構造だ。
音楽の楽しみ方が変わってきたことで、音楽はもう、外でイヤホンを使ってしか聴かないというユーザーも増えてきているのかもしれないが、せっかくの自分だけの空間があるのなら、スピーカーが奏でる開放的なサウンドを楽しんでほしい。NECパーソナルコンピュータは、こうした考え方で製品を開発しているという。
今は、純粋に音楽コンテンツだけを楽しむよりも、DVD、BDの映画コンテンツや、インターネットを介してYouTubeなどでストリーム動画を楽しんだり、あるいはテレビを試聴するなど、映像といっしょにサウンドと向き合うということの方が多いかもしれない。いずれにしても、パソコンから奏でられる音は重要で、そこにきちんとした工面をしているパソコンは、ほかの部分もしっかりと作り込まれていることが期待できる。
NECパソコンのサウンドには、デジタルでごまかすのではなく、アナログ的な部分でできるだけのことをしておこうという姿勢が感じられる。これは高コストにつながるので、なかなかできることではない。YAMAHAとのコラボに関しては、以前、インタビューしたことがあるが、ピュアオーディオというまでにはいかないにしても、限られたスペースと内部ノイズとの戦いの上、ナチュラルでスマートな音を、スピーカーからいかに出すかに果敢にチャレンジしている。アコースティックなところにきちんとした実力がなければ、電気補正をいくらやってもうまくいかないものなのだそうだ。
とはいうもののサウンドばかりは、聴いてみないとわからない。言葉で語り尽くすのはたいへんだ。ところが、量販店頭などでは、まわりが騒がしくて,パソコンのスピーカーから出てくる音のよさがわかりにくいというのは実にもどかしい。
最初に書いたように、音楽コンテンツは音楽そのものを購入するのではなく、音楽を聴く権利を購入するものだ。music.jpでは、パソコンを使ってダウンロードした音楽は、スマホやタブレットをはじめ、他のあらゆるデバイスで楽しめる。各デバイスがサービスにアクセスできれば、わざわざパソコンから楽曲データを転送する必要もない。もちろん、ハイレゾ音源といわれる形式で購入した高音質音源も、スマホで再生するときには、一般的な圧縮形式で入手して楽しむことも可能だ。
買い物時には広い画面でわかりやすいパソコンのスクリーンを使い、聴くときには、そのTPOに応じて好みのデバイスを使う。音楽もまた、マルチデバイスの時代にマッチした楽しみ方をする、それが新しい当たり前として、ぼくらの生活に馴染もうとしている。
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