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アウトドア系ジャケットはダウンも化繊も高性能 幅広いシーンで使える
2024年12月18日 08:20
優れた機能性で、カジュアルからビジネスまで幅広いシーンで使えるアウトドア系のジャケット。今まではアウターといえばダウンが主流でしたが、ここ最近は機能性が進化した化繊を使ったアイテムも増えています。そこで今回は、アウトドアメーカーのジャケットを多く取り揃えるエルブレス 御茶ノ水店の池田凪海さんと若林洋一さんに、今期のトレンドやおすすめのモデルなどを聞いてきました。
「今年は化繊のアイテムが各メーカーから発売されていて、商品数も増えている印象です。アメリカのアルバニー社が開発した『プリマロフト』やテイジンの『オクタ』は化繊の中でも軽くて暖かくて乾きが速いと好評で、様々なメーカーが採用。また、大手アウトドアメーカーでは独自の化繊素材を高い技術で開発しています。ただ、比較すると軽さや保温性はダウンの方が上。一方で化繊は価格を抑えたコストパフォーマンスの良さがメリットなので、お客様にはそれぞれのメリット、デメリットを案内した上でお選びいただいています」
最近は「ゴアテックス」のタグに敏感に反応するお客様も多いそうです。
「以前は『ゴアテックスって何?』と詳しく知らないお客様も多くいらっしゃいましたが、今は『これ、ゴアテックス使ってるんだ』という反応に変わり、ゴアテックスに価値や安心感を見出している方が多いように感じます。ゴアテックスには黒いタグの高い防水性能を備えた『ゴアテックス プロダクト』と、白いタグの防風機能に特化した『ゴアテックス ウィンドストッパー』があるんです。ウィンドストッパーは高い防風性と透湿性によって体を保護する素材で、素材自体に防水機能はありません。表面に撥水加工が施してある程度で、黒タグとは機能が異なるのでご注意ください」
ダウンジャケットなどのアウターはフードなしのニーズが急上昇
トレンドという点でいうと、今期はフード付き以外にフードなしのスタンドタイプが人気だと若林さん。首元をすっきり見せたい、フード付きスウェットの上から羽織りたい、というニーズがある方におすすめするそうです。
「例えば、ザ・ノース・フェイスのダウン『オルタレーションシエラジャケット』がその1つ。表地には撥水加工を施した、軽くナチュラルな風合いのタスランナイロンを使用しています。普通のナイロン素材と比べるとコットンベースな風合いがあるので、カジュアルスタイルでも使いやすいのが魅力です。裏地にはゴアテックス ウィンドストッパー2層構造を採用しているので、風の侵入も軽減してくれます」
同じくザ・ノース・フェイスの『ヌプシジャケット』もスタンドカラーを採用。1990年代に登場して以来、時代に合わせて機能性やデザインをアップデートしてきた定番モデルです。
「環境に配慮したリサイクルダウンを中綿に使用し、表地は強度がある50デニールのリップストップリサイクルナイロンに撥水加工を施すなど、随所にこだわりを感じるアウターです。リュックに干渉する肩部分はナイロン素材で切り替えていたり、静電気の発生を抑える静電ケア設計を採用したりと、使い勝手まで考えられた実用性の高い1着です」
スタンドカラーのモデルはゆったり感のあるボックス型のデザインでオーバーサイズがトレンド。アメリカ系のメーカーは今もオーバーサイズが主流ですが、ヨーロッパ系のメーカーは少しずつスタンダードなシルエットに戻りつつあるので、着用時のシルエットにも注目です。
技術の向上により化繊のジャケットも機能性がアップ
続いて紹介するのは、ここ数年で注目度がアップしている化繊を使ったアウターです。まずは化繊でも高品質な「プリマロフト」を採用した、Rabの「アルパイン ジャケット」が登場。
「イギリスのアウトドアブランド『Rab』は、アウトドア好きのコアなファンが多いブランドです。プリマロフトを使うことでRab史上もっとも暖かく、軽いビレイジャケットと言われていて、濡れた状態でも保温性能が落ちにくいのもすごいところ。このほか、かさばる冬用グローブを収納できる内部ポケットがあるなど、厳しい寒さに対応した工夫がたくさん施されています」
機能性が高い化繊としてテイジンの「オクタ」も外せないと池田さん。次に登場したロジャーエーガーの「Octa エイガーライトジャケット」で採用されています。
「『オクタ』は中綿と裏地が一体化しているため、中綿の吹き出しや片寄りが少ないのが特徴です。繊維の一つひとつにタコ足のような8つの突起があり、その間に空気をためることができるため保温性が高く、ムレも軽減できるわけです。なかでも特筆すべきはその軽さ。通常のポリエステルの1/2ほどの軽さを実現していて着心地はとても軽やか。クシャッと丸めてコンパクトに持ち歩けるポケッタブルなので旅行にもおすすめです」
ここからは、人気メーカー「ザ・ノース・フェイス」独自開発の化繊を使ったアイテムをご紹介。「トランゴパーカ」に採用されている化繊「V-Motion」は、汗や湿気、水濡れに強く、軽量性に優れた素材です。板状にした柔らかな化繊わたを蛇腹に畳んでいるため、そこに空気を溜め込んで高い保温性を確保します。
「ダウンのような暖かさとふんわり感が特徴です。『V-Motion』は蛇腹状の板綿なので動いても突っ張りが少ないですし、生地はほどよくストレッチする薄手のリップストップナイロンなのでアクティブなシーンにも最適。ノースの中ではお手頃な価格ですし、イージーケアで洗濯しやすいので、気を遣うことなく日常的にガンガン使うことができます」
一方、3in1で春先まで長く使うことができる「カシウストリクライメイトジャケット」に採用されている素材は、ザ・ノース・フェイスオリジナルの化繊綿「HEAT SEEKER」です。
「インナーに使われているポリエステルの中綿『HEAT SEEKER』は、軽量でありながらしっかりとした保温性を実現した素材です。アウターは防水透湿性の高いハイベント2層構造の独自素材を採用。今年は寒くなるのが遅かったので、3in1で温度調整ができるこのモデルはかなり売れています」
独自の技術が満載のコロンビアはコスパも抜群!
寒さに強いアウターといえば、コロンビアが独自開発した「オムニヒート インフィニティ」を使ったアイテムも外せません。熱反射保温機能「オムニヒート インフィニティ」はゴールドの裏地が特徴。この裏地が体の熱を効率的に反射して、圧倒的な暖かさをキープしてくれます。
「アウトドアシーンにもタウンユースにも馴染むベーシックなデザインで着回しがしやすい『レイクパウエルIIジャケット』にも『オムニヒート インフィニティ』を採用。表地にはコロンビア独自の撥水加工『オムニシールド』機能を搭載しているので、小雨程度なら弾いてくれます。肘の立体裁断などによりアクティブな動きを妨げないので、ストレスなく着ることができますよ」
また、2024秋冬の新作で、前面の表情が個性的な「グランドトレックIIIダウンフーデッドジャケット」も「オムニヒート インフィニティ」を使ったアイテムの1つ。
「ゴールドの裏地のほか650FPダウンを使っているので、相乗効果で圧倒的な温かさを実現しているアウターです。また、防水透湿機能『オムニテック』も採用しているので、雨の日も安心で、ムレることもないので快適。ダウンの偏りを防ぐために圧着によるバッフル構造を採用して保温効果を高めるとともに、これがデザインのポイントにもなっています」
コロンビアは様々な独自技術を持っているため、他のメーカーと比べると価格が控えめなところが強みです。コスパが高い商品が多いので人気も年々高まっています。
6万円以上の高級ラインもザ・ノース・フェイスが人気
「アウトドアメーカーのジャケットを買うなら、やっぱりダウン」という方に人気が高いのも、やはりザ・ノース・フェイスだと池田さん。少し値は張りますが、信頼性や時代に合わせてマイナーチェンジしていくデザイン性などで選ばれる方が多いようです。
「ユニセックスモデルでXSから展開している『ビレイヤーパーカ』は、ご自身に合ったサイズを選ぶことができる汎用性の高いモデルです。表地には『ゴアテックス ウィンドストッパー』を、中綿には輻射熱を利用して温かさをキープする『光電子プロダウン』を採用しています。とても軽く、ダウンながらシルエットはスッキリ。シンプルなデザインなので、きれいめなスーツにも合わせやすいと思います」
極寒地に旅行に行くなど、より防寒性を求めるなら「アンタークティカパーカ」がおすすめ。先日も海外にオーロラを見に行く、というお客様がこのアイテムを購入されたそうです。
「強度と保温性を高いレベルで実現させた防寒ジャケットで、『GORE-TEX PRODUCTS』の2層素材を採用しています。高強度の200デニールのリサイクルナイロン素材を表地に使用し、保温効果に優れた光電子ダウンを封入。お尻まで隠れる着丈なので、天体観測用の防寒着にもおすすめです」
そろそろ冬本番。厳しい寒さに負けない、暖かく快適なアウトドアジャケットは早めに入手したいところです。今年は懐にやさしい化繊のジャケットにも注目しながら、お気に入りの一着を見つけましょう。
価格は12月6日の取材時点の税込価格です。