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月10万円も? モバイルバッテリーを運ぶスキマバイト「ラウンダー」とは
2025年3月27日 08:40
スキマバイトというと飲食店やオフィスで1日単位で働くことをイメージする人が多いと思います。そのなかで、「モバイルバッテリーを運ぶ」スキマバイトがあるのをご存知でしょうか。
これは、モバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」が導入している業務。街中で借りられたモバイルバッテリーは返却場所が集中してしまうことが多く、借りる人が多い場所へモバイルバッテリーを再配置する「ラウンダー」という役割が存在します。
ラウンダーの報酬は地域によって異なりますが、モバイルバッテリーを1個再配置すると約60円。一度に複数のモバイルバッテリーを再配置することもできるため、ChargeSPOTが設置されているコンビニからコンビニまで移動して再配置すれば数百円の収入を得られます。積極的に稼働している人だと、月の報酬が10万円を超えることもあるそうです。
ChargeSPOTはなぜ、ラウンダーというスキマバイトの募集を始めたのか、また、ラウンダー業務はどのような人が担っているのか、ChargeSPOTを運営するINFORICHの担当者に話を伺いました。
通学途中にスキマバイト
現在、ChargeSPOTのモバイルバッテリーを再配置するラウンダーは、INFORICHが直接依頼している自社ラウンダーと、スキマバイト事業を手掛ける「SpotWORK」経由のラウンダーの2種類が存在します。
メインのラウンダーはSpotWORK経由で、現在までに87,306人がモバイルバッテリーの再配置業務を行なったことがあるようです。
ラウンダーという業務が生まれた経緯について、INFORICHの担当者は「ChargeSPOTは都市部で借りた人が自宅近辺で返却をするパターンが多く、バッテリーの偏在が発生します。最もスピーディに偏在を解消できる方法として、ラウンダーというポジションが生まれました」と説明。
実際にラウンダー業務を行なっている人は、本業が別である人や主婦、学生、療養中やリタイア後などのスキマ時間を活用している人が多いようです。
「女性からは『大きな専用リュックが不要で、子どもの送迎ついでに普段の自転車でも実施できるところが魅力』、『訪問先が個人宅ではないので、本業後の夜の活動も不安が少ない』といった声があり、学生さんからは『急な予定変更時にもシフトの調整などを連絡する必要がなく、通学途中に実施した分だけお金がもらえるのは嬉しい』といった声をいただいております」(SpotWORK担当者)
業務を行なうにはまずSpotWORKへの会員登録や本人確認、簡単なテストを受ける必要があります。それらが完了したらラウンダー業務を始められます。
SpotWORKにログインしたら、マップからモバイルバッテリーが「余っている場所」と「足りない場所」を確認。その場所を予約したうえ、取り出しや補充作業を行ないます。近くのコンビニからコンビニへ、カフェからドラッグストアへと、モバイルバッテリーを再配置しながらウォーキングをするといった人もいるそうです。
ChargeSPOTは全国47都道府県に設置されており、設置台数は計47,000台(2024年12月時点)。
ラウンダーによる再配置がさかんに行なわれているエリアもあれば、ラウンダーが少ないエリアでは作業リソース不足によりChargeSPOT自体の設置拡大に制限が生じるといった課題もあるそうです。
こうした課題を解決するべく、愛媛県ではラウンダーがいない環境でのモバイルバッテリーの偏在解消方法を確立する実証実験も行なわれています。
「ChargeSPOTを多くの人に利用してもらうには、モバイルバッテリーが適切に配置されていることが重要です。ラウンダーが少ないエリアでのバッテリー循環体制の強化は目下の課題となっていますが、愛媛県のように新たなバッテリー偏在解消への取り組みは引き続き検討していきたいと思います」(INFORICH担当者)
ChargeSPOT自体も新たな動きを進めており、今後はクレカのタッチ決済で借りられるバッテリースタンドや、コンセント不要で再生可能エネルギー(太陽光)による蓄電ができ災害時にも対応するスタンドなどの導入が予定されています。
スマートフォンが欠かせない存在となっている現代で、どこでも借りられるモバイルバッテリーもいざというときに必要不可欠な存在といえるでしょう。「どこでも借りられる」という状況は、ラウンダーによる細かな再配置も一役を買っています。スキマバイトに興味はあっても初めての現場で働くのは不安、という場合でもラウンダーなら手軽に始められそうです。興味がある方はぜひチェックしてみてください。