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ChatGPT超入門:たくさんあるAIチャットツールどう使う? 注意点は?
2023年6月23日 08:20
「AIで英会話できるようにしてみた」「AIで小説を書いてみた」といったSNS投稿を目にする機会が多くなっています。そこで活躍しているのがAIチャットサービス。その代表格の1つが「ChatGPT」です。
チャット形式で人間相手と同じように自然なやりとりができ、ユーザーからの質問に答えるだけでなく、新たな物語を作り出すなどさまざまな機能をもっています。このようにテキストなどの情報から、回答のようなものを導き出したり、新たな物語を作り出すものは生成AI(Generative AI)と呼ばれています。
しかし「面白そうだから試してみたい!」と思いながらも、どう使えば良いのか、あるいは何を聞けば良いのかわからず、その能力を十分に発揮できていない人もいるのでは?
そこでこのシリーズでは、数あるAIチャットのなかでもChatGPTを中心に、まだそれらを使ったことがない、もしくはうまく活用する方法がわからない人に向けて、初歩的な知識から具体的な使い方、より進んだ機能の活用方法まで、3回に渡って解説していきます。
ChatGPTやAIチャットとはどういうもの?
ChatGPTをはじめとするAIチャットは、一般的なチャットツールと同じように対話形式で、ユーザーとAIがやりとりできるサービスです。AIに質問したいこと、相談したいことをテキストで入力して送信すると、AIがそれに合った回答を返します。また、その回答をもとにさらに突っ込んだ質問をして会話を広げたり、自分が期待する回答に修正していったりできるものもあります。
入力する内容には特に制限はありません。ChatGPTを使う場合は、日本語でも問題なく質問できます。自分が今調べたいことを聞いてもいいですし、自分が今気になっていることについて、他の人(AI)の意見や見方を知りたいときに使ってみてもいいでしょう。たとえば「インプレスWatchについて教えてください」と質問すると、以下のように回答してくれます。
「インプレスWatch」に関する回答は、正確ではありませんが、おおよそ把握できます。なぜ「正確ではない」のかは後で説明しますが、とりあえずはこのように他人に質問するのと同じ聞き方で、インターネット上にあるいろいろな情報がその場で得られるわけです。
ただ、インターネット上にある情報を得るだけであれば、今までのようにサーチエンジンでキーワード検索すればいいのでは、と思うかもしれません。たしかにその通りです。でも、今手元にある食材を使った料理のレシピを知りたいときはどうでしょうか。サーチエンジンだと「青椒肉絲 たけのこなし レシピ」みたいなキーワードで検索するかもしれませんが、検索結果には大量の候補が表示され、迷ってしまいます。
これをChatGPTで「青椒肉絲の作り方を教えてください。ただ、竹の子がありません」と聞いてみると、必要な材料と料理手順だけをすぐに提示してくれます。おそらくこの内容で実際に料理しても、問題なくおいしい青椒肉絲ができるでしょう。
サーチエンジンでは料理写真も表示されたりして期待感をそそりますが、どのレシピサイトを参考にするか迷ってしまい、余計に時間を費やしてしまいそうです。
また、本当なら青椒肉絲には豚肉を使うところですが、確認したら冷蔵庫に牛肉しかなかったときには、続けてその旨を伝えるだけで下記のように代わりのレシピもすぐに出てきます。
こんな風にChatGPTだと質問内容に則した情報だけを簡潔に得られるので、時間の節約につながる可能性があります。
AIチャットにはどんなサービスがある?
このシリーズでは、ChatGPTを軸に解説していきますが、他にもいろいろな企業から個性的なAIチャットサービスがリリースされています。2023年6月現在、個人が手軽に使い始められるAIチャットサービスやアプリの代表例をいくつか挙げてみました。
OpenAI公式の「ChatGPT」Web版とiOS版
「ChatGPT」という名前のサービスは、OpenAIという米国企業が開発したものです。パソコンやスマートフォンからアクセス可能なWeb版と、iPhoneで利用可能なiOSアプリ版の2種類が用意されており、現時点でAndroidアプリ版はまだリリースされていません。
ユーザー登録すれば無料でも利用できます。一定時間内に質問できる回数、回答の文字数やバリエーション、返答の速度などに制限はあるものの、AIチャットでどんなことができるかを確認するのには十分な機能をもっています。
有償サービスの「ChatGPT Plus」(月額20ドル)に登録すると、一定時間内に質問できる回数の制限はほぼなくなり、より高速に回答が表示されるようになります。また、これは次回もう少し詳しく紹介しますが、無料版で使うことのできる「GPT-3.5」という言語モデルに加えて、新しい世代の「GPT-4」という言語モデルも利用できるようになります。新しい言語モデルではさらに精度の高い回答が表示され、AIチャットの応用範囲が広がる可能性があります。
2023年6月には、ChatGPTの機能の大半をiPhoneから容易に利用できるようにしたiOS版アプリも公開されました。無料でも使用できるのはもちろんのこと、ChatGPT Plusの機能もサポートしており、音声認識や画像からの文字抽出で質問文を設定できるといったアプリならではの機能も備えています。
ChatGPT
https://chat.openai.com/
OpenAIのAPIを用いたサービス、スマホアプリ
OpenAIではChatGPTと同等の機能を他のサービスなどから利用できるようにするAPIも用意しています。そのAPIを用いて開発されたチャットアプリとして初心者にもわかりやすいのが、LINEから使えるチャットボット「AIチャットくん」です。
すでにLINEを使っている人であれば、「AIチャットくん」を友だち登録するだけで、ChatGPT相当の機能が利用できます。使い方は、いつもLINEで他の人にメッセージを送るのと同じで違和感はないはず。無料の場合、質問は1日5回までという制限があり、それ以上の利用には有償のプレミアムプラン(月額980円、もしくは年額9,800円)に登録する必要があります。
「AIチャットくん」はインターフェースも含めすべて日本語で使えるのがメリットの1つです。ただし、本家ChatGPTと比べて無料で利用できる範囲が狭いこと、GPT-4などの新しい技術・機能が現時点では利用できないこと、といった制約があります。
AIチャットくん
https://picon-inc.com/ai-chat
マイクロソフトの「Bing AIチャット」
2023年2月に登場した「Bing AIチャット」は、その言語モデルにOpenAIのGPT-4を採用したAIチャットサービスです。WebブラウザーのEdge、もしくはBingアプリ(スマートフォン用)などから利用でき、サーチエンジンであるBingのデータも活用するため、最新の情報をもとにした返答が期待できます。
「より創造的に」「よりバランスよく」「より厳密に」という3パターンの会話スタイルのなかから選んで質問でき、質問内容や用途に応じた適切な回答を引き出せるのも特徴です。利用にはMicrosoftアカウントが必要ですが、料金は不要。一連の会話におけるやりとりの回数、または1日あたりの利用回数には制限があり、その上限はタイミングによって増減することがあります。
Bing AIチャット
https://www.microsoft.com/ja-jp/bing?form=MA13FJ
Googleの「Bard」
このなかで最も後発となったAIチャットサービスが、Googleの「Bard」。Googleアカウントを所有しているユーザーなら、誰でも専用サイトにアクセスしてWebブラウザー上で利用できます。料金は無料です。
OpenAIやChatGPTとは直接関係していない別の言語モデルを採用しており、サーチエンジンであるGoogle検索の情報も取り入れているためか、こちらも最新の情報をもとにした回答が可能になっています。
返答速度はChatGPTなどよりも概ね高速で、異なるニュアンスの別の回答バリエーションをすぐに生成することもできます。また、生成された回答を質問文と合わせてGoogle ドキュメントやGmailにエキスポートする機能もあるなど、再利用のしやすさを意識した工夫が盛り込まれています。
AIチャット活用前に注意しておきたいこと
AIチャットを利用する際には、あらかじめ注意しておきたいこともいくつかあります。誰でも簡単に使い始められるとはいえ、ある程度その仕組みを理解していないと期待した結果が得られないだけでなく、トラブルにもつながりかねません。
ChatGPTは2021年9月までのデータしかなく、不正確な場合も
ChatGPTが回答する際に参照しているデータは、基本的に2021年9月までのものです。それ以降の情報は知り得ないため、回答として引き出せないか不正確な回答になる場合があります。したがって、Web検索代わりにここ最近の出来事にまつわる事柄を問うような使い方は、ChatGPTにはあまり向いていないと言えます。
また、2021年9月以前の情報であっても、その回答を鵜呑みにするのは避けた方が良い場合もあります。たとえばこの記事の最初に例として挙げた「インプレスWatchについて教えてください」という質問に対して、ChatGPTでは「1989年に創刊され」と答えていましたが、実際は1995年であり、「Impress Watch(シリーズ)」として認識されるようになったのはさらに後です。もっと言うと、ChatGPTの回答では「Impress Watch(シリーズ)」とこの記事を掲載している媒体「Impress Watch」の違いも区別されていません。
正確さを必要とする用途においては、ChatGPTを信用しすぎず、他の手段で調べた情報と合わせて判断するようにすべきです。
プライバシー情報は送信しない
ChatGPTを含め、各社のAIチャットサービスでは、質問文にプライバシーに関わる情報を入力するのは控えましょう。「私はイチゴが好きなのでイチゴを使った料理レシピが知りたい」といった程度なら問題ないと考えられますが、自分や他人の本名、連絡先など個人情報に関わる事柄、仕事に関連する情報などを入力すれば、それがAIの学習データとして取り込まれ、活用される可能性があります。
結果、他のユーザーのテキスト生成を通じて、間接的にプライバシー情報や機密情報の漏洩につながる可能性も否定できません(ChatGPTでは個人情報は削除したうえでAIの改善にデータ利用する、としています)。
最近は下記のような報道もありました。質問文に含めている事柄が他の人に知られても問題ないかどうか、送信前に一歩踏みとどまって考えるようにしましょう。
また、これとは別に、OpenAIが開発したものではないのにChatGPTという名前が入ったアプリ、もしくはそれに似た名称のアプリの中には、意図的にユーザーの情報を収集するなどの目的で公開していると見られるものもあります。少なくともChatGPTのような名前を使ったアプリがAndroid版などとして公開されていても、現段階ではいずれもフェイクですので利用は慎重になるべきです。
入力テキストが学習されないようにする方法
質問文に個人情報や機密情報を含むにしろ、含まないにしろ、自分の入力した内容がChatGPT側で学習データとして利用されるのは避けたい、と考える人もいるはずです。その場合、現在は2つの方法で対処することができます。
1つ目は、ChatGPTの設定画面にある「Chat History & Training」をオフにするというものです。これにより、その後入力した質問文の内容が学習データに利用されることはなくなります。ただし、同時にチャットの履歴も残らないようになってしまいます。
2つ目はオプトアウトの手続きを取ることです。下記URLのオプトアウト専用フォームに必要事項を入力して送信することで、ChatGPTなどで入力した内容が学習に使われることはなくなる、としています。
User Content Opt Out Request
https://docs.google.com/forms/d/1t2y-arKhcjlKc1I5ohl9Gb16t6Sq-iaybVFEbLFFjaI/viewform?ts=63cec7c0&edit_requested=true
なお、ChatGPTを企業などでビジネス利用しているユーザーに向けては、今後「ChatGPT Business」という形で、最初から入力内容を学習に使わないように設定された新たなサブスクリプションプランを用意すると予告されています。
ChatGPTで生成した文章わかりましたか?
ちなみに今回の記事の導入文は、実はChatGPTで生成したものをもとに加筆・修正して仕上げています。記事にして問題ないと思えるレベルのものを一発で作り出すのはまだ難しいところがありますが、人間がゼロから文章を考え出すより効率を上げられる可能性は大いにあります。
というわけで次回は、そうした文章生成も含めたChatGPTの使い方について詳しく紹介していきます。