NECパーソナルコンピュータは一貫して「安心・簡単・快適」を追求しているメーカーだ。それは、Windows 8がリリースされても変わることはない。Windows 8は、タッチスクリーンへの対応や、SkyDriveとの統合など、盛りだくさんの新機能が搭載されているが、特にクラウド連携についてはパワーユーザーには即座に理解できることでも、一般のユーザーには難解そのもののように感じるかもしれない。だが、もたらす世界は誰もが望むことばかりであるのも確かだ。NECパーソナルコンピュータは、LaVieやVALUESTARで、このテーマをどのように解決したのかを見ていこう。
LaVieやVALUESTARには「コンテンツナビ」というアプリがプリインストールされている。Windows 8の新しいUIアプリで、スタートスクリーンにもピン留めされている。このアプリケーションは、Micrsoftのクラウドストレージサービス「SkyDrive」と連携し、多種多様のパソコンやスマホ、タブレットといったデバイスで、データを共有するために用意されたものだ。
SkyDriveは、早い話がデータの銀行だ。Microsoftがユーザーのデータを預かってくれ、インターネットを経由してどこからでも取り出せるようにしておける。銀行に預けた現金を日本全国のATMで取り出せるようなものだ。
Windows 8は、ログオンIDとして、無償で入手できるMicrosoftアカウントを設定することができ、そのアカウントにもれなく7GBまでのディスク容量がついてくる。これがSkyDriveだ。
コンテンツナビは、このSkyDrive上のディスク領域を利用して、さまざまな機能を提供するアプリケーションだ。
MicrosftアカウントでWindows 8にログインした状態でコンテンツナビを起動すると、そのアカウントでSkyDriveに接続する。
アプリケーションの画面では、目の前のパソコンにある静止画や動画のライブラリ、SkyDrive上に置いてある静止画や動画、さらに、他のパソコンやスマホなどの機器から自動的にアップロードされたデータを置くフォルダなどを一覧することができる。具体的には、SkyDriveに、ContentsNavi(コンテンツナビ)というフォルダが作成され、その中のデータが一覧できるわけだ。
このアプリケージョンがやっていることは、自分でファイルを選んでSkyDriveにアップロードし、それを同じアカウントでログインした別の機器で参照しているにすぎないのだが、それを普通の人がやろうとするとたいへんだ。だが、コンテンツナビを使うことで、自分のハードディスクを利用するように、誰でも容易にクラウドサービスを利用できるようになる。(コンテンツナビの設定・利用手順は、http://121ware.com/catalog/homenetで確認できる)
今や、スマホやタブレットは、いわば第2のパーソナルコンピュータとして、誰でも1台や2台を持つようになった機器だ。特にスマホは、従来型の携帯電話と完全に代替しそうな勢いだ。
これまで日常的にやってきたように、ユーザーは、携帯電話を使って写真を撮る。今や、携帯電話のカメラ機能は1000万画素のものも当たり前といった状況だ。これもまた、コンパクトカメラと代替する可能性さえありそうだ。
これらの端末を使って撮影した写真は、当然、端末本体内蔵のメモリや装着されたメモリーカードに保存される。これは、従来型の携帯電話でもスマホでも同様だ。撮った写真を誰かに見せたいときは、端末を手にとって見せればいい。これはこれでわかりやすい。だから、撮った写真は削除することなく端末に蓄積し続けるというユーザーは珍しくない。
だが、これらの携帯機器は、たかだか数インチのスクリーンしか持たない。たとえ大ぶりなタブレットであっても10インチ前後だ。せっかく美しい写真があるのに、そのくらいのサイズでしか鑑賞できないというのではおもしろくない。
また、端末内の写真データが唯一無二のものであった場合、端末の故障や紛失、盗難といった自体に遭遇した場合、大事な写真のデータも失うことになってしまう。
従来であれば、メモリーカードをカメラから取り出すなり、カメラそのものをパソコンに接続して、写真を取り込むといった手順を踏むのが普通だった。こうして大画面で写真を楽しんだり、バックアップして不慮の事態に備えてきた。だが、これもまた、古き良き時代のまどろっこしいやり方だ。
iOSやAndroidのスマホやタブレットに、NECパーソナルコンピュータから無償で配布されている「コンテンツナビモバイル」をインストールしておけば、スマホやタブレットで撮影した写真が、自動的に(手動も可)SkyDriveにアップロードされ、転送作業を意識することなく、数分後には自分の使っている他の機器で、その写真を見ることができる。わかってしまえば当たり前のことなのだが、その恩恵を誰でも享受できるようにしたのがコンテンツナビだ。
ここまでのケーススタディは、便利を享受できるのはあくまでも本人だけだ。というのも、SkyDriveはMicrosoftアカウントに紐付けられているので、基本的にアップロードされた写真は、そのアカウントの持ち主しか参照することができない。
だが、SkyDriveには「共有」という機能がある。ファイル、あるいは、フォルダ単位で、そのデータを別のユーザーに公開して見てもらうことができるのだ。この機能を使えば、共有フォルダのアドレスを遠く離れた実家の両親に教えておき、スマホで撮影する子どもの写真が毎日そこに自動転送されるようにしておけば、実家の両親は毎日増え続ける孫の写真を楽しむことができるのだ。もちろん、両親は別のアカウントでWindowsパソコンを使っていてもかまわない。
OSがクラウドに連携するのは時代の流れだ。でも、ただつながるだけでは、それによって得られる素晴らしい便利さに、多くの人が気づかないままだ。新しいパソコンを購入したとしても、Microsoftアカウントって何ですか、とばかりに、今まで通り、ローカルアカウントでパソコンを使おうとするかもしれない。それでは、せっかくのクラウドサービスが活きてこない。
これからは、何でもすべてをスマホですませようとか、パソコンに限ると固執する時代は終わり、競合よりも共存の時代に入っているのだ。そのためにもクラウドサービスを積極的に利用し、いつでもどこでも、そのときに手にしている機器によらず、自分のデータに自由にアクセスできることを目ざさなければならない。
それがかなうだけで、実は、複数の機器をTPOに応じて使い分けた方が便利だということを実感できるはずだ。パソコンも自宅では据置の大画面、外出先では軽量モバイルを使い、電車の中ではタブレットやスマホを利用する。かつてはデータが分散してしまって、かえって使いにくくなってしまっていた使い方だが、今は違う。クラウドが不便を解消してくれたのだ。そのクラウドを誰でも便利に使えるようにするためのソリューションを提供するのはパソコンベンダーの義務といってもいいだろう。それを「安心・簡単・快適」をスローガンに、きちんと提示しているのがNECパーソナルコンピュータというメーカーだ。
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(山田 祥平)