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新500円玉を入手した。スマホでは撮れない微細技術
2021年11月4日 19:15
新500円硬貨の発行が11月1日から始まり、筆者もようやく新硬貨を手に入れました。キャッシュレス全盛のこの時代、筆者も日常的に硬貨はすっかり使用しなくなっているのですが、新硬貨となるとちょっとテンションが上がります。
さて、ではどうやって入手をするか、です。そのうち黙っていても入手はできるはずですが、新硬貨は徐々に旧硬貨を置き換える予定なので発行数が多くありません。また、筆者自身、普段は硬貨をほとんど使わないので、さらに出会える可能性が低いのです。
では、造幣局の近くのコンビニで新硬貨が貰えるまで買い物をするか、など力業(?)も考えましたが、普通に銀行で両替してもらうことにしました。
せっかくなので11月1日に新500円硬貨を手に入れてみようと思い、事前にいくつかの銀行へ問い合せたところ、11月1日に入手するのは難しいとのこと。残念。11月1日から発行ではあるものの、実際に銀行で両替可能なのは少なくとも1日には無理ということでした。
記念硬貨などは発売日以前に銀行に入荷し、発売日から購入できるので、同じようなパターンになると思って居たのですが、違ったようです。考えてみればそれ自体が商品というわけではありませんし、旧硬貨に即日入れ替わるわけでもありませんので、急ぐ必要もないのでしょう。
ちなみに、銀行によって対応も異なりました。ある銀行では、窓口で両替時に新硬貨に交換してほしい、という希望をしても対応はできず、旧硬貨が無くなってからの交換になると言われました。なので、入手日時も分からないとのこと。これは意外と入手難易度は高いのかも? と思ったのですが、その後連絡をした三菱UFJ銀行では、新硬貨への両替は対応してくれるということで、入手も4日から可能です、と明言してもらえました。また、口座を持っていれば硬貨は10枚まで無料で交換してくれるとのこと。筆者は口座を持っていましたので三菱UFJ銀行で両替してもらうことに決め、4日に両替してきました。
実は、2日に入手も可能かもしれないということだったのですが、何時から可能になるかが分からないとのこと。銀行で一日待っている分けにもいかないので2日の入手は諦めました。
バイカラーが特徴的
さっそく4日の開店直後に両替にいきました。銀行の前に両替の列が! ということも特になく、窓口で速やかに交換していただきました。ただ、500円硬貨への両替を希望する人はチラホラ居たようです。
新硬貨の外見デザインは、実は旧500円硬貨のデザインをほぼ引き継いでおり、一見、同じようなデザインに見えます。ただし、デザイン自体も僅かに文字の配置位置が異なったりしていて、全く同じではありません。
そして外見的に一番目を引くのはやはり「バイカラー・クラッド技術」による、硬貨の中心部と外周部の色の違いです。
ニッケル黄銅によるリング状パーツに、銅を白銅で挟んだ円形パーツを組み合わせているため、外見的にはニッケル黄銅と白銅による2色の硬貨に見えます。旧硬貨はニッケル黄銅製ですので、比較すると中心部の白銅の色が際立ちます。なお、この技術は今回初というわけではなく、これまでも記念硬貨などに使われていた技術です。
また、大きさは旧500円硬貨と同じですが、重量が僅か0.1gだけ重くなっています。
世界初採用の「異形斜めギザ」
硬貨のフチには「異形斜めギザ」が入っているのも特徴です。一般的には硬貨のフチに入っているギザは均一な感覚で規則正しい形状をしていますが、異形斜めギザでは、一部のギザが他と異なる形状になっているのが特徴です。実際にみてみると、細かいギザのカ所と大きなギザのカ所が混在しているのがすぐに分かります。
大きなギザと小さなギザは交互に入っています。上下左右に大きなギザが入り、その間に細かいギザが配置されている、というイメージです。大から小へ、そしてまた大へとギザが大きさを変えながら滑らかに繋がっているのがわかります。この技術は通常貨幣(大量生産型貨幣)への採用は世界初ということです。
旧500円硬貨に導入していた偽造防止技術も引き続き搭載しています。500の「00」の部分に、下に傾けると「JAPAN」の文字、上に傾けると「500YEN」の文字が現れる仕組みです。旧500円玉でも、上に傾けた時だけ文字が表示されていたそうなのですが、恥ずかしながら筆者は今回、初めて知りました。
iPhoneでも撮影は厳しい? 微細な偽造防止技術の数々
新硬貨は、偽造防止に役立つ微細技術が施されているのも特徴です。まず、新硬貨の上下左右には、非常に小さな文字が刻まれています。上下2カ所には「JAPAN」、左右には「500YEN」の文字があるのですが、この文字、肉眼でほなかなか判読が難しい大きさです。文字の大きさは1mm以下で恐らく0.7mmか0.6mmかといったところで、言われないと文字があることに気づかないのではと思います。
そうした細かい技術が他にも使われています。まず、表に描かれている植物「桐」の葉一部に、微細な穴加工を施しています。これが本当に微細なもので、肉眼ではほとんど気づかないのではないかと思います。実際撮影をしようと思っても、筆者のiPhone 12 Pro Maxでは旨く穴がうつりませんでした。他のスマホなら旨く撮れるものもあるかもしれません。一眼レフを持ち出し、マクロレンズを使ってようやく撮影できました。写真を見ると、桐の葉のごく一部の小さな場所に、多数の微細な穴が施されているのがわかります。
同じく表面の「日本国」「五百円」の文字が描かれる周りには、扇状に微細な線模様が描かれています。こうした模様は旧500円硬貨にもありますが、より細かい模様が施されていて、金属彫刻における最先端技術が使われているそうです。
新硬貨は、今年度中に2億枚の発行が予定されていて、徐々に旧500円硬貨を置き換えていく予定です。しばらくは旧500円硬貨にお世話になることのほうが多そうです。
ただ、新硬貨を自販機などで使用する場合は注意が必要です。新硬貨を自販機や公共交通機関の発券機などで使う場合は、機械が新硬貨へ対応している必要があります。新硬貨を入手したら、自販機などへ投入する前に対応状況を確認しましょう。