トピック

接触確認アプリ「COCOA」を使おう。いますぐできる新型コロナ対策

新型コロナウイルスの感染者との濃厚接触の可能性を知らせる接触確認アプリ「COCOA」が6月19日に公開された。感染拡大を防ぐ「クラスター対策」の一つに位置づけられ、多くの人が使うほど、感染拡大の防止効果が期待される。21日17時時点でのダウンロード数は約241万件。

COCOAは、厚生労働省の公式アプリで、正式名称は「新型コロナウイルス接触確認アプリ COVID-19 Contact-Confirming Application」。対応のスマートフォンは、iPhoneがiOS 13.5以上、AndroidはAndroid 6.0以上。公開から1カ月は“プレビュー”版という扱いで公開され、順次画面デザインや機能をアップデート予定という。

COCOAを使うメリットは、

・接触の可能性を早く伝えることで、接触した人が、検査の受診など保健所のサポートを早く受けられる

ということ。

保健所等のサポートで、早期の検査・診断・治療につながり、また、家族や他の人への感染を防ぐための自己隔離等の行動を取りやすくする。個人としては、これがメリットだ。また、利用者が増え、早期の対応を行なうことで、 社会全体として急速な感染拡大を防ぐ ことが狙いだ。

COCOAの利用は強制ではないが、感染拡大の防止を防ぐために、できる限りの準備はしておきたい。iOS版を使って設定や利用の注意点をまとめた。

1mで15分以上の接触を検知。Bluetooth使用

COCOAができることはシンプル。人と人との接触を検知・記録し、接触した別のアプリ利用者の陽性が判明した場合、過去14日以内に接触したアプリ利用者に「陽性者と接触した」という情報を通知する。

通知を受けたアプリ利用者は、保健所などに連絡し、早期に受診や検査が行なえるようになる。

「接触」の定義は、「概ね1m以内の距離で、15分以上の近接した状態にあった状態」。これを検知・記録しておき、接触した別のアプリ利用者が陽性と確認され、報告が行なわれると、その人と接触したアプリ利用者に通知が行なわれる。

この接触の検出に、Bluetooth Low Energy(BLE)を活用している。

利用に必要なことは、(1)アプリをインストール、(2)Bluetoothをオンにする、(3)画面に従って設定を行なうだけ。設定も、接触を検出した際の「プッシュ通知」を有効にする程度のシンプルなもの。

メイン画面

なお、仮に陽性者となった場合、あるいは陽性者との接触が通知された場合は、報告や連絡などが必要となる。

COCOA起動画面(iPhone)
アプリでできること
利用の説明

GPSなどの位置情報は用いず、また、氏名、電話番号、メールアドレスなどの登録も一切不要。接触を把握するために利用するのはBluetoothのみで、接触情報は暗号化された上でスマホの中にのみ記録され、14日経過後に削除される。ネットワークには情報は出ていかず、プライバシーに配慮した設計となっている。

感染時の報告は自分で。検査のサポートが“メリット”

メイン画面では、[陽性者との接触を確認する(14日間)]ボタンと、[陽性情報の登録]、[アプリを他の人に知らせる]の3つの機能を用意。[陽性者との接触を確認する]では、過去14日間で陽性者との接触があったかどうかを確認できる。

メイン画面
接触はなかった

もし、新型コロナウイルス陽性となってしまった場合は、[陽性情報の登録]を行なう。陽性判定されると、「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」から携帯電話番号もしくはメールアドレスに処理番号が発行されため、その処理番号を自分でアプリ上で入力する。入力したデータは、通知サーバーで番号を照会した上で、14日以内に接触した人に対し、個人を識別可能な情報がない形で接触の可能性として伝えられる。

陽性の場合は、[陽性情報の登録]から同意
発行された処理番号を入力して登録し、接触者に通知

アプリへの登録は「任意」。ただし、登録することで、自分と接触した可能性がある人が、検査の受診など保健所のサポートを早く受けられるというメリットがある。つまり、COCOAを狙いは、早期の検査や療養、隔離を促して、感染拡大を防ぐことにある。

通知を受けた人は、接触があった日付の一覧がアプリ上で確認できる。症状などを選択すると、帰国者・接触者外来等の連絡先が表示され、検査の受診など案内され、保健所のサポートが受けやすくなる。

留意しておきたいのは、陽性だった場合や接触通知を受けた場合は、「自分で登録や連絡などの次の行動を起こす必要がある」ということ。アプリでは、名前や連絡先などの情報は取得していないため、自分から登録や連絡などの作業を行なうことが求められる。

また、Bluetoothを使うことから、ネット上ではバッテリー消費を危惧する声も見られた。ただ、COCOAでは低消費電力なBluetooth Low Energy(BLE)を採用しており、それほど大きな影響はないと思われる。試しに、iPhone Xsの[バッテリー]で、Appごとの24時間のバッテリー使用状況を見たところ[ヘルスケア]が4%、[接触確認アプリ]が1%となっていた。

自分でできる新型コロナ対策のひとつ

前述のようにCOCOAを使うメリットは、検査のサポートと、早期の自己隔離により他人への感染を防ぐ行動を取れること。少し“効果”が見えにくい部分があるが、新しい感染症に対する備えとして、準備しておくに越したことはない。

もちろん、誤検出する可能性もゼロではなく、そもそもスマホを持たずに人と会っている場合は、このアプリは意味がない。またアプリを入れる人が増えなければ、「接触」も検出できないので、多くの人が使うことが重要となる。

まだしばらくは新型コロナウイルスとの“共存”が強いられる。自分の身を守るため、そして、知人や家族への感染を防ぐため、できる手段のひとつとして、接触確認アプリ(COCOA)を使ってほしい。