今でこそ、誰もがスマホでワンセグを楽しみ、部屋にはコンパクトなスクリーンを持つテレビを置き、ビデオレコーダーによるタイムシフト視聴で、チャンネル争いといった言葉は死語になりつつある。だが、テレビはどんなにパーソナル化が進んでも、あいかわらずお茶の間の人気者であるのも事実。そんなテレビを今様に楽しむための、NECパーソナルコンピュータの提案を紹介しよう。
VALUESTAR Nをはじめ、NECパーソナルコンピュータのテレビ機能つきパソコンには、テレビパソコンの黎明期から連綿と機能拡充を続けてきたSmartVisionというテクノロジーが搭載されている。NECパーソナルコンピュータオリジナルのハードウェアとソフトウェアが緻密に連携しながら、これまでもパソコンを使ったテレビの楽しみ方に、さまざまなイノベーションを提供してきた。
今、SmartVisionが提案する新しい時代のテレビの楽しみ方のひとつは、トレンドにマッチしたソーシャルな方向性を指向したものだ。不思議なもので、オープンな空間に置かれたテレビというのは、同じ番組がスクリーンに映し出されていたとしても、リビングや自室に置かれたテレビとは違う一種独特の雰囲気を醸し出す。その空間で番組というコンテンツを共有している視聴者が、それぞれ笑ったり、興奮したり、感動したりする行為が、コンテンツの周辺視界に入り、ささやきや笑いが耳に入ってくるからだ。
そこにいるみんなが笑っている、みんなが応援しているといった、共通の気持ちが、スクリーンに映し出されているコンテンツをより楽しいものにしてくれる。映画館のような閉鎖された空間でのコンテンツ視聴が、ある種独特のムードを持つのは、こうした傾向が凝縮されたものと考えていいだろう。
NECパーソナルコンピュータが、iOSやAndroid OS向けのアプリとして、無償で配布する「Smartリモコン」は、こうしたテレビの楽しみ方を、SmartVisionで実現するチャレンジだ。
このアプリを使うことで、まず、現在、各局でどんな番組が放送されているかがわかる。それだけでは普通の番組表と変わらないが、Smartリモコンでは、Twitterで、各番組に関して、どのような反応がつぶやかれているかを知ることができる。そして、それを元に、番組ごとの盛り上がり度がわかるようになっている。
特に見たい番組が決まっていないのなら、せっかくだから、みんなが見ておもしろがっている番組を見たいと思うのが人情だ。Smartリモコンを使えば、その盛り上がり方が気になる番組をタップするだけで、すぐにVALESTAR Nなどの、パソコンのSmartVisionが反応し、電源が入っていなければ電源が入り、チャンネルを切り替えて番組をスクリーンに映し出す。
その先は、パソコンでも楽しみが拡張される。つぶやきプラスは、番組の表示を邪魔しないように、その番組についてのつぶやきをフォローし続けてつぶやきを表示する。一人でテレビを見ていても、これなら共有感あふれるテレビの楽しみ方ができる。
しかも、つぶやきプラスは、SmartVisionで録画済みの番組を再生するときにも、放映当時のリアルタイムのつぶやきを時差フォローできる。タイムシフトして、世間が盛り上がったときとは別の時間に番組を見ていても、あの独特なムードを追体験できるのだ。
最近のニュース番組やバラエティ番組は、生で放映される際にハッシュタグを公開し、放映中に寄せられたつぶやきをテロップなどで紹介することが多くなっているが、それと同じようなことを自前でできてしまうのがつぶやきプラスだ。
多くの人々が見たという事実、そして、その多くの人々が楽しんだコンテンツというのは、その翌日などに、職場や学校で話題になることも多い。そのリアルな現場で、せっかくその時間はテレビを見る余裕があったのに、見ていなかったというのは実にソンをした気分になる。でも、Smartリモコンを使えば、そんな経験は少なくなるはずだ。まさに、ソーシャル時代のソリューションであるといえるし、各種デバイスとの連携から、パソコンのテレビ機能であるSmartVisionとの連携までをトータルに統合している点はNECパーソナルコンピュータならではのものだといえる。さまざまなテレビの楽しみ方に野心的にチャレンジするNECパーソナルコンピュータだが、すでに録画した番組をどのように楽しむかという点についても真剣に考えているようだ。テレビ放送が地上デジタルになって、いろいろとやっかいなことも増えているのだが、その負担をユーザーに感じさせないようにし、ユーザーにとっては、画質が向上するなど、できるだけメリットだけが見えるようにしているのがアグレッシブだ。
NECパーソナルコンピュータは、ビデオレコーダーやテレビなど、いわゆるデジタルアプライアンスを持たないメーカーであるということもあってか、標準化技術に準拠することに、きわめて熱心に取り組んできた。地デジのやっかいな面を解決するひとつの標準テクノロジーとして、DLNAやDTCP/IPがあるが、その対応も、かなり早期から実現してきた。
SmartVisionを搭載していないLaVieを、SmartVisionを搭載したVALUESTAR Nと連携させ、ネットワーク経由でテレビ番組をリアルタイム視聴したり、録画番組を再生したりするなどは当たり前で、パナソニックのDIGAをはじめ、東芝、ソニー、シャープなど、国内メーカーのほとんどの家庭用ビデオレコーダーに対応し、同様の環境が得られる。ちなみに、再生は、SmartVision/PLAYERを使うのだが、このWindowsアプリは、121ware.comでダウンロード販売されているので、多少は古いNECパソコンのユーザであっても機能を利用できるようになっている。
一方、SmartVisionで録画した番組を他のパソコンや各種のデバイスに転送して楽しむのは、アナログ放送の時代はとても簡単だった。何せ、ファイルをコピーするだけですんでいたのだから当たり前だ。それがややこしくなったのは放送が地上デジタルになり、著作権管理が厳密になったことで、いろいろとややこしいことがバックグラウンドに出てきたからだ。
だが、これもNECは標準機能を使って解決した。VALUESTAR Nで録画した番組をDTCP/IPを使い、NECのLife Touch Lに代表されるDTCP/IP対応タブレットやMEDIAS等のスマートフォンなどに転送できるようにして、外出先でも録画済みのテレビ番組を楽しめるようにしたのだ。NEC関連に限定するのではなく、あくまでも標準化準拠による実現だ。転送は、録画済み番組を指定して、microSDカードに書き込むなどを、その都度行うことができるし、設定次第で、録画を予約するときに、ワイヤレス転送を指定しておくこともできる。
毎晩必ず見るニュース解説番組を録画予約し、それにワイヤレス転送を仕掛けておけば、朝、目覚めたときにはスマートフォンに転送済みになっている。それをポケットに入れて家を出て、通勤電車の中で前夜のニュース解説番組を見るといったことが可能になるわけだ。
地デジになって、かつてできていたことのうち、今は何ができて、何ができないのかが、とてもわかりにくくなっている。でも、自社製品の囲い込みのようなことをすることなく、きちんと標準化技術に対応しさえすれば、かつて、できていたことの多くは、今なお、同様にできるのだということをNECパーソナルコンピュータは提唱しようとしているにちがいない。
デバイスの多様化と、そのスマート化は、ぼくらのライフスタイルに大きな影響を与えた。そして、それらのデバイスを、もっと楽しく便利な存在にするために、やはりパソコンは大きな存在力を持ち続けるだろう。テレビコンテンツの楽しみ方拡大への取り組みは、そのひとつに過ぎないかもしれないが、NECパーソナルコンピュータという企業の標準化技術準拠への対応に熱心な姿勢を示す典型的な事例だといえそうだ。
■関連情報
図解でわかる!ホームネットワークの仕組み
■関連記事
【第3回】テレビパソコンといえばNEC! その歴史と進化をたどる
(山田 祥平)