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子供の日常を「絵本」のように 写真がもっと楽しくなるニコン「Z50II」の魅力

子供の姿を絵本のような世界観で撮影する「絵本フォト」と言われる写真の撮り方が注目を集めています。色味や装飾にこだわり、子供の日常を特別なものとして写真に残せることから多くの支持を得ています。

この世界観を広く発信しているのが、フォトグラファーのREINAさん。Instagramで撮影のコツを紹介するほか、全国で撮影会やフォトウォークなども開催しています。

REINAさんが日頃から撮影で愛用しているのが、ニコンのカメラ。今回、REINAさんが絵本フォトの撮影テクニックやオススメの機材を紹介するキッズフォトイベント「日常の写真を絵本のような世界観に」がニコンの協力のもと開催されたので、その様子をレポートします。

色味や装飾にこだわり、子供の日常を特別なものとして写真に残す「絵本フォト」
REINAさんが実演を交えながら、絵本フォトの撮影テクニックやオススメの機材を紹介するイベントが開催されました

イベントにはREINAさんのほか、「絵本の1ページのような家族写真」をテーマに活動しているカメラマンのMASAYAさん、絵本の中の世界をイメージしたフォトスタジオを運営しているMIZUKIさんも登壇。画作りのこだわりや服装選びのポイントなどを解説してもらいました。

今回オススメ機種として紹介されたのが、2024年12月発売のミラーレスカメラ「Z50II」。DXフォーマット(APS-C)のイメージセンサーを搭載しています。

Z50IIの特徴は、あらかじめ自分好みに編集した色味で撮影できる「フレキシブルカラーピクチャーコントロール(FCPC)」や、動き回る子供の一瞬も取り逃がさない高精度なオートフォーカス、軽量ボディなど絵本フォトに適した機能が多数搭載されている点です。

左から、MIZUKIさん、MASAYAさん、REINAさん
ニコンのミラーレスカメラ「Z50II」。レンズは「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」。レンズを含めたニコンダイレクト販売価格は16万6,100円

REINAさんによると、絵本フォトでポイントになるのは「色味・背景・衣装小物」とのこと。

「私が絵本フォトを撮影するときは、彩度を抑えたトーンや、自然光と影を生かした色味などを意識しています。背景は、自宅でできるアイディアとしてはカーテン越しの光だったり、壁に布を貼ったりすれば簡単に雰囲気を変えられます。装飾は100円ショップで購入できる小物などが活用でき、この3つを意識するだけで日常の写真が物語の1ページに変わります」とREINAさんは話します。

絵本フォトでポイントになるのは「色味・背景・衣装小物」とREINAさんは解説
色味の実例。右が絵本フォトとして仕上げた作品
背景、衣装、装飾の実例

レタッチ不要で絵本の世界観を表現できる「Z50II」

通常、色味などは撮影後にレタッチで調整する人も多いと思いますが、Z50IIは「フレキシブルカラーピクチャーコントロール(FCPC)」に対応しているため、ニコンの無料編集ソフト「NX Studio」で作成した好みの色味をあらかじめカメラに保存でき、その色味に設定することで、撮影時から自分好みの色味で撮ることができ、絵本フォトの世界観を簡単に表現できます。

「子供の写真を特別な1枚にしたいとなると、やはりレタッチが必要になりますよね。けど育児をしていると時間が限られるので、撮影はしたけどレタッチは後回し、ということも多々あると思います。それがFCPCを使えばあらかじめ色味を設定できるので、撮って出しの時点で素敵な世界観を表現できます。これまでレタッチに費やしていた時間で子供と遊ぶなど、他の大事なことに使えるのが嬉しいですね」(REINAさん)

右の写真がフレキシブルカラーピクチャーコントロール(FCPC)で作成した色味を使って撮影したもの。「あらかじめ作成した色味レシピで撮影するため、撮って出しで絵本のような世界観を表現できます」(REINAさん)

ニコンでは、フィルター効果のように写真の色味を設定して撮影できる機能を「ピクチャーコントロール」と呼んでおり、Z50IIには30種類を超えるピクチャーコントロールを内蔵。

ピクチャーコントロールはこれまでのカメラにも搭載されていますが、「FCPC」で作った自分好みの色味をピクチャーコントロールとしてカメラに取り込んで使えるようになったことがポイントです。

FCPCに対応している機種は、今回使用した「Z50II」と、2024年7月に発売したFXフォーマット(フルサイズ)の「Z6III」の2機種で、今後、Zfにもアップデートで搭載される予定です。

ニコンの無料編集ソフト「NX Studio」で色味を自由に作れます

FCPCによる色味の作成は、ニコンの無料編集ソフト「NX Studio」をパソコンにダウンロードして行ないます。RAW画像をベースに色味を作成し完成したら、ニコンのクラウドサービス「Nikon Imaging Cloud」、もしくはメモリーカード経由でカメラに保存します。

自分で色味を作るのが難しいという人には、クリエイターが作ったレシピを「Nikon Imaging Cloud」で入手することも可能。カメラのピクチャーコントロール設定画面から、作成・入手した色味を選択すればすぐに撮影できます。

作成・入手した色味レシピは、ニコンのクラウドサービス「Nikon Imaging Cloud」、もしくはメモリーカード経由でカメラに保存可能。最大9つのレシピをカメラ本体に保存できます

カメラの設定画面にも一工夫があり、Z50IIでは独立したピクチャーコントロールボタンを新たに搭載。これまではメニュー画面から設定する必要がありましたが、独立したボタンが搭載され、一押しでピクチャーコントロールの設定画面にアクセスできるようになりました。

また、ニコンのカメラでは初めて、AUTOモードの撮影時でもピクチャーコントロールが利用可能に。難しい設定をする必要なく、画作りを楽しめるのもZ50IIの魅力です。

Z50IIでは新たに、独立したピクチャーコントロールボタンを搭載。一押しで設定画面にアクセスできます

REINAさん作成の色味レシピで撮影会

イベントでは、REINAさんとMASAYAさんが作成した色味レシピを書き込んだZ50IIを参加者全員に貸し出し、撮影会も行なわれました。

作成したレシピについてREINAさんは、「今回は絵本フォトを意識して『ROOM』と『GREEN』の2つのレシピを作成しました。ROOMのテーマは『アンティーク』で、温かみが出るようオレンジピンクの色味に寄せ、シャドーにオレンジを入れることでアンティーク感が出るようにしました。GREENは屋外での撮影向けで、全体的に優しい印象になるようふわっとした雰囲気を演出。葉っぱや木の色味に特化し、イエローとグリーンの色味を調整して絵本の挿絵のような画作りができるようにしました」とコメント。

MASAYAさんの色味レシピは「Picture Book」と名付け、「Soft/Medium/Hard」の3段階で作成。「マットな質感で非現実感を出し、淡い色合いになるようにそれぞれの色の彩度を低めに調整しました。ハイライトはオレンジ寄りの暖色、シャドーはブルー寄りの寒色(ティール&オレンジ)にすることで幻想的なムードを演出しています」(MASAYAさん)

撮影会ではこの5つの色味を使用。筆者もZ50IIで実際に撮ってみましたが、比較用に撮ったスタンダードな色味と比べると、色味の設定を変えるだけで雰囲気がハッキリと変わるのがわかりました。

比較用に撮影したスタンダードな色味
REINAさん作成の色味レシピ「ROOM」。スタンダードに近いですが、輪郭がはっきりとしていて立体感が出ています
屋外での撮影にも最適な「GREEN」
MASAYAさん作成の「Picture Book」Soft
「Picture Book」Medium
「Picture Book」Hard

明らかに色味が変わったとわかるものもあれば、パッと見はスタンダードに近いけど、よく見ると被写体の輪郭がはっきりとしていて立体感がわかる仕上がりになっていたりと、色味を工夫する必要性がしっかりと感じられます。

撮影後にレタッチをするとなると1枚1枚に時間が掛かってしまいますが、FCPCで事前に作った色味を使えば枚数が多くなってもすべて統一感のある色味で撮影されているため、仕上がりに掛ける時間を確実に短縮できるのが魅力的です。

ROOMで撮影

子供の一瞬を逃さない高精細AFと軽量ボディ

絵本フォトの撮影は被写体が人物になるため、撮影会が始まる前には参加者に貸し出した「Z50II」の設定で、被写体検出機能を「人物」に選択する工程もありました。

被写体検出機能は、9つの被写体に対して、その被写体を認識した際にカメラが自動的にピントを合わせるというもの。人物を選択すると、瞳を検出したときには目に自動的にピントを合わせ、ピントはカメラに任せて構図や表情に集中して撮影できる点も特徴としています。

「Z50IIの高精細なオートフォーカスは絵本フォトにぴったりで、活発なお子さんだとピントを合わせるのが大変だったりします。ですがZ50IIなら一瞬の表情でもシャッターチャンスを逃さず、どんな子供にも対応できます」(REINAさん)

被写体検出機能を「人物」に設定

もう1つ、Z50IIが絵本フォトの撮影に適している理由として「軽量ボディ」も挙げられました。レンズ込みで1,000gを超える重さになるFXフォーマットのカメラに比べれば、Z50IIは標準レンズを含めて約685gと軽いうえに、どんな人でも握りやすいグリップ形状により、重さを感じにくい仕様を特徴としています。

「子供の撮影は、親の荷物と子供の荷物を持って出かけますし、撮影用の小物などもありとにかく荷物が重くなります。そこにカメラも、となると大変なのは想像がつきますよね。Z50IIは気軽に持っていけるサイズなので、屋外で子供を撮影するのにもぴったりなんです」(REINAさん)

握りやすいグリップにより、重さを感じにくい仕様としています

自宅のソファや窓を工夫して絵本の世界に

撮影会では、REINAさんが小物や背景の効果的な使い方を実演。「自宅にあるもの、100円ショップに売っているもので絵本フォトの世界観は表現できます。今回はソファと窓を使って撮っていこうと思います」とREINAさんは説明。

REINAさんは、ソファにレースの布を掛けてあっという間に撮影スポットを作成。「ドライフラワーを巻き付けたワイヤーを手前に置いて『前ボケ』で撮影すると、より雰囲気が出ます」

REINAさんが小物や背景の効果的な使い方を実演。ソファにレースを掛けています
手前のテーブルにドライフラワーを巻き付けたワイヤーを設置
前ボケで雰囲気を演出

窓を使った撮影では「レースカーテンを取り付けて、レースの影を背景に使うのもオススメです。なのでレースを買うときは模様にこだわると、好みの画作りができます。被写体のポージングは、正面に座ってもらうよりは、ちょっと横にずらしたり、寝転んだりすると良い感じになります。洋書を持ってもらうのもアクセントになりますね。被写体もすべて写そうとはせず、どう切り取るかを考えれば自宅とは思えない写真が撮影できます」と説明していました。

「どの色味で撮影しようか悩むこともあると思いますが、写真に正解はないので、好きな色味を使うのが一番です。自分が好きだなと思ったら、その色味で撮ることで写真がより楽しくなります」(REINAさん)

レースの影を写り込ませることを考えて、レースは模様にこだわって買うとのこと。色味レシピ「Picture Book」Softで撮影

MASAYAさんの絵本フォトは屋外の撮影がメインで、ロケーション選びのポイントを解説。

「あまり難しく考えず、シンプルな背景になるようにしています。背景がゴチャゴチャしていると被写体が目立たなくなり、とはいえ被写体だけだと寂しい感じになるので程よいシンプルさを意識してロケーション選びをしています。

また『被写体×◯◯』といった具合に、被写体となにかを掛け合わせるのもおすすめです。この写真では切り株を活用して撮影していて、絵になりそうな木や花がある場所を探すようにしていますね。後は光が入るだけでもドラマチックになるので、光の使い方にもこだわっています。木漏れ日が差し込む場所を選ぶほか、輪郭がきれいに強調されるので被写体の斜め後ろぐらいから当たるように半逆光で撮影することも多いです」

MASAYAさんの絵本フォトのポイント

フォトスタジオを運営しているMIZUKIさんからは、衣装や小物についてアドバイス。

「白系の衣装はどんな背景でも被写体を目立たせたり、物語の中の主人公のような演出ができます。童話の中に出てくる雰囲気をイメージして、被り物や付け襟を使うのもオススメです。3歳くらいまでなら、ベビーのときに使っていたスタイも付け襟にすることもできます。

屋外で撮影するときはカゴを使うのがオススメで、雰囲気を演出するだけでなく子供用のお菓子を入れておくのにも便利です。また、生花や果物などリアルなものを使うと特別感をグッと際立たせられます」

「白系の衣装はどんな背景でも被写体が目立ちます」とMIZUKIさんのアドバイス

初めてでも楽しめる「Z50II」

撮影会を終えて、日頃から撮影した写真をSNSなどで発信している参加者からは「最近はレタッチに苦戦することが多く、今回Z50IIを使ってみて、あらかじめ色味を設定できるのはとても便利だと思いました。撮ったままの状態で発信できる仕上がりになっているのがかなり魅力的です」といった声もありました。

筆者はプライベートでカメラを触ることはあまりなく、むしろこうした雰囲気のある写真を撮ることに苦手意識があったのですが、Z50IIを使って撮影会に参加し、自分で撮ったとは思えない写真に仕上がったのが感動体験でした。慣れている人は自分で色味を作れますが、慣れるまではクリエイターが作ったレシピなどで自分が好きな雰囲気を見つけるのも良さそうです。

絵本のような世界観を表現するのは当初は難しそうと思いましたが、色味さえ決めてしまえば後は撮影するだけなので、カメラに詳しくない人でも十分楽しめる1台といえるでしょう。

色味レシピ「ROOM」で撮影