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2011年2月25日

黒檀をケースに使ったヘッドホン
「DN-HP820EB」と「DN-ER136EB」で
音楽を楽しんでみた

 

上海問屋の取り扱う多数の製品の中から、注目の一品を紹介するこのコーナー。今回は、最新のヘッドホン2モデルを紹介したい。ハウジング(ケース)部分に、重量級の天然木材である黒檀(エボニー)を使った音質重視タイプの機種だ。いい意味で上海問屋製品らしからぬ外観を持ち、実力も確かなモデルに仕上がっている。

2モデル共通の素材である黒檀(エボニー)とは

上海問屋の製品の中でも、オーディオ関係アイテムを取り上げることが多い本コーナーだが、最近の同社のオーディオ関連製品は比較的ユニークかつ実力も高い製品が多い。今回は、耳覆い型とカナル(耳栓)型のヘッドホン、合わせて2モデルを紹介しよう。

これら2モデルの特徴は、ハウジング(ケースの部分)に黒檀(こくたん)を使っていることだ。エボニーとも呼ばれるこの木は、天然の木としては比重が大きく、振動を適度に抑える効果を持っている。

ヘッドホンのハウジングに黒檀を使うメリットは大きく分けて2つ。まずは外観に高級感が出ること。黒檀は非常に深みのある色を備えており、高級な部屋の内装にも使われているほどの質感を備えているためだ。

2つ目は、音質を向上させる効果だ。ハウジングはドライバーユニット(音を出す中核となる部品)の振動を抑え、また響きをコントロールする役目を持つ。この設計や素材が悪いと、余計な振動や音のクセが加わってしまい、ドライバーの実力が引き出せないことになる。実は黒檀は、天然木材としては震動エネルギーをコントロールするのに適している素材であり、ハウジングに求められる特性を備えているのだ。

今回紹介する2モデル。左が耳覆い型の「DN-HP820EB」、右がカナル型の「DN-ER136EB」だ。2機種ともハウジング部に黒檀が使われている DN-HP820EBハウジング部のアップ。黒檀の持ち味である艶のある黒さを生かした仕上げは、他のヘッドホンとは一線を画するものだ DN-ER136EBのハウジング部。DN-HP820EBほど黒檀の質感を活かした仕上げではないものの、カナル型ヘッドホンとしては珍しい色合いである

耳覆い型「DN-HP820EB」は素直かつオールマイティな音質が魅力

まずは、耳覆い型である「DN-HP820EB」から紹介しよう。価格は3,999円(税・送料込)と、耳覆いヘッドホンとしてはミドルレンジの下とも呼べるクラスだ。ハウジング部の全周に黒檀を使ったこの製品は、装着者以外から見ると黒檀の木目が非常に目立つ、高級感あふれるデザインとなっている。

機能的な特徴としては、持ち運びに便利なよう、折りたたみができる点。

折りたたみ可能なヘッドホンといっても、実際にどこまで折りたためるのかは、製品によって大きな違いがあるのだが、本機はこの点も優秀だ。可動部が多く、ほぼハウジング部を重ねたぐらいの大きさまでたためる。さらにケーブルが脱着可能になっているため、持ち運びの際の取り回しは非常に便利だ。

気になるのが音質だが、若干低音と高音が強調されている印象は受けるものの、いい意味でクセがなく、音楽のジャンルを選ばない。いわゆるモニターヘッドホンと異なり、細かな音を出すというよりは、音楽のバランスに配慮した音を出すタイプだ。

総合的には、この価格としてはかなり優秀なもの。クセのなさから来る扱いやすさも相まって、使い勝手は非常によい。

装着時の側圧(耳に掛かる圧力)が若干強めに感じる点と、耳覆い型には珍しく、ケーブルのタッチノイズ(ケーブルに者が触れた際、擦れる音が伝わって発生するノイズ)が若干大きな点が目立つが、音質的な魅力はそうした欠点を補うには十分すぎるもの。例によってコストパフォーマンスは高く、製品としての魅力は高い。

ヘッドホン好きの方は、ぜひ一度試聴してほしい製品だ。

DN-HP820EBを最小にまで折りたたんだ状態。ハウジングの回りにあるイヤーパッドの直径が約68mmなので、全体としてはほぼ手を広げたぐらいのサイズだ ハウジング部は180度回転が可能なので、このように片方だけを逆に向けた位置にもできる。音をパッと確認したい場合など、装着せずに使えるので便利だ 付属ケーブル。機器側がステレオミニプラグ。ヘッドホン側がマイクロミニプラグ×2という構成だ。左(L)と右(R)チャンネルの区別はケーブルの印刷で確認できるが、装着した状態ではちょっと見にくいのが欠点

カナル型「DN-ER136EB」は思い切った低音増強が魅力

カナル型の「DN-ER136EB」は、1599円(税込・送料別)と非常に手ごろな価格が魅力のモデルだ。

しかし特徴であるハウジング部の黒檀はしっかりとしたもの。耳に装着した状態でハウジングを叩くと、コツコツとした堅い木ならではの音が耳に伝わってくる。

こちらは超小型ヘッドホンということもあり、ハウジング以外の機能的な特徴は多くはない。たとえばドライバーユニットの直径も8mmと、このクラスのカナル型としては平均的なものである。

しかし音の傾向は、逆に非常に個性的なもの。具体的に言えば、非常に低音が増強されているのだ。筆者の手元にあるソニーの「MDR-EX85SL」(これも低音と高音の増強傾向が強い製品だ)に比べても、さらに低音は強く感じられる。低音再生能力という点では、価格からは考えられないほどの実力を持っているといえる。

こうした小型ヘッドホンでは、低音が出ないことを不満に思い買い換えを考えるユーザーが多いことを考えると、このモデルは言わば「今の売れ線」の音と言えるだろう。

ただしその分、高音は押され気味という印象が否めないところ。そのため、音楽のジャンルとしては、ユーロビートやクラブ系のジャズなどとの相性が抜群によい。逆にクラシックなどは、そこそこ上手には鳴らすもののあまり向いていなさそうだ。

また、低価格なカナル型で気になることが多い耳へのフィット感も、イヤーチップ(耳に入れるゴム素材のクッション)の素材がよいためか、かなり優秀な印象だ。低音再生とフィット感は、5,000円クラスの高級な製品とも互角に戦えるのではないだろうか。

DN-HP820EBと同じく、ケーブルのタッチノイズは比較的大きい点と、左右の確認がしにくい点が若干気になるものの、それ以外には(音の傾向の好みを除けば)大きな欠点は感じられなかった。

価格が安いこともあり、オススメ度という点では、こちらの方が優るだろう。この紹介でピンと来た方は、ほぼ買って損はないぐらいの製品である。ぜひ試してみて欲しい。

ドライバーユニットは8mm径のため、ハウジングはコンパクト。ケーブルは直づけで、端子はステレオミニプラグだ 使用時に注意したいのが左(L)と右(R)チャンネルの区別。本体の根元に刻印されているが、あまり目立たないため、よく見ないとわかりにくいことがある。そういうときは、(L)と(R)の刻印の下にある小さな突起を自分のほうに向けて装着する、と覚えておくとわかりやすい イヤーチップはS/M/Lサイズの3種類が付属する。カナル型としては標準的な形状なので、100円ショップなどで販売されている汎用品との交換も可能なのが嬉しい

■黒檀(エボニー)製ハウジング採用 ケーブル脱着式 折りたたみヘッドホン
DN-HP820EB 製品情報

http://www.donya.jp/item/18941.html

■黒檀(エボニー)製ハウジング採用 カナル型ステレオイヤホン
DN-ER136EB 製品情報

http://www.donya.jp/item/18940.html

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