トピック
「Geminiで記事要約」機能をまもなく終了します これまでの利用状況を公開
2025年1月17日 09:30
Watchシリーズの一部記事において、2024年2月からGoogle「Gemini」による「AI要約」機能を提供してきました。約1年間サービスを継続してきましたが、まもなく終了予定です。
終了理由は、利用数は安定しているものの大きく伸びているわけではないこと、「要約」だけで大きな付加価値を見出しづらくなってきたためです。
ただし、かなり多くの方にご利用いただけたこと、サービス開始当初には多くのご意見なども頂戴したこともあり、今回の終了にあたり利用実績や業界の反応、費用、売上などについて簡単にに紹介したいと思います。
「AIを使いたい」 とりあえず記事を要約してみた
この機能は、1,000文字以上の記事を対象に、Gemini(Gemini 1.5)で400字程度に要約するものです。また、「3行」にまとめる「3行まとめ」も提供しています。
もともと、2023年初頭から「生成AI」が盛り上がる中、「インプレスでもAIを使ってなにかできないか?」という観点で企画を開始。AIを活用しながら、ハルシネーション(間違えた回答)を比較的抑えやすい仕組みとして、記事そのものを読み込み要約する「AI要約」として2023年5月からスタートしました(Impress Watchシリーズの全12媒体展開は6月)。
当初は、AIモデルとしてOpenAIのgpt-3.5-turboやGPT-4を活用していましたが、23年12月にGoogleがGeminiを発表したことから、Geminiに切替。あわせて、400字程度に要約する「記事を要約する(AI)」だけでなく、3行に要約する「3行まとめ」も開始しました。
・2023年5月:ChatGPTを使ったAI要約を開始(一部媒体)
・2023年6月:全媒体でChatGPT要約開始
・2024年1月:GeminiでのAI要約を開始(一部媒体)
・2024年1月:要約ページに広告を導入
・2024年2月:GeminiでのAI要約を全媒体に導入
・2024年7月:モデルをGemini Pro 1.5に更新
サービス開始以来、多くの反応をいただきました。当初は、「要約が韓国語や英語になっている」、「要約がすごく短い」、「内容が謎」など課題も多かったのですが、24年7月にモデルをGemini 1.5 Proに更新したあたりから、大きな問題は見られないようになり、その後は安定して稼働しているようです。
利用数は月間10万強
利用状況では、要約ボタンの表示数が1日20万~50万程度で、押下数は1日2,000~5,000で推移しています。2024年の春から夏にかけてがやや高くなっていますが、大きな落ち込みはなく使われています。月間では概ね10万~15万の「要約」が読まれています。
400文字程度で要約する「記事を要約する(AI)」と3行でまとめる「3行まとめ」の2つのボタンの利用率は、約8割が「記事を要約する(AI)」となっています。
媒体別の利用数では、Impress Watch、PC Watch、ケータイWatch、Car Watch、AV Watchなどでよく利用されています。媒体特性もありますが、対象記事を1,000文字以上としているため、比較的文字数が多めな記事の媒体で利用が多くなるという傾向はありそうです。なお、利用率においては、クラウドWatchが最も高くなっています。
また、24年1月にGeminiに刷新するにあたり、要約ページでの広告表示も行なっています。この売上は大きなものではないですが、GeminiのAPI利用料は十分に賄えており、日を追うごとに費用も小さくなっていっています。AIの低コスト化はサービス運営側からも確認できました。また、レコメンド広告の事業者などからの利用率やクリック率の問い合わせをいただくこともありました。
ざっくり振り返りましたが、しっかり使ってもらえるサービスにはなっているものの、最近はWebブラウザでも類似の機能があるほか、スタートから1年以上経過し、新鮮味はなくなってきたと評価しています。社内外から「風景」になってきた、という声も聞こえており、1月末を目処にこのサービスを停止し、次のチャレンジを模索していきたいと考えています。ご利用ありがとうございました。
インプレスとWatchシリーズでは、AI活用を含めて新たなサービスを検討していきます。AI要約についてのご意見や感想などございましたら、以下のフォームまでお便りをいただけますと幸いです。