トピック

マイナ免許証を発行してきた 更新自体はスムーズだけど注意点も

3月24日より、マイナンバーカードに運転免許証を格納する「マイナ免許証」の運用が始まりました。

筆者は3月18日が誕生日で、ちょうど今年が運転免許証の更新となっていたこともあって、運用開始日に合わせて運転免許証の更新とマイナ免許証を発行してきました。初日の状況と合わせて紹介します、

一部都府県では運転免許証の更新に予約が必要

まずはじめに、マイナ免許証を発行するにあたって必要な手続きを確認しておきましょう。今回は、筆者のように運転免許証の更新に合わせてマイナ免許証を発行する場合の手順を紹介します。

現在、運転免許証の更新を行なう場合、一部の都府県ではマイナ免許証の発行有無に限らず、事前の予約が必要となっている場合があります。今回筆者は東京都で運転免許証を更新しましたが、東京都は事前予約が必須です。この他、2025年3月時点では、千葉県(一部)、愛知県、京都府、大阪府、岡山県、福岡県(一部)、栃木県で事前予約が必須となっています。その他の県でも曜日によっては予約が必要な場合があるようですので、あらかじめ管轄の警察のホームページなどで確認してください。

東京都の場合、「警視庁運転免許手続予約サイト」にアクセスして、更新を行なう場所や受付時間を選択して予約します。なお、筆者が予約を行なった2月下旬の時点では、3月23日までに更新する人と3月24日以降に更新する人で予約の手順が異なっていました。3月24日13時時点でもまだそのメニューが残っていましたが、今後はなくなると思われます。

東京都で運転免許証を更新する場合、「警視庁運転免許手続予約サイト」での事前予約が必須となっている
筆者が予約した2月下旬時点では、3月23日までの予約と3月24日以降の予約で操作が異なっていたが、今後はなくなるはずだ

予約時には、最初にあらかじめ届いている「更新連絡はがき」に記載されている予約IDと講習区分を入力し、現在の免許証保有状況と更新する免許証の種類を選択します。

「更新連絡はがき」に記載されている予約IDと講習区分を入力

筆者を含め、現時点では全ての人が更新時にマイナ免許証を持っていないはずなので、現在の保有状況は「免許証のみ」を選択。それに対し、更新する免許証の種類は、「免許証のみ」「マイナ免許証のみ」「免許証及びマイナ免許証の両方」の3種類からの選択できます。今回筆者は「免許証及びマイナ免許証の両方」を選択しましたが、ここはそれぞれ作りたい種類を選べばいいでしょう。

その後、氏名、生年月日、免許証番号、連絡先電話番号、マイナンバーカード有効期限などを入力して、最後に更新場所と受付時間を指定すると予約完了となります。

現在の免許証保有状況と更新する免許証の種類を選択。今回は、、現在の保有状況は「免許証のみ」、更新する免許証の種類は「免許証及びマイナ免許証の両方」を選択
次に、氏名、生年月日、免許証番号、連絡先電話番号、マイナンバーカード有効期限などを入力
手続きを行なう場所と時間を指定
入力内容を確認して「予約を確定する」ボタンを押すと予約完了

予約が完了すると、更新用のQRコードが発行されます。このQRコードは更新時に必要となるのですが、再度表示しようとすると、また予約サイトから予約IDや免許証番号などを入力する必要があり面倒ですので、ここでスクリーンショットを撮っておくことをお勧めします。

予約時に発行されるQRコードは、あとから呼び出すのが面倒なので、この時点でスクリーンショットを撮っておこう

ところで、運転免許証の更新はまだ先だけど、マイナ免許証を作りたい、という場合には、こういった予約は不要のようです。また、マイナ免許証の発行は運転免許センターだけでなく警察署で行なえます。運転免許センターは更新やマイナ免許証の発行以外の手続きで訪れる人がかなり多く、時間がかかる可能性が高いので、免許の更新を伴わないマイナ免許証の発行は警察署で行なうのがお勧めです。なお、対応する警察署については、管轄の警察のホームページを参照してください。

初日はシステムトラブル発生 更新手続きはスムーズに進行

では、更新日当日の様子を紹介していきましょう。

今回筆者が運転免許証の更新とマイナ免許証の発行を行なったのは、府中運転免許試験場です。できれば、あまり混まない警察署などで行ないたかったのですが、2月下旬の時点で3月24日の午前中に予約できる場所がここしかなかったための選択でした。

おそらく、マイナ免許証の運用開始初日はかなり混乱するだろうと考えて、当日は早めに家を出て、朝7時半頃に現地に到着しました。すると、運転免許証の更新にはすでに10人ほどの行列ができていました。そこに並んでいると、しばらくして係員から、「マイナ免許証を予約した人はこちらに並んで」と、別の列に誘導されました。その時点では、私以外にはマイナ免許証の発行を予約している人がいなかったようで、私ひとりでしたが、その後しばらくするとマイナ免許証の予約列も長くなっていき、最終的には50人ほどの列となっていました。

専用の列に並ばされたところで、ひとりずつ予約画面の確認が行なわれ、番号が書かれた札が渡されました。これは、トラブルをなるべく避ける目的での対応だと思われます。先ほども紹介したように、予約画面を表示するには予約IDなどの入力が必要と結構面倒で時間がかかります。スクリーンショットを撮っておけばすぐに表示できますし、スムーズな対応が可能となりますので、再度となりますが予約時に必ず予約画面のスクリーンショットを撮っておくことをお勧めしておきます。

同時に、「予約をしていないとマイナ免許証の発行はできません」とも案内していましたので、東京都で運転免許証の更新と合わせてマイナ免許証の発行を行なう場合には、忘れずに事前に予約しましょう。

そして、受付開始の8時半となったのですが、いっこうに館内へと誘導されません。どうしたのかと思ったら、「今、システムトラブルが発生していますので、しばらくお待ちください」との案内が。初日は混乱するとは思いましたが、案の定です。とはいえ、システムトラブルは15分ほどで解消したようで、8時50分頃に館内へ誘導されました。

午前7時半頃に府中運転免許試験場に到着
列を作るテントには、マイナ免許証の手続きが予約制であることが記載されており、係員も、予約がないとマイナ免許証の発行はできないと案内していた
今回は、マイナ免許証運用開始初日ということもあって、マイナ免許証発行を予約していた人には列に並んだ時点で予約内容が確認され専用札が渡された
システムトラブルのため、予定より20分ほど遅い8時50分頃から館内への誘導が始まった

なお、府中運転免許試験場は館内撮影禁止ですので、この先は写真がありません。その点ご了承ください。

館内では、まずはじめにキオスク端末で予約状況の確認を行ないます。現在の運転免許証をカードリーダーにかざしたり、新しい運転免許証に登録する2種類のパスワードの入力、発行する運転免許証の種類の選択、予約サイトで発行されたQRコードの読み取りなどを行ないます。マイナ免許証を発行する場合には、ここでマイナンバーカードの読み取りも必要です。

キオスク端末での操作が終わると、3枚の書類が発行されます。内訳は、「運転免許証等更新・講習受講申請書」「質問票」「マイナ(免許証・経歴証明書)引換書」の3枚です。運転免許証等更新・講習受講申請書と質問票は、通常の更新時に発行されるものと同じで、マイナ免許証の発行を希望した場合のみマイナ(免許証・経歴証明書)引換書が追加で発行されますので、全て受け取ります。

この先しばらくは、通常の更新の場合とほぼ同じです。更新手数料の支払い、視力検査、講習を受けて、新しい運転免許証の発行となります。

ちなみに今回は、システムトラブルの影響もあってか、キャッシュレス決済が利用できず、更新手数料は現金でしか支払えませんでした。また講習も9時10分開始予定が30分遅れ、9時40分開始となりました。それでも、マイナ免許証発行の先頭で入館したこともあって比較的順調に手続きが進み、10時10分頃には新しい運転免許証を入手できました。

そして、新しい運転免許証を受け取った後に、マイナ免許証の発行となります。

マイナ免許証の発行は、「マイナ免許証室」という部屋で行なわれました。マイナ免許証の発行手順としては、「AP端末機」のカードリーダーライターにマイナンバーカードをかざしてマイナ免許証AP(アプリケーション)をマイナンバーカードにダウンロード。そして、別のブースへ移動し、マイナ免許証APへ運転免許証の情報を書き込んでマイナ免許証の発行完了となります。

ところで、運転免許証の情報を書き込む際には、「ワンストップサービス」の利用や署名用電子証明書と紐付けするかどうか確認されます。そして、それらを利用するためには、マイナンバーカードの署名用電子証明書に登録している6~16桁の英数字のパスワードを入力することになります。

ワンストップサービスを有効にしておくと、マイナ免許証のみ保有の場合に限られますが、オンラインで住所変更が可能となります。また、マイナンバーカード搭載の署名用電子証明書と紐付けることで、免許更新時のオンライン講習や本籍のオンライン変更申請も行なえるようになります。

筆者は運転免許証とマイナ免許証の2枚持ちで更新しましたのでワンストップサービスは利用できませんが、それ以外の利用を想定して、署名用電子証明書との紐付けを行ないました。

以上で運転免許証の更新とマイナ免許証の発行手続きは完了です。終了したのは10時20分頃でしたので、入館から1時間半ほどで全ての手続きが終了しました。

マイナ免許証読み取りアプリで正常に登録できていることを確認

今回、運用開始と同時にマイナ免許証を発行しましたが、筆者は通常の運転免許証との2枚持ちでの発行でしたので、現時点でこれといってマイナ免許証を活用できる場所はありません。

今後は、マイナポータルと連携して様々なサービスに活用できるようになるでしょうし、スマートフォンへの搭載が実現されると、より利便性が高まるはずです。とはいえ、現時点でできることとなると、警察庁がスマートフォンやPC向けに発行している「マイナ免許証読み取りアプリ」で登録されている情報を読み取って表示することぐらいでしょう。ということで、そちらを試してみました。

今回はAndroidスマートフォンで試しましたが、iPhoneでもほぼ同じ操作で利用できるはずす。

Androidスマートフォン用の「マイナ免許証読み取りアプリ」

まず、マイナ免許証読み取りアプリを起動して、メインメニュー下部の「読取開始」ボタンを押します。すると暗証番号入力画面に切り替わるので、マイナ免許証に登録した数字4桁の暗証番号を入力します。あとは、「氏名等も表示する」ボタンの切り替え後、下部のボタンを押します。

「氏名等も表示する」をオフにした場合には、下部の「読取開始」ボタンを押して、スマートフォンのNFCリーダーででマイナンバーカードの情報を読み取ると、画面にマイナ免許証に格納されている運転免許証の基本情報(顔写真/免許情報記録番号/色区分/有効期限/条件(眼鏡の着用など)/免許の種類)のみを表示します。

【「氏名等も表示する」がオフの場合】
アプリ下部の「読取開始」ボタンを押す
マイナ免許証に登録した数字4桁の暗証番号を入力
スマートフォンのNFCリーダーにマイナンバーカードをかざして読み取る
画面にマイナ免許証に格納されている運転免許証の基本情報を表示する

「氏名等も表示する」をオンにした場合には、「読取開始」ボタンを押してマイナンバーカードに登録した利用者証明用電子証明書用の数字4桁の暗証番号を入力するところまでは同じですが、続いて下部の「次へ」ボタンを押し、マイナンバーカード券面に記載されている生年月日と有効期限、セキュリティコードの入力が必要となります。その後、下部の「読取開始」ボタンを押してマイナンバーカードの情報を読み取ると、マイナ免許証に格納されている運転免許証の基本情報に加えて、マイナンバーカードに格納されている氏名、生年月日、住所の情報も読み取って同時に表示します。

【「氏名等も表示する」がオンの場合】
アプリ下部の「読取開始」ボタンを押す
マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書用に登録した数字4桁の暗証番号を入力
マイナンバーカード券面に記載されている生年月日と有効期限、セキュリティコードを入力
スマートフォンのNFCリーダーにマイナンバーカードをかざして読み取る
マイナ免許証の基本情報と、マイナンバーカードの氏名、生年月日、住所の情報を読み取って表示する

この、読み取ったマイナ免許証の情報は、画像としてダウンロードしたり、情報をマイナ免許証読み取りアプリに保存することが可能です。読み取ったデータは、マイナ免許証読み取りアプリの「保存情報」ボタンから参照できます。ダウンロードした情報は、マイナンバーカードの読み取り不要で参照できます。

読み取ったマイナ免許証の情報は、読み取った情報の表示画面右下のダウンロードボタンから画像で保存したりマイナ免許証読み取りアプリに情報を保存できる
保存したマイナ免許証の情報は、マイナンバーカード不要でマイナ免許証読み取りアプリから閲覧できる

ただし、マイナ免許証読み取りアプリはマイナンバーカードに格納されているマイナ免許証の情報を閲覧するためのもので、マイナ免許証の情報や画像をスマートフォンにダウンロードしたからといって、その情報や画像自体にマイナ免許証としての効力はありません。マイナ免許証を格納したマイナンバーカード、または運転免許証を持っていないと免許不携帯となりますので、注意しましょう。

しばらくは混雑する? マイナ免許証の発行は余裕を持って

マイナ免許証の運用初日となる3月24日運転免許証の更新とマイナ免許証の発行をしてきましたが、システムトラブルはあったものの、それ以外は概ねスムーズに手続きが進んだ印象です。

とはいえ、筆者が更新とマイナ免許証の発行を終えた段階でも、運転免許証更新の列は非常に長く、館内だけでなく外にも長く伸びていましたので、かなり時間がかかっている印象でした。個人的には、こういったことを想定してかなり早く家を出て現地に到着してよかったと強く感じました。

更新やマイナ免許証の発行を担当している係員に聞いてみると、「我々も(マイナ免許証は)今日が初めての初心者なので、時間がかかってしまってすみませんでした」と謝られましたが、今後しばらくは同じような状況が続く可能性が高そうです。ですので、マイナ免許証の発行だけでなく、運転免許証の更新を行なう予定のある方は、手続きに通常より時間がかかると考えて、時間に余裕を持って、早めに受付場所に到着しておくことをお勧めします。

平澤 寿康