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デカいプールを買ってみた。後悔したけどサイコーだった

狭い我が家にデカいプールを導入したら……

夏といえばプール、プールといえば夏である。コロナ禍で大勢が集まる屋内外のプール施設にも、海水浴場にも行きにくい状況が続いているけれど、だからといって、筆者の小学生の娘2人がおとなしく我慢してくれるわけでもない。「プールに行きたい病」をこじらせる前に何かしら対策しておきたい。

一番効果的なのは、自宅でも使えるファミリー向けのビニールプールだろう。小型であれば数千円程度で手に入り、それなりに子供たちの鬱憤を解消してくれる。が、少なくともこの1年半、ずっと我慢を強いてきたのだ。せっかくならできるだけ広いプールで楽しんでもらいたいではないか。

というわけで、我が家の土地にギリギリ収まるか収まらないかの、デカめサイズのプールを購入してみたのだった。

なぜ空気を入れないフレームプールにしたのか

購入したのはINTEXのフレームで支えるタイプのプール「RECTANGULAR FRAME POOLS」。家庭用のファミリープールというと、空気を入れて膨らませて使うビニールプールが思い浮かぶが、あえてそういったプールは避けた。

「INTEX RECTANGULAR FRAME POOLS」

なぜなら、ここ数年、筆者宅に導入した空気を入れるタイプのビニールプールはことごとく1シーズンで使い物にならなくなっていたからだ。使い始めの数回はいいが、そのうちどこかに穴が開いてしまう。空気を入れても1、2時間もすればしぼんでしまうから、そのたびに何度も空気を補充する。どこに穴が開いているのかもわからないので修繕もできない。

新しいプールを買ってはそのシーズンのうちに穴が開き、だましだまし2シーズンくらい使って廃棄する。そんなことばかりが続いたので、もう二度と同じ過ちは繰り返さない、と心に誓った。

ちなみにこれまでは、空気入れを使わず、口で息を吹き込むスタイルを貫いた。炎天下でセッティングすると酸欠と熱中症で倒れそうになるのも、もうこりごりである。電動空気入れを使え、という話ではあるけれど、プールを買い替えるたびに空気穴の形状が違ったし、プール本体がすぐ使い物にならなくなったことを考えれば、結果的に無駄な買い物をせずに済んだとも言える。

いずれにしろ頭に血を上らせながら空気を入れるのはもうご遠慮願いたいので、今度は空気を入れずに使えるフレームプールをチョイスしたわけだ。しかしながら、INTEXのプールを選ぶうえでは、サイズの選択肢が少ないことに気を付けなければいけない。

いや、正確に言うとINTEXのプールのバリエーションはとても多い。ごく一般的な日本の住宅・土地事情に合ったプールの選択肢が少ない、と言えばいいだろうか。つまり、どれもだいたいデカいのである。

一番小さいものは約1.2m四方だが、さすがにそれだと小さすぎる。その次のステップは直径約1.8mの円形プール。でも、これだとあまり広いという感じはしない(内径はもっと小さいと考えられる)し、結局空気を入れるタイプになってしまう。しかしその上になると、一気に2m、3m、4m超というサイズ感になっていく。

プールを設置できそうなのは玄関前の駐車場。左奥に玄関扉があるので、その開閉も考えると余裕は全然ない

我が家の場合、プールを置けるのは玄関のすぐ前、せいぜい2.1×2.4m程度のスペース(玄関扉の開閉を考えるともっと狭い)。そういう事情のなかで、可能な限り広々としたプールを、となると、幅2.2×1.5m、深さ60cmというサイズのフレームで支えるタイプのプールしかなかった。

カタログの数値から見た限りでは、本当にジャストサイズ。まあ、すぐ横に駐車しているクルマをギリギリ反対側に寄せれば、あと10~20cmは余裕ができるからなんとかなるはず……と、楽観的に考えて思い切ってポチッたのだったが……。

組み立てにかかる時間を考えていなかった

ところが、購入時は庭先にちゃんと収まるかどうかばかりに気を取られていて、他の重要なポイントに頭が回っていなかった。それは、セッティングにかかる時間だ。

ご存じの通り、空気を入れて膨らませるタイプのビニールプールは、広げて空気を入れ、水を貯めるだけだ。サイズにもよるけれど、だいたい30分もあれば子供が水遊びできる状態になるだろう。

今回購入したINTEXのプールは、空気を入れる必要がない代わりに、組み立て作業が必要になる。ざっくり説明すると、金属パイプ10本をつなぎ合わせて枠を作り、さらに10本のパイプと30個くらいのパーツで支柱や全体を作り上げる。空気を入れるビニールプールは本体1個のみだが、フレームプールはその50倍のパーツがあるのだ。

フレームプールのパーツ類
プールの枠と脚として使う金属パイプが20本
地面のコンクリートが固いので、クッションを敷く。最初はプールを縦に置こうとしたが、奥行き方向が2.1mしかなく、物理的に入らないので横向きに変更

最初は説明書を見つつ、撮影もしながらの作業になったので、組み立てが終わるまでにたっぷり1時間かかってしまった。そこからようやく水を投入していくことになる。屋外の蛇口につないでいるホースから注水し、8割ほどの水深になるまでが1時間20分ほど。トータルで準備に2時間半くらいかかった。朝から作業を始めれば、水遊びできるのは昼である。

プール本体を広げてパイプをつなげる。が、実際にはあらかじめつなげておかない方がいい
スリットにパイプを1本ずつ通していく。つなげた状態だと反対にやりにくい
途中の隙間に脚を固定するためのジョイントを取り付ける
枠部分のパイプを全て通し終わったところ
コーナージョイントを接続
コーナージョイントをロックするピンを差し込む
コーナーとサイドの脚にエンドキャップを取り付けて枠のジョイントに固定
フィルターポンプを接続する穴は使わないのでグロメットをはめ込んでおく
とりあえずプールは完成。ここまでで1時間

2回目以降は慣れもあるので、組み立てには30分もかからない。けれど、準備に必要な時間や労力のことを考えれば、圧倒的に普通のビニールプールの方が短時間で終わるし、楽ちんだ。電動空気入れがあればなおさらだろう。休日、炎天下で汗だくになりながら組み立てているときに、なぜこのフレームプールにしてしまったのだろう……とちょっと後悔していたが、今さらである。

注水開始
1時間20分ほどで8割方貯まった

毎週末に組み立て・片付けするのは面倒だが……

とは言っても、組み立て自体は難しいものではないし、クルマを端まで寄せることで予定していた場所にプールを無事設置できた。敷地外から玄関扉へのアクセスがプールとクルマでほぼ完全に遮られるので、出入りしにくいのが唯一の難点だ。宅配物が届いたときは回り道して受け取らなければならない。

プールは家側にぴったりつけるくらいに
クルマもわりとギリギリまで反対側に寄せた
それでも玄関扉は全開できない状態
ここからさらにクルマを右方向に寄せたので、クルマとプールの隙間は最終的にはもう少し広く、人1人通れるくらいにはなった

なにげに水道料金が心配だったが、計算してみるとそこまで大きな負担ではなさそうだ。2.2×1.5×0.6mのプールに入る水の量は、カタログによると9分目で1,662リットル。東京都の水道料金は、1リットルあたり約0.24円(基本料金除く)なので400円ほど。これなら毎週末に水を入れ直しても月1,600円程度で、一般のプール施設に毎週遊びに行くよりはずっと低コストだ。

子供たちも今までにない広さのプールにご満悦のようだ

設置している間はさすがに邪魔ではあるものの、「夏の間ずっと常設しておく」ということでなければ許容範囲内。ただ、毎週末に組み立てて注水し(2時間くらい)、月曜日に水を捨てて分解する(排水の時間を入れると1時間はかかる)……ということを考えるとうんざりするところもある。庭が広いなら常設しておけばいいが、さすがに筆者宅の狭い庭ではそうもいかない。

また、常設する場合でも水を頻繁に取り替えたくないのであれば、汚れを防ぐために水をろ過するフィルター付き電動ポンプなど追加のアイテムも必要になってくる。使っていない間、ゴミや虫が入り込まないように、フタとなるカバーもほしいところ。これらを合わせると1万円以上が追加でかかってしまう。そういうことも考慮に入れると、毎週組み立て・分解するのもそこまで非効率ではなさそうだ。

週末、使い終わった後は毎回排水することにした
分解したパーツは、これくらいにまとめて置いておける
さらに細かいパーツは小袋に入れておくとなくさない

それでもデカいプールはサイコー!

普通のビニールプールと比べて、準備に必要な時間も労力は明らかに上。片付けの手間もはるかに多い。それでも大きいプールはいいものだ。なにより子供たちが浮き輪を使いながらしっかり泳げるのがいい。小さいプールだとこうはいかない。

それに、子供たちのために用意したプールではあるけれど、身長177cmの筆者が横になって両手・両足を思い切り伸ばせるこのサイズは、開放感が段違い。広いプールは大人にとっても満足度が高い。プールで遊んだ後、自宅の風呂に入ると、浴槽の小ささにびっくりするほど。

準備と片付けが大変だとしても、大人が両手両足を伸ばして入れるこのサイズは、やっぱり最高

外をランニングしてきた後、そのままプールにドボンして、ほてった身体を冷やすときの気持ちよさも格別だ。あっつあつのサウナからキンキンの水風呂に入るときと似たものを感じる。設置スペースはギリギリだし、せせこましい感じが「ザ・日本の住宅」という雰囲気だが、総合的に言えば、やっぱりデカいプールにして良かったなあと思う。