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ドコモ、ペダルを漕がない電動モビリティ 歩道走行不可・免許必須

ドコモ・バイクシェアは、特定小型原動機付自転車(特定原付)に該当する新型電動モビリティを、バイクシェアサービスに導入すると発表した。2025年春より実証実験開始を予定している。特定原付は16歳以上で利用でき、免許不要な点を特徴としているが、同社のサービスでは第一種、第二種運転免許証の登録が必須となる。

着座姿勢で、漕がずに走行する新型電動モビリティ。ハンドルのスロットル操作で走行する。最高速度は20km/時以下。タイヤサイズは20インチ。

特定原付は、最高速度6km/時以下であれば歩道走行が可能な「特例特定小型原動機付自転車」といった区分もあるが、同社の電動モビリティは時速6km以下のいわゆる「特例モード」は搭載せず、車道走行専用車両としている。車体にも歩道走行禁止のステッカーを貼り、乗る人にも乗らない人にも歩道禁止の周知を行なう。

着座姿勢で漕がずに走行できる
特定小型原動機付自転車の定義
歩道走行禁止のステッカーを貼り、歩道禁止の周知を行なう

また、免許不要で利用できる点も特定原付の特徴だが、同社の電動モビリティでは第一種、第二種運転免許証の登録が必須となる。免許を取得していない人は利用できない。安全性にこだわり、利用者が交通ルールを正しく認識しているかに重点を置いたことを理由としている。

ヘルメットの貸出は予定していないが、ヘルメット着用の習慣作りを推進していく。実証実験期間中には、抽選でヘルメットのプレゼントや、タイアップ企画などを実施する予定。

第一種、第二種運転免許証の登録が必須となる
交通ルールの啓発なども行なう
ヘルメット着用を促進

新モビリティを受け入れてもらうための安全性

ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長 武岡雅則氏は、新型電動モビリティの導入と安全性へのこだわりについて以下のように話した。

「特定原付に該当するモビリティは増加し、街中でも当たり前になってきています。ドコモ・バイクシェアでもこのカテゴリに参入し、しっかり広げていきたいと考えました。一方、新たなタイプのモビリティは、電車や自転車など既存のモビリティと同様に街や人から受け入れられる存在にならなければ“日常の移動手段”として浸透しません。くらしに溶け込む移動を考えたときに、何よりもまず安全性が重要になります。走行性や快適性だけでなく、安全性を根底に考えて、今回さまざまな仕様を取り入れました」

ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長 武岡雅則氏

車両の製造は、ハセガワモビリティが担当。同社の電動モビリティブランド「YADEA」の車体をベースに、ドコモ・バイクシェア専用モデルを用意した。

「ベースモデルはありますが、シェアサイクル事業で培ってきた経験・ノウハウから、高い品質をリクエストしてドコモ・バイクシェア専用のモビリティを作ってもらいました。

日本の法制度に適応させるだけでなく、走行性・快適性・安全性をしっかり実現していく必要があります。単にできあがったものを買うのではなく、高い品質チェックができる、そうした調達のモビリティパートナーが必要になると考え、その役割をハセガワモビリティさんにお願いしました」(武岡氏)

車両はハセガワモビリティの電動モビリティブランド「YADEA」の車体をベースに、ドコモ・バイクシェア専用モデルを開発

ハンドルは、右部分にアクセルスロットル、左右にブレーキレバーを採用。ウインカーのスイッチ、速度計と電池残量を表示するディスプレイも備える。

車両サイズは、1,550×590×1,160mm(全長×全幅×ハンドル高さ)、重量は28.6kg。耐荷重は人+貨物で120kg。定格出力は350W。バッテリーは14,000mAh。航続距離は70km。

ハンドル右部分にアクセルスロットル、左右にブレーキレバーを採用
足置き
ディスプレイ
スペック

同社の電動アシスト自転車は、貸出用アタッチメントを搭載しているが、今回の電動モビリティには非搭載。バイクシェア専用車両として製造しているため、貸出ユニットは本体に内蔵している。後輪カバーの2次元コードを読み取って貸出手続きを行なう。

なお、実証実験では既存のドコモ・バイクシェアアプリとは別のアプリを使用する。免許証の登録、eKYC認証、交通ルールテストなどの対応が必要なため、別のアプリが必要となる。将来的に1つのアプリにするかは今後検討していく。

貸出ユニットは本体に内蔵。後輪カバーの2次元コードを読み取って貸出手続きを行なう

実証実験のエリアは、当初は東京以外で検討を進めている。「東京は既に多くのシェアサイクルやモビリティがあるため、電動モビリティは東京以外でスタートしますが、都市部のどこかになる予定です。ある程度の台数を用意し、日常的に乗ってもらうなかでどんな課題があるかを検証していきます」(武岡氏)

ポートは既存のバイクシェアポートと共存する予定だが、ポート設置に際して地権者への説明と同意が必要になるため、本格展開時は別々のポートになる可能性があるとする。

利用料金については、バイクシェアと同様の利用時間制を予定している。「バイクシェアと同一の料金にはなりませんが、倍増するといったこともありません」(武岡氏)

また、今回の新型電動モビリティの名称についてはまだ決定していないという。武岡氏は、「自転車やスクーター同じだと思われないよう。適切にこのモビリティの特徴と、どこをどういう風に走っていいのか、そういったところを含めた呼び方が必要になると思っています。どういった名称にすれば識別してもらえるか、そこを社内でもしっかり検討していきます」と話した。