トピック

iPhone引越しで躓きがちなポイント。SuicaとLINEに注意しよう

iPhoneユーザーの方は、毎年10月から年末にかけて機種変更を検討する時期ですね。最新モデルを買うべきか、それとも一世代前のモデルにするか、コスト優先でSEにしようかなど、悩んでいる時間が楽しかったりします。それで、購入後は結構忙しい。新しい端末が届いたらデータを移行して、フォーマット、早めに下取りへと考える人もいるでしょう。

iOSもアップデートされて使いやすくなっているため、古い端末からのデータ移行に戸惑うことは少ないと思います。新旧の端末を並べて電源ONから「クイックスタート」の処理に進めば、ほとんど何もすることなくクローンのできあがりです。

2台の端末が同一のネットワーク上にあり、BluetoothがONの状態で、画面を進めると「クイックスタート」の処理を提案される(左)。フワフワしたマーク(右)を古い端末で撮影すると、新しい端末にクローンができあがる

しかし、データが移行できたからといって油断してはいけません。特に決済可能なモバイルSuica(Apple PayのSuica)と、利用されている方も多いLINEは、古い端末での操作が残っています。今回は、iPhoneの新旧端末で注意するべきポイントについてまとめて紹介します。

バックアップは重要

クイックスタートが便利とはいえ、転送するデータの容量によってはiPhoneをしばらく使えなくなる弱点があります。また、旧端末の電源が入らない、カメラが動作しないということもあるので、万が一に備えてバックアップは作成しておくべきでしょう。

基本的にiPhoneのバックアップは、iCloudに保存されています。設定アプリを開いて、画面上部のApple IDから、[iCloud]-[iCloudバックアップ]の項目で設定状況を確認可能です。バックアップを意識したことがなければ、一度確認しておくといいと思います。

設定アプリのApple IDから[iCloud]をタップすると[iCloud]の画面が表示される(左)。[iCloudバックアップ]のスイッチがオンになっていれば、iCloudへのバックアップが設定されている(右)。この例ではiCloudの容量不足により、バックアップが作成されていない

この例では、無償で提供されるiCloudの容量5GBを使い切っていて、このまま[今すぐバックアップを作成]をタップしても「iCloud Driveの容量が足りない」とメッセージが表示されます。このようなときは「データ移行のための一時的なバックアップ作成」の機能がオススメです。iOS 15以降で利用できます。

設定アプリの[一般]をタップ。下部の[転送またはiPhoneをリセット]をタップする(左)。[転送またはiPhoneをリセット]の画面(右)で[開始]をタップする。続いて表示される画面の指示に従って操作する

バックアップの作成は時間がかかるので、夜中に仕掛けておきましょう。なお、一時的にバックアップが保管されるのは21日間なので、新しいiPhoneを手に入れてから作業するのが確実ですね。ただし、あくまでも「一時的」なバックアップです。

現状でiCloudの容量が不足している場合、新しいiPhoneのバックアップも作成されません。iCloud上の写真や動画などを整理するか、iCloud+のサブスクリプション契約などでバックアップのスペースを確保するのが無難です。

バックアップがあれば、新しいiPhoneでの復元は簡単です。電源ONで「こんにちは」に続く画面の指示に従って、作成したバックアップを選択すればOKです。

新しいiPhoneでSuicaを使えるようにする

新しいiPhoneでSuicaを使うには、古い端末でモバイルSuica(Apple PayのSuica)を“削除”します。“削除”と言われると不安かも知れませんが、Suicaの情報はサーバーにいったん退避され、同じApple IDを使う新しい端末に紐付け直される仕様なので問題ありません。なお、[Suica]アプリはApple Payに連動するため、特に操作は必要ありません。ここでは、Suicaを例に操作していますが、PASMOも同様に操作できます。

JR東日本のヘルプにもあるように、“新旧の端末で同一のApple IDでサインインしておく”ことが条件なので、設定アプリでApple IDを確認しておきましょう。

古い端末での操作。[Wallet]アプリからApple Payに登録されたSuicaを表示した。画面右上の[・・・]をタップして[カートの詳細]をタップする
Suicaの情報が表示される。画面を下にスクロールして[このカードを削除]をタップする
[削除]をタップする。残高が戻せることが明記されている

続けて新しい端末で操作します。SuicaをApple Payに登録するには[Wallet]アプリを使います。新規登録ではなく、引き継ぎするので「以前ご利用のカード」を選択します。古い端末でApple Payに登録していたクレジットカードなども表示されるので、必要があればまとめて登録可能です。

新しい端末での操作。[Wallet]アプリを起動して、画面右上の[+]をタップする
[以前ご利用のカード]をタップする
古い端末でApple Payに登録していたクレジットカードなども表示される。Suicaにチェックが付いていることを確認して[続ける]をタップする
新しい端末のパスコードを入力する
追加するSuica(古い端末でのSuicaと同じもの)の情報が表示された。[次へ]をタップする
[完了]をタップする
Apple PayにSuicaが登録された。[完了]をタップする
[Suica]アプリの画面。Apple Payと連動してSuicaが登録される

LINEのアカウントの引き継ぎ前に古い端末で行なう操作

LINEのアカウントの引き継ぎは、[LINE]アプリのバージョン Ver.12.13.0以降、かなり簡単になりました。失敗も回避できるはずなので、[LINE]アプリを最新バージョンにアップデートしてから読み進めてください。本稿執筆時点で最新バージョンは、Ver.12.16.0です。

[LINE]アプリを最新バージョンにアップデートしておこう

最新バージョンの特徴は2つ。どちらもメリットの大きいアップデートです。

  • 古い端末で引き継ぎ用のQRコードを表示して、新しい端末で読み取れば引き継ぎ可能
  • PINコードを設定しておくと、古い端末がなくても引き継ぎ可能(異なるOSも可)

ただし、QRコードとPINコードで引き継げるのは“直近14日間トーク履歴のみ”であることに注意してください。過去分のトーク履歴を引き継ぐには「バックアップ」が必要です。PINコードは未設定の方が多いと思いますので、この機会にバックアップの確認と同時に設定しておきましょう。まずは古い端末での操作になります。

はじめてバックアップを設定する場合、以下の操作中に[LINE]アプリからiCloudへのアクセスを許可するかどうかのメッセージが表示されることがあります。許可してLINEのバックアップをiCloudへ保存できるようにしてください。

[LINE]アプリを起動しておく。左下の[ホーム]をタップして、右上の歯車のアイコンをタップする
[設定]の画面が表示される。[トークのバックアップ]をタップする
[トークのバックアップ]の画面に切り替わる。「前回のバックアップ」に日時が表示されていれば、バックアップがされている。[バックアップ頻度]もあわせて確認しておこう。[PINコードを作成してトーク履歴をバックアップ]をタップする
任意の6桁の数字をPINコードに指定する。画面の説明にもあるが、PINコードは忘れてはいけない。[→]をタップする
バックアップが開始する

バックアップがあるだけで安心できますよね。さっそくQRコードで新しい端末へ引き継ぎたいところですが、もう少し古い端末でのチェックポイントにお付き合いください。登録済みの電話番号、メールアドレス、パスワードを確認しておきましょう。[設定]の画面から、[アカウント]をタップして表示します。

[アカウント]の画面は、[設定]の画面から、[アカウント]をタップして表示する。電話番号、メールアドレス、パスワードを確認しよう。それぞれ項目をタップすると再設定の画面が表示される

正しい電話番号が登録されているかを確認してください。機種変更時に電話番号が変わる場合は要注意です。新しい電話番号を登録しておきましょう。SMSで届く認証コードを受け取れなくなってしまいます。

メールアドレスは、パスワードを忘れた時など、LINEアカウントに紐付く連絡先として、このメールアドレスに情報が送信されます。もし、古いキャリアメール(docomo.ne.jp)など、今は受け取れないメールアドレスが登録されている場合は、受診可能なメールアドレスを登録しておきましょう。

ここでの“パスワード”は、LINEアカウントのパスワードです。忘れている場合は再設定しておいてください。ちなみに、[LINE]アプリにログインするためのパスコードとは別物です。

なお、コインのほか、LINE PayやLINEポイントはそのまま引き継がれますが、コールクレジットを利用している人は注意。古い端末で使い切るしか方法がないようです。また、コールクレジットでオートリチャージ(自動継続)を契約している場合、タイミングによって古い端末にリチャージされてしまう可能性もあります。LINE STOREのマイページの[プラン管理]から、オートリチャージをキャンセルして、新しい端末で安定運用できてから設定し直しましょう。

新しい端末でLINEのアカウントを引き継ぐ

新しい端末でのLINEアカウントの引き継ぎに備えて古い端末でQRコードを表示しておきます。

古い端末での操作。[設定]の画面の[かんたん引き継ぎQRコード]をタップする
引き継ぎ用のQRコードが表示される

あとは新しい端末の[LINE]アプリの画面の指示に従ってQRコードを読み込めばOKです。QRコードの読み込みが完了した時点で、古い端末に確認のメッセージが表示されるので[次へ]をタップしてください。

新しい端末での操作。[LINE]アプリを起動して[ログイン]をタップする
[QRコードでログイン]をタップする
[QRコードをスキャン]をタップする
古い端末に表示したQRコードを読み込む
この画面が表示されたら古い端末を確認する
古い端末での操作。[はい、スキャンしました]にチェックを付けて、[次へ]をタップする
新しい端末での操作。[トーク履歴を復元]をタップする
[次へ]をタップする
任意で年齢確認をする。ここでは[あとで]をタップした
[ログイン]をタップする

新しい端末にLINEアカウントを引き継げたら、LINE Payの“パスワード”を確認しておきましょう。決済時に使うパスワードです。今までFace IDなどで済ましていて、忘れているなら再設定しておきましょう。

[ウォレット]をタップして、残金の部分をタップする
決済時にパスワード認証するかどうかの確認が表示された。ここでは[オン]をタップした
パスワードを再設定したいので、[パスワードをお忘れの場合]をタップする
[SMS認証番号]をタップする。LINEに登録してある電話番号にSMSメッセージが届く
受信した認証番号を入力して[OK]をタップする
新しいパスワードを入力する
パスワードをもう一度入力する

そのほか引っ越しで気を付けるコト

今回はSuicaとLINEの引き継ぎについて紹介しましたが、引っ越しで気を付けるべきポイントはまだあります。新しい端末でアプリやWebサービスなどを利用する時は再認証が必要になるでしょう。Webブラウザーに保存したパスワードや各Webサービスの用意している「パスワードを忘れた場合は」を利用する必要があるかも知れません。

特に決済が必要なサービスなどでは、SMSによる二段階認証が一般的です。金融系のアプリなら送金時に利用するワンタイムパスワードなどの再設定も忘れがちです。「Google Authenticator」などの2段階認証のアプリも、移行作業が必要なものがありますので注意しましょう。

送金時に利用するワンタイムパスワードは、口座情報とは別に再設定が必要になる

インストールされているアプリを一通り起動して、スムーズに利用できるかは確認しておきたいですね。不要なアプリを整理するのにもいい機会です。ユーザー辞書、インターネット共有、アラームなどの設定も見直してみてはいかがでしょうか。