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なぜドンキに「プロテイン自販機」が設置されたのか

ドン・キホーテ溝ノ口駅前店に設置されたプロテイン自販機

ドン・キホーテがプロテイン専用自販機を設置して話題になっています。4月に神奈川県横浜市の「MEGAドン・キホーテ狩場インター店」に設置され、現在は川崎市の「ドン・キホーテ溝ノ口駅前店」も加えた2店舗に設置。

粉のプロテインが買えるのではなく、100円を払えば自販機内でプロテインの粉と水が混ぜられ、その場ですぐに紙コップ1杯のプロテインが飲めます。

この自販機は、粉末のプロテイン商品などを手掛けるマイプロテインとドン・キホーテで共同開発して実現したもの。なぜ、ドン・キホーテがプロテイン自販機を設置したのかドン・キホーテの広報担当者に聞いてみました。またドン・キホーテ溝ノ口駅前店にも伺い、プロテイン自販機で抽出されたプロテインも飲んでみました。

マイプロテインとドン・キホーテが共同開発

プロテイン1kgを買うのはためらう

自販機で選べるプロテインの味はココアと抹茶。プロテインのほかに、タンパク質を作りやすくすると言われているEAA(必須アミノ酸)も用意されています。

通常、粉末のプロテインやEAAを買おうとすると、1~2kg単位で3,000円~4,000円で売られていること一般的。

「いきなり3,000円~4,000円の商品購入はハードルが高く、味や成分が合わなかったという失敗をしたときのダメージが気になり購入をためらうというお客様の声があり、商品購入の後押しにもなればと思い自販機を導入しました」(ドン・キホーテ 広報担当者)

プロテインはココア味と抹茶味、EAAはグレープ味を用意
粉末のプロテインやEAAを買おうとすると、1~2kg単位で売られることが多い

マイプロテインの粉末プロテインだと1回30gを水に溶かすことを推奨しており、1kg分買ったら約30回飲めることになります。味が合わなかった場合は30回無理して飲むこととなり、「プロテイン選びは失敗したくない」という声は多くあるようです。

プロテイン自販機では紙コップ1杯分のプロテインが飲め、1回に使用される粉末量は17g、タンパク質は12g摂取できます。一般的な粉末プロテインの1回の使用量は30g(タンパク質約20g)とされているので、それより少ない量になりますが、2種類飲み比べたらちょうど良い量と言えそうです。

プロテイン自販機で使用されているプロテイン粉末。
成分表。1食に使う粉末量は約30g。本商品は1袋700gなので約23回分
プロテイン自販機で1回に使用される粉末量は17g。タンパク質含有量は12g

近年の筋トレブームによりプロテイン市場は上昇傾向で、ドン・キホーテでもプロテインの売上は好調に推移しているようです。また、自販機を設置した2店舗では、「未設置の他店と比べてもプロテイン本品の売上は伸長している」(同社広報)とのこと。

自販機を実際に利用する人はプロテイン本品の購入を検討している人はもちろん、「1杯分が自動で出てきて手軽にタンパク質が摂取できるから」という理由で使う人もいるそうです。

「溝ノ口駅前店は店内に自販機を設置していますが、狩場インター店は店内ではなく駐車場へ向かうコンコースへ設置しています。コンコースへの設置でも多くの利用が確認できていることから、プロテインの購入予定のないお客様にもご利用いただけていると思っております」(同社広報)

設置店舗は、今後の拡大に向けて効果測定も含めて選定。プロテインの売上や店舗の客数、現実的に設置可能かどうかなど総合的に判断し、狩場インター店と溝ノ口駅前店への設置が決定したそうです。

1杯分のプロテインが気軽に飲めることも好評

自販機のプロテインを試飲 意外な発見

実際に溝の口駅前店のプロテイン自販機を利用し、プロテインを飲んでみました。ココア味と抹茶味、それぞれ温冷が選べ、冷たいものは「氷あり/氷なし」も選択できます。支払いは完全キャッシュレスで、交通系ICカードとQRコード決済に対応していました。

まず試飲したのがココア味(冷/氷なし)。決済が完了すると仕上がりまでの時間が45秒と表示され、動作音が聞こえてきます。粉末のプロテインと水が自販機で十分混ざるのか不安でしたが、45秒掛かるとなるとしっかり混ざっていそうで安心です。

できあがると扉が自動で開き、プロテインが出てきました。飲んでみると、ダマ粉末が溶け切らずに残るかたまり)は一切なく、氷なしを選択しましたが十分冷たく飲みやすかったです。紙コップに6割くらい液体が入っており、水の量が結構多めなのか、味としては「薄いココア味」という印象でした。

交通系ICカードとQRコード決済に対応
決済から約45秒でできあがり、扉が自動で開きました
ココア味(冷/氷なし)。味はちょっと薄め

次に飲んだのが抹茶味(冷/氷あり)。こちらも45秒でできあがり、自動で扉が開きます。こちらもダマは一切なく、氷ありなのでさらに冷たく飲みやすかったです。液量もココア味と同じくらいですが、抹茶なので多少薄味でも緑茶っぽく飲めて、ココアより薄さは気になりませんでした。

筆者は普段ココア味のプロテインを常飲しているので絶対にココアの方が好きだと思っていましたが、実際に飲んでみると抹茶味の方が飲みやすかったのが意外な発見でした。お茶感覚で飲めて、タンパク質も摂取できるのは結構良さそうです。飲料はやはり飲まないと好みがわからないので、お試しで飲める便利さを実感できました。

抹茶味(冷/氷あり)。水が多めですが緑茶を飲んでいる感覚でプロテインを摂取できました

このプロテイン自販機では、EAAという必須アミノ酸の試飲も可能。こちらも温冷、氷あり/なしが選べます。EAAはグレープ味で、液量もプロテインと同じくらい。仕上がりまでの時間は35秒でプロテインよりは短めです。

試飲してみると、こちらはグレープ味のスポーツドリンクを薄味にした感じ。プロテインよりすっきりとした飲み口です。EAAは飲んだことがなかったので、どういうテイストの飲料なのか知れて良かったと思いました。

EAAはグレープ味

新店舗には“マッスルドンキ”

溝の口駅前店では、プロテイン自販機を店内のプロテインコーナーに設置。プロテイン市場が上昇傾向なことから、売場にはさまざまなプロテインやシェイカーなど関連商品が並んでいました。

プロテイン自販機は店内のプロテインコーナーに設置。シェイカーなどもあります
マイプロテイン以外にも1杯タイプの粉末プロテインが売られており、品切れも多く人気の模様

こうした商品群の売上が伸びていることから、直近でオープンした店舗では“マッスルドンキ”と称したコーナーも設けているようです。

「8月末にオープンした長野県のドン・キホーテ佐久平店など数々の新店で、宅トレグッズとプロテインをまとめて展開する“マッスルドンキ”コーナーを設置しました。ボディメイクに興味のある方がよりお買い物を楽しめることを意識としました」(同社広報)

健康志向の高まりから筋トレやボディメイク習慣が浸透し、ドン・キホーテの店内でもプロテインコーナーは違和感なく溶け込んでいました。プロテイン自販機は現在2店舗に設置されていますが、今後は拡大を予定しているので、見かけた方はぜひ一度試してみてください。

長野県のドン・キホーテ佐久平店に“マッスルドンキ”コーナーを設置
西村 夢音