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2024年10月21日   [各種サービス、インタビューなど

サードウェーブ設立40周年!“自作PC”の歴史と照らし合わせてその歩みを振り返る

 「ドスパラ」を運営する株式会社サードウェーブ。同社はこの2024年に設立40周年を迎えた。この40年の歩みは、日本国内の“自作PCの歴史”そのものとも言える。そこで本稿では、サードウェーブそしてドスパラの40年を、自作PCの歴史とともに振り返っていく。

「株式会社サードウェーブ」設立と「DOS/Vパラダイス」のオープン ~1995年

 サードウェーブの設立は1984年。同社のホームページによると「コンピューター関連機器販売を主たる目的」としていたとのことで、事業内容の主軸はこの頃から一貫している。“1984年”は、現在のPCのルーツとなる「IBM PC AT」が登場した年。その後のPC/AT互換機の祖であり、日本では1990年に、PC/AT互換機で日本語表示を実現するOSである通称「DOS/V」が登場(IBM DOS J4.0/V)。その翌年にはIBM DOS 5.0の日本語版、MS-DOS 5.0の日本語版が登場した。ちなみに、2023年末に休刊した「DOS/V POWER REPORT」が不定期ムックとして創刊されたのも1991年だ。

  • Windows 3.1の画面
  • 1992年発売のIntel「486DX2」

 1990年前後から1990年代の前半のPC市場はNECのPC-98シリーズが支配的だった。しかし、DOS/VやWindows 3.1の登場とともに国内各社がPC/AT互換機に移行。日本におけるPC/AT互換機の普及、その後の「自作PC」の歴史のスタート時期はこの頃で、DOS/Vパラダイスのオープンもこの大きな流れに連動したものと言える。

 そして1992年、Windowsを一気にメジャーにした出世作「Windows 3.1」が発売される。国外のPCメーカーの日本市場への進出も進んできたこの年、ドスパラの前身である「DOS/Vパラダイス」が秋葉原にオープンした。

  • DOS/Vパラダイス 秋葉原本店の店舗外観(サードウェーブ提供)
  • 最初の「Pentium」は60MHz。1993年発売

 DOS/Vパラダイスは秋葉原本店のオープン後、PC組立サービスやDOS/Vパソコンの販売の拡大に向けて全国展開を開始。2002年までになんば、札幌、博多、千葉、京都、浜松、広島、大宮、仙台、川崎、八王子、名古屋 大須、町田に出店した。店舗でのオーダーメイドによるPC組立サービスも1992年に始まっている。

 次の大きな節目となったのは1995年。UIが一新され現在のWindowsの構造に近いデザインが採用されたWindows 95が登場、Pentium 133MHzも発売されて大ヒットとなるなど、PCのカスタマイズや自作PCが注目を集めるようになったのはこの頃から。「AKIBA PC Hotline!」の前身である「秋葉原マップ」がスタートし、「DOS/V POWER REPORT」が月刊化したのも1995年だ。

  • 「Windows 95」。発売時には深夜販売も行われた
  • 「Pentium 133MHz」。Windows 95とともにヒットとなった

自作PCの本格化、“オーダーメイドPC”のスタート 1996年~2000年

 1990年代後半になると、国内のPC市場はいよいよPC/AT互換機が主流になり、NECもPC/AT互換機に参入する。秋葉原では自作PC向けのパーツが多数販売され、DOS/Vパラダイスも2号店オープン(1998年)、本店改装と2号店別館のオープンと店舗を拡充。1998年には通信販売サイトがオープンしている。

  • 1999年にオープンした2号店別館
  • 1998年当時のDOS/Vパラダイスの通販サイト(サードウェーブ提供)

 1996年から2000年は自作PC勃興期の重要パーツや技術/規格が多数登場。1996年には自作PC市場初期の大ヒットマザーであるASUS「P/I-P55T2P4」が登場。同年には「ATX」フォームファクターが策定、USBポート搭載マザーも登場。さらに、AMDからはPentium互換CPU「AMD K5」が発売されるなど、現在につながる“礎”が成立。ビデオカードの重要度も高まってきており、NVIDIA「GeForce 256」が1999年に登場している。

  • 1996年発売のASUS「P/I-P55T2P4」
  • 最初のGeForce「GeForce 256」は1999年に登場

 また、自作PCのブームに大きな影響を与えたのが、1998年に登場したIntelのSlot1 CPUだ。カートリッジ形状のCPUで、Pentium II 300MHzやCeleron 300AMHzは、オーバークロック耐性が非常に高く、比較的簡単に定格を大幅に上回るクロックでの動作が可能だった。オーバークロック込みで考えれば「コスパがとんでもなくよいCPU」であり、自作PCの魅力が一気に広まることになった。

  • 1998年発売、Intel「Pentium II 300MHz」
  • 1998年発売、Intel「Celeron 300AMHz」
  • OCブームの立役者、ABIT「AB-BH6」

 一方、AMDは1999年に大きな節目を迎える。AMDはここまでIntel互換CPUを展開してきたが、「Athlon」により独自路線へと方向転換。IntelとAMDの2大巨頭体制はここで成立したと言ってよいだろう。

 そして迎える2000年。1990年代後半に「2000年問題」というワードがたびたび取り上げられたが、実際にはそれほど大きな混乱はなかった。PCパーツ界隈では、AMDとIntelのCPUが動作クロック1GHzに到達。NVIDIAからGeForceの第2世代「GeForce 2」、ATI(その後AMDが買収)からは「Radeon 256」がそれぞれ登場した。

  • 2000年発売、AMD「Athlon」。Thunderbirdコアを採用
  • 2000年発売、ATI「ALL-IN-WONDER RADEON」

 Windowsもこの期間に世代を重ねている。1998年にはWindows 95の発展形である「Windows 98」、2000年にはWindows 9xの最後のバージョン「Windows Me」と、一般ユーザー向けとしては初のWindows NT系OS「Windows 2000」が発売された。

 そんな2000年に、DOS/Vパラダイスは通販サイトでのオーダーメイドPCの受付をスタート。マニア向けの趣味である自作PCのハードルを下げ、“PCのカスタマイズ”というPCの楽しみ方の普及を推し進める取り組みをさらに強化。店舗拡充、通販サイト、オーダーメイドのPC組立など、現在のドスパラの大きな柱となるサービスは、2000年までに続々とスタートしている。

  • 「Windows 2000」と「Windows Me」。NT系と9x系が存在した最後の世代

 PC/AT互換機や自作PCが広まっていく原動力ともなる“PCゲーム”もこの頃に歴史的に重要なタイトルが続々登場した。たとえば、FPSのルーツの一つである「Quake」、ネットワーク対応のRPGである「Diablo」や「Ultima Online」、人気シリーズの元祖「グランド・セフト・オート」や「エイジ・オブ・エンパイア」はこの時期に発売されている。

店舗名が「ドスパラ」に! PCパーツの高性能化が加速した2000年代

 21世紀を迎え、自作PC市場はさらなる拡大を続ける。大きなマイルストーンは、Windows 9x系OSとWindows NT系OSが統合された「Windows XP」の登場と、CPUの動作クロックがIntel「Pentium 4」でついに2GHzに到達したこと(いずれも2001年)。インターネット接続の“ブロードバンド”化が広く普及したのもこの時期だ。

  • 「Windows XP」。安定性にも定評があり、長く人気に
  • 「Pentium 4」。クロックは一気に2GHzへ到達(写真は1.5GHzモデル)

 CPUの性能はこの時期に一段と向上。クロックだけでなく、IntelのHyper-Threading Technologyに代表される“マルチスレッディング技術”の登場、AMD「Athlon 64」が先陣を切った”64bit対応”、1つのCPUが複数のコアを持つ“マルチコアCPU”といった、現在のCPUでは当たり前になった技術が続々と登場している。

 とはいえ、CPUの進化により、消費電力の増大・発熱の増加も厳しくなる時期でもあった。そのため、冷却の強化、これに伴う騒音増を何とか抑制しようという静音化、モバイルCPUを使った自作(MoDT/Mobile on DeskTop)など、自作PCやPCカスタマイズの真髄とも言える“創意工夫”が話題になった。

 この流れの中、Intelはこれまで「Pentium」を主力として世代を重ねてきたが、2006年に設計を一新したIntel「Core 2 Duo」を発売。主力CPUの名称はこれより「Core」に代替わりする。性能は従来のPentium Dを上回り、消費電力もこれまでよりも抑えられているので、今風の言い方だと「ワットパフォーマンスが大幅に改善されたCPU」となっている。ただ、20年近く後の現在は、再び消費電力の増大や発熱の増加が難点となっているので、定期的に繰り返される永遠のテーマなのかもしれない。

  • 2006年発売、Intel「Core 2 Duo E6600」

 そしてもうひとつ、「DOS/Vパラダイス」の店舗名が、2003年に現在の「ドスパラ」に改称されたのも大きな変化だ。“DOS/V”が世に出て10年以上、日本のWindows PCがほぼPC/AT互換機に置き換わり、DOS/Vという単語の立ち位置も徐々に変わってきたということだろう。

  • 現在のドスパラ 秋葉原本店

 この時期にドスパラを運営するサードウェーブでは、現在まで続く新しい取り組みを始めた。2002年には“ゲーム”を目的としたカスタマイズPCを発売。今では“ゲーミングPC”は一般的になっているが、これらの流れはその走りと言ってよいだろう。

 さらに同社は、2003年には物流センター内でのパソコンの製造・出荷を開始。この動きは、2013年に綾瀬本社工場としてさらなる拠点の拡張と機能の強化が行われ現在につながる。また、2004年にはゲーミングPCブランドとして「GALLERIA(ガレリア)」が、2007年にはデジタルクリエイターに向けたPCブランド「raytrek(レイトレック)」が誕生。自社ブランドPCの展開が大きく強化された。

  • 2004年発売、初期の「GALLERIA」
  • 2007年発売、初期の「raytrek」

 ドスパラの店舗では、改称前年の2002年にオリジナルブランドのノートPCや、同製品をベースとしたノートPC自作キットが発売。2002年ごろはキューブタイプのベアボーンキットなども登場しており、自作PCのバリエーションが豊かになる時期でもあった。

  • DOS/VパラダイスブランドのノートPC「Prime Helios Desk」
  • ベースとなったPCはノートPC自作キットとしても販売された

 また、Windows 95以降、Windowsの新バージョンが発売になると秋葉原のPCパーツショップで発売当日の深夜販売が行われていたが、初代Core 2 Duoをはじめ、新CPU登場時にも深夜販売が行われるようになった。特に2007年のFSBが1333MHzになったCore 2 Duoの発売時には、ドスパラ開店14周年記念イベントとして大々的に実施され、これ以降、新CPUの深夜販売も秋葉原の風物詩のひとつとなる。なお、同年には4コアCPUのCore 2 Quadが、翌2008年には現在のデスクトップ向けCPUの名称ルールの始まりとなる「Core i7」が登場する。

  • ドスパラをはじめとする秋葉原のPCパーツショップでは深夜販売がたびたび行われている
  • 当初はWindowsやCPUが多かったが、近年はビデオカードでも実施。写真はVista発売時のもの

 一方、この時期はCPUの話題にあまり顔を出さないAMD。初のデュアルコアCPUである「Athlon 64 X2」が2005年に登場しているものの価格が高く人気はさほど盛り上がらず。以降しばらく苦戦を強いられることになる。一方で、「Radeon」で知られるGPUメーカーのATIを2006年に買収、CPUとGPUの両輪を備えるメーカーになった。

 OSの歩みを見てみると、2001年のWindows XPのあとは、2005年に64bitのWindows XP x64 Edition、2007年にWindows Vista、2009年にWindows 7が登場。64bit OSへの移行が着々と進んで現在へと至る。

  • 2007年発売、「Windows Vista」
  • 2009年発売、「Windows 7」

 ストレージにも大きな変化があり、これまでPCストレージではHDDが圧倒的主力だったが、2007年ごろから自作PC市場向けにSSDが出回り始めた。2008年にはDOS/V POWER REPORTで初のSSD特集が組まれるなど、自作PCにおけるSSD利用が活発化した。当初は容量不足やいわゆる“プチフリ”問題などもあったが、技術革新やWindowsの対応強化などで状況は大幅に改善。今では完全にPCのメインストレージとして定着している。

  • 2008年、Intel「X25-M Mainstream SATA Solid-State Drive」。初期のSSD普及の牽引役

 そして迎える2010年。メインストリームCPUに初めての6コア仕様の製品が登場。NVIDIAからはGeForce 400/500、AMDからはRadeon HD 6000が登場し、PCのパフォーマンスは次のステージに進む。そしてCPUとGPUが順調に進化していく中、この年にはドスパラを展開するサードウェーブ主催の大型PCゲームイベント「秋葉原PCゲームフェスタ」がベルサール秋葉原にて開催(2012年まで開催)。“ゲーミングPC”がPC市場の超重要キーワードとしてさらに注目を集めていくことになる。

  • 2010年から2012年にかけて開催された「秋葉原PCゲームフェスタ」
  • 会場はベルサール秋葉原。ゲーミングPCはこのあと市場を席捲する

次回は2011年以降を振り返る

 今回は1984年のサードウェーブ設立および1992年のDOS/Vパラダイスの誕生から、2010年までの約26年の流れを追ってみた。次回は2011年以降の自作PC界隈の様子やドスパラの歩みを振り返る。

サードウェーブの企業情報「あゆみ」
https://info.twave.co.jp/company/history.html

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