トピック
【超初心者向け】つみたてって何? 知識ゼロで投資に挑戦
2021年11月12日 08:40
iDeCoやつみたてNISAというワードをよく耳にするようになりました。周りから絶対にやったほうがいいよと言われるのですが、投資の知識がまったくないので何からはじめていいかわかりません。色々調べてみるものの、そもそも“つみたて”ってなに? レベルから抜け出せずにいます。
とはいえこの先のことを考えると、老後資金や子供の教育資金も蓄えたいので、お金は少しでも多く持っておきたい。30代に突入して、将来のお金のことを真剣に考えなくてはと焦ってきました。
そこで、初心者が投資を始めるにはまず何をするべきなのか、つみたてNISAやiDeCoはどんな人が向いているのか、家計再生コンサルタントでありファイナンシャル・プランナーの、株式会社マイエフピー代表 横山 光昭さんに話を伺いました。
そして横山さんのアドバイスを元に、私自身も証券口座を開設してつみたてNISAをスタート。計3回に渡って、投資の基本編から実践編までお届けします。
・銀行預金より、iDeCoやつみたてNISAを使った投資信託の方がお金が増えやすい
・iDeCo・つみたてNISAともに利益が非課税でオトク
・iDeCoは60才まで解約できないから老後資金向け。所得控除ありで節税も
・つみたてNISAは途中解約できるから教育資金やマイホームに
・始めるにはネット証券で証券口座を開設
・初心者にオススメの商品は?
・投資先の「分散」、一定額を毎月必ず購入する「積立」、運用は「長期」の3つを心掛ける
横山さんは投資や家計に関する本を数多く出版しており、累計発行部数は351万部にも上ります。11月18日には新刊「知識ゼロですが、つみたてNISAとiDeCoをはじめたいです。」がインプレスから発売予定。
本稿では、横山さんに解説してもらった初心者向けのiDeCo・つみたてNISAの始め方について紹介しますが、より詳しく知りたい方はぜひ新刊も手にとってみてください。
将来が不安な今、投資に目が向けられている
まず、今なぜ投資なのか横山さんに聞くと、「かつてのように貯金だけで老後生活するのは難しい時代になってきている」と話します。
「うちのお客様でも若い層が増えていて、将来に不安を感じている人は多くいます。将来年金はもらえると思うけどそれだけでは十分じゃないことをわかっていて、足りない分はどうしたらいいのかというところなんですね。そこでiDeCoやつみたてNISAを使った投資がお得らしい、老後助かるんじゃないか、と投資に目が向いているのが現状です」
金融庁の報告書でも、老後夫婦で2,000万円足らなくなるという試算もありましたが、横山さんは「生活費が掛かる人なら3,000万円足らなくなる可能性もあります」と話します。
この内訳は、まず月の生活費が27万円掛かるとして、夫婦だと年金が月215,000円もらえるので55,000円不足。それが1年で66万円で、30年続くと約2,000万円になります。なおここには医療費や介護費が含まれていないので、さらに1,000万見積もって計3,000万円という計算です。
「あくまでもモデルケースなので、節約するとか、定年後も働くとかでまた数字は変わってきます。2,000~3,000万円必要と言われるとかなり多いと思いますが、全然恐れることはありません。まだ時間はありますので、iDeCoやつみたてNISAなどお得な制度を今から使っていけば、きちんと積み上がっていきます。色々難しそうと思うかもしれないですが、まずはやってみることが大事です」と横山さんは話します。
投資と銀行預金を比較、20年後の差はどうなる?
金融庁の公式サイトにある資産運用シミュレーションを使って、つみたてNISAでできる投資額、想定される利回りでシミュレーションしてみました。毎月3万円を20年間投資した場合、元本720万円で運用収益は264.9万円、計984.9万円になりました。
ちなみにこの、一定の金額で定期的に投資することを「積立」と言います。“つみたて”の意味をイマイチ理解できなかった私もようやく把握でき、ちょっとずつ投資が身近なものになってきました。
利回りとは利息のようなもので、想定利回りについて横山さんは、「大体3~4%でシミュレーションしてもらって大丈夫です。将来どうなるかは断言はできませんが、過去のデータから見ても一時的に暴落することはあってもいきなり下がることはないと思います」と回答。
なお同じ金額、同じ年数で銀行に預けた場合、金利0.002%で計算すると20年後に約720.1万円になり、ほとんど増えていません。銀行によっては金利0.001%のところもあるので、投資に回した方がお金を増やしやすいと言えそうです。
iDeCoが向いている人、つみたてNISAが向いている人
また、iDeCoとつみたてNISAが注目されている大きな理由として、「利益に税金が掛からない」ことが挙げられます。
通常、投資で得た利益には、20.315%の税金が掛かります。しかし、iDeCoやつみたてNISAで得た利益は基本的に非課税になるのです。
iDeCoとつみたてNISAについては第2回で細かく説明しますが、主な違いには以下のようなものがあります。
60歳になるまで売却できない。老後資金向け
投資期間:20歳から60歳未満(2022年5月からは65歳未満)
年間投資額:約14万~81万円(加入する年金・企業年金によって異なる)
掛け金:5,000円から
税優遇:利益が非課税。掛け金、利益を受け取るとき、ともに所得控除あり。節税対策
商品:投資信託、定期預金、保険商品
備考:途中でやめたくなったら支払停止か金額変更のみ。支払い停止しても毎月口座管理料が掛かる
60歳まで投資できるので、始めるのが早いとそれだけ投資額が増える
途中で売却できる。教育資金やマイホーム資金向け
投資期間:最長20年
年間投資上限額:40万円
掛け金:100円から
税優遇:利益が非課税
商品:一定の条件を満たした投資信託、ETF
iDeCoとつみたてNISAのメイン商品「投資信託」とは
上記表にもある通り、iDeCoやつみたてNISAで買える金融商品は主に「投資信託」と呼ばれるもの。投資といっても種類はさまざまで、株式投資のほかFXやデイトレード、不動産の売買も投資です。
「私たちの親やその親世代では、企業の株式を買って報酬をもらったり株主優待を受ける『個別株』が主流でした。しかし個別株は難しく、絶対に利益が出るとは言えないんですね。株式を買った企業の業績がいきなり悪くなることもザラにあります。また日本の場合、個別株は原則100株からしか買えません。1株1万円だとしても100万円必要です。複数の株式を買ってリスクを分散させたいと思ったら、かなりお金が掛かりますよね」
そこで有効なのが、複数の企業の株式や債権が組み合わさったパッケージ商品の「投資信託」。投資対象を分散できるため、大きな損失になりにくいのがメリットです。また組み込まれている商品は、資産運用の専門家が厳選しているため、安心度が高いという面もあります。
仕組みとしては、投資信託の購入者が投資家という立場になり、投資家から集めたお金を運用会社がひとつの資産としてまとめ、代わりに複数の株式や債権に投資してくれるというものです。
代わりに資産を運用してもらうため「信託報酬」が掛かりますが、横山さんがオススメする証券会社や商品では信託報酬が安いものが多くあります。
また、iDeCoやつみたてNISAで投資信託をする際、心掛けるべきなのが「分散・積立・長期」の3つ。これらについては第2回で詳しく紹介しますが、「投資対象の分散でリスク軽減」、「毎月一定額を積み立てる」、「長期運用で利益が増えやすくなる」ということを覚えておいてもらいたいです。
まずはネット証券で口座を開設
投資を始めようと思ったら、まず必要なのが「証券口座を開設する」こと。横山さんのオススメは手数料の安いネット証券で、特に「楽天証券」「SBI証券」「マネックス証券」。
「例えば、同じ金融商品を買うのに、実店舗のある総合証券では300円の手数料が掛かるけど、ネット証券なら50円になるみたいな感じですね。あと投資では信託報酬というものを払う必要がありますが、ネット証券ではそこもかなり安いです。手数料の面もそうですし、ネット証券は手続きをすべて自分で操作できる、商品ラインナップが豊富というメリットもあります」
ネット証券は、総合証券と違って人件費や店舗を持たないことで手数料が安くなります。また総合証券では担当者が付き商品のアドバイスをしてくれるなどサポートが手厚いこともありますが、一方で手数料は高めというデメリットがあります。
初心者にオススメの商品は?
初めて金融商品を買う場合、横山さんの著書でオススメされているのが、iDeCo・つみたてNISAともに「楽天・全世界株式インデックスファンド」です。
「全世界株式には、日本だけでなくアメリカやイギリス、ドイツ、中国、インドなど世界中の企業の株式が含まれています。1つの国や企業に掛けるのと、さまざまな地域に分散して掛けるのでは、どっちが怖いかわかりますよね。楽天・全世界株式は信託報酬も安いですし、何より購入している人が多いので純資産額も多く信頼性があります」
また全世界株式なら、楽天のほかeMAXIS Slim(イーマクシス スリム)シリーズもオススメとのことです。
「最初は全世界株式を買って投資に慣れてきたら、米国株式を30%、先進国株式を10%など、自分で考えて調整してみるのも良いと思います」
投資は余裕資金で。貯金しながら投資もあり
投資を始めるにあたり気をつけたいのが、「投資は余裕資金で行なう」こと。できれば月収の7.5カ月分の貯金があることを、横山さんは条件に挙げています。
月収の7.5カ月という数字は生活費が足りなくなったときや、ちょっとした予定外の出費などに対応するための使う貯金として月収の1.5カ月分と病気やケガや突然の退職により収入が途絶えたときに備えた生活防衛資金としての月収6カ月の合計です。
とはいえ若い人だと、7.5カ月分の貯金が難しいという人もいると思います。
「その場合は貯金をしつつ投資でもいいと思います。もし毎月3万円余らせられるなら、5,000円を投資、25,000円を貯金。もう少し増やしたいなら10,000円を投資、20,000円貯金でも良いです。ただ、何かあったときのために、できれば貯金は2~3カ月分は持っておいてほしいですね」
また、7.5カ月分以上の貯金がある人については「余裕資金はすべて投資に回しても良いと思います。最初からいきなりすべてを使うのはためらうと思うので、徐々に増やす形でも良いです。もちろん家を買いたい、車を買いたいなど他の目標がある場合はその分はとっておきましょう」
とにかく初めてみることが大事
投資初心者からすると、ここまでで出てきたワードが少し難しく感じるかもしれません。横山さんは「調べてもわからないことは出てくると思うので、まずはやってみましょう」と勧めます。
「やりたいと言っていてもやらないと覚えないですから、とにかくスタートすることが大事です。投資に対して怖いと思うかもしれないですが、なくなってもいいくらいの気持ちで始めて良いと思います。なくなっても1回の飲み代くらいですし、そもそもつみたてNISAやiDeCoではすぐになくならないですからね」と横山さんは話します。
証券口座の開設は、ネット証券の場合最短で申込翌日から取引開始できる会社が増えていますが、つみたてNISAやiDeCoを使う場合は、さらに申請が必要なため、商品を買えるようになるまでは約1カ月掛かります。投資を始めてみたいと思った方は、まずは口座開設の申し込みをしてみましょう。
次回は、iDeCoとつみたてNISAについてさらに詳しく紹介したいと思います。
- 第1回:【超初心者向け】つみたてって何? 知識ゼロで投資に挑戦
- 第2回:iDeCoとつみたてNISA どっちを選ぶべき? プロに相談してみた
- 第3回:超初心者がつみたてNISAデビュー。意外と簡単だった