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世界で流行「bubble」とはなにか 推しとの個人チャット+の魅力
2024年7月18日 08:20
タレントやアーティスト、キャラクターを応援する「推し活」、皆さんも楽しんでいるでしょうか。推し活ブームのなか、韓国企業「Dear U」が展開しているコミュニケーションアプリ「bubble」の日本版、「bubble for JAPAN」が6月4日にサービスを開始しました。
bubbleの魅力は、アーティストから登録者に対してチャット形式でメッセージが届き、それに対して返信ができるため、推しと1対1でチャットしているような体験ができること。
メッセージの内容は、何気ない一言やプライベートの画像が多く、アーティストと近い距離感で接している喜びを感じられます。
多くのK-POPアーティストが導入しており、翻訳機能もあるので世界各国のファンが楽しんでいます。1アーティストあたり月額500円強という値段ですが、「推しのbubbleを登録するのは当たり前」というほど、日本のK-POPファンを含め韓国内外で浸透しているようです。
今回始まった日本版「bubble for JAPAN」は、日本のタレントやアーティストが参加。機能はグローバル版の「bubble」シリーズと同様で、アーティストからのリアルタイムメッセージやユーザーニックネーム入りのメッセージ、生配信などを用意しています。
世界で広まるbubbleですが、日本のアーティストとファンにも普及するでしょうか。今回、bubble for JAPANのスタートともにMrs. GREEN APPLEと指原莉乃さんのbubbleに登録し、その魅力を探ってみました。
テンプレとわかっていても嬉しい名前呼び
まずは「bubble for JAPAN」をインストールし、アカウントを作成します。グローバル版bubbleのアプリはアーティストの所属事務所ごとに作られているため、アプリストアで「bubble」と検索すると、「bubble for JYPnation」や「bubble with STARS」など、たくさんのアプリがヒット。目的の「bubble for JAPAN」を選択し、インストールしました。
アカウント登録には、メールアドレスが必要です。アカウントを作ったら、プロフィールを設定。ニックネームには、アーティストに呼んでもらいたい名前を設定します。
ちなみに、ニックネームはアーティストごとに変えることもできます。どちらも完了すると、bubbleを登録できるアーティストが「友達」として表示されます。
グループで活動しているアーティストの場合は、メンバーごとにアカウントが用意されていることが多く、Mrs.GREEN APPLEも同様に、それぞれがアカウントを所有していました。
今回はボーカルの大森元貴さんのアカウントを登録。チケットを購入し登録が完了すると、最初のメッセージが届きました。大森さんが呼び捨てで私を呼んでいます。テンプレートとわかっていながらも何となく嬉しさがあり、bubbleの魅力に触れた気がします。
少し時間が経った頃、大森さんからメッセージが届きました。ロック画面に大森さんからの通知が並び、リアルタイムメッセージなので臨場感があります。
bubbleを開くと、「暑すぎんだろ」とのメッセージが。スタンプのような絵文字も送られてきました。
こうした何でもない言葉が送られてくるのは、メッセージングサービスのbubbleならではでしょう。リハに行くなどの日常の様子も送られてきます。
メッセージ内容は他のSNSでは投稿されていないもので、XやInstagramでは見られないようなメッセージの連投もあり、ファンだけに向けた特別な場所のように使われている印象です。
女性タレントは独自の美容情報
せっかくなので、もう1人登録してみます。「(bubbleは)有料なので美容の有益情報など送れたら」と、事前に言っていた指原莉乃さんを追加することにしました。
指原さんのbubbleからは「質問ありますかー?」との呼びかけがありました。bubbleはアーティストからのメッセージを受け取るだけでなく、アーティストに対してメッセージを返信することができます。
アーティストへの返信はアーティストしか見ることができず、アーティストはチャットルームで全体に向かってメッセージを送る形式で返します。ただし、こちらが返信できる文字数には制限があり、1~49日30文字、50日50文字、77日77文字~というように、購読し続けると文字数が増えていく仕様です。
何を聞こうか迷っているうちに、指原さんがどんどん引用返信の形式で返事をしていきます。自分の美容法やいつも使っている塗り薬を画像で送ってくれたりもします。恋愛相談も多く、指原さんがびしっと答える姿に、「ファンから頼られているんだなぁ」と実感することができました。
何とか質問を文字数におさめて送信しましたが、私への回答はありませんでした。でも、「いつか返信が来るかも」と毎回期待して画面を開いてしまいます。もし返信が来たら、ものすごく嬉しいはず。返信することにハマってしまいそうです。
また、指原さんも大森さん同様、bubbleのメッセージはほかのSNSでは投稿されていない内容になります。「ストーリーに一回載せたけど消しちゃった。こっちだけに送るね」など、特別感があるのもファンにとっては嬉しいポイントでしょう。
ところで、もしアーティストから返信が来たら、大切に保存しておきたいところです。でも、bubbleはスクリーンショットを撮ると、個人利用の範囲を超えた行為、第三者への販売・転送行為は禁じられているという警告が表示されます。
そこでbubbleには、「OUR BOX」という保管場所が用意されています。指原さんが送ってくれた美容情報は、ここに保管することにしました。ちなみに、OUR BOXに保存できる数も購読日数によって制限があり、基本は1つのチャットルームにつきメッセージ9個までで、購読日数が増えると保存できる数も増えていきます。bubbleをやめてしまうと見られなくなるのが悩みどころです。
bubbleの機能はメッセージだけではありません。生配信を見られる「bubble LIVE」機能も用意されており、いつかライブ配信が見られるかも。様々な期待から、購読をやめづらくなる人が多そうです。
アーティストとファンが安心して交流できる貴重な空間
アーティストとファンがメッセージで交流できるサービスは、他のファンコミュニティプラットフォームも提供しています。有名なところでは韓国WEVERSE COMPANYの「Weverse」や日本THECOOの「Fanicon」などがあります。
また、ファンクラブの機能のひとつとしてメッセージングサービスが提供されている場合もあります。こうしたサービスは、チャットのような画面デザインにより、友人と会話しているような親密度を感じられます。
流行りつつあるメッセージングサービスですが、難点もあります。
ひとつは、課金制という点です。bubbleはワンコインとはいえ、月額課金が必要です。熱心なファンはすでにファンクラブに入会していることが多く、ファンクラブの会費を支払った上にさらに課金することになります。
推しの情報を知りたいから絶対登録するという人もいると思いますが、若いファンにとってはなかなかの出費。SNSでの反応を見ると、「ファンクラブにもメッセージ機能があるのにひどい」、「メンバーそれぞれに課金はつらい」などの声も挙がっていました。
また、コンテンツに関しても差別化が必要です。アーティストとしては、ファンクラブとは異なる情報を発信しなければならないプレッシャーもあるかもしれません。Instagramのストーリーズ、ライブ配信、Xなどを駆使して無償でファンと交流しているアーティストも、bubbleでは価値ある情報を提供したいと考えるでしょう。
このような理由からか、藤田ニコルさんは今のファンクラブをやめていずれはbubbleに移す予定を立てているようです。
新しいファンクラブはbubbleです:dog::ribbon:
— 藤田 ニコル(にこるん):crescent_moon: (@0220nicole)June 3, 2024
6月4日からスタートです:sparkles:今のファンクラブからの移行はまたファンクラブ内でお知らせします:ribbon::ribbon:
一方で、bubbleをアーティストから見た場合、誹謗中傷や炎上が起こりにくいことは大きなメリットでしょう。自分の発言を読んでいる人は基本的にファンだけです。リポストのような拡散される仕組みもありません。おかしな絡み方をしてくる人は課金によってふるいにかけることができます。
ファンからのメッセージが誹謗中傷や暴言にあたる場合、プラットフォームがチェックしていると思われます。ファンとしても、SNSなどで自分の好きなアーティストが叩かれているのを見るのは忍びないもの。アーティストとファンだけの閉じた空間で安心してやり取りできるのはありがたいでしょう。
また、bubbleでは、アーティストから引用されたファンのコメントは薄い色で表示されています。アーティストの発言が目立つことで、不公平感を抱きにくくしているのだと思います。ファン同士も仲良くいられるような配慮が感じられます。
今回登録したお2人について、私は熱心なファンとまでは言えませんが、それでも通知が来るとわくわくしながらアプリを開いていました。特に、指原さんが質問を募集して回答を続けてくれたときは、夜遅くまで友達同士でグループチャットをしているような楽しい時間を過ごせました。この体感は、ファンクラブのお知らせやSNSの発信では得られないものだと思います。推し活やファンコミュニティの在り方が、大きく変化してきていることを感じました。