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不要なリチウムイオン電池、回収は市町村で 環境省が通知
2025年4月16日 12:00
環境省は15日、リチウムイオン電池について、市町村による分別回収を徹底する通知を出した。
リチウムイオン電池は、自治体のほか家電量販店などで回収しているものもあるが、一般ごみと一緒に捨てられて、ごみ処理施設やごみ収集車の火災事故の原因となっている。令和5年度(2023年度)には、全国の市町村でリチウムイオン電池が原因とされる火災が8,543件発生するなど、社会問題とされている。
こうした課題に対し、今回の通知では、リチウムイオン電池の分別回収の強化を市町村に求めていく内容となっている。
リチウムイオン電池(リチウム蓄電池)の分別回収を行なっている市町村は、令和5年度時点で75%。一方、小型家電やモバイルバッテリーは、一般社団法人JBRCの加盟社の製品であれば、JBRCの協力店で回収するなどの取り組みも行なわれてきた。しかし、「どのような製品に使用されているのか」が、十分に周知されておらず、一般ごみとあわせて捨てられてしまうことも多いとする。
今回の通知では、リチウム蓄電池等を「標準的な分別収集区分の一つ」として位置づけ、膨張・変形したものを含めて、当該自治体の家庭から排出されるリチウムイオン電池の回収体制を構築することを求めている。
具体的には、製造事業者(メーカー)等の自主回収の対象品だけでなく、自主回収を行なっていない事業者のものや、膨張・変形したリチウム蓄電池の排出方法を住民に対して明示。また、住民の利便性が高い分別収集(ステーション・戸別)を基本として分別収集を行なうよう推奨している。
そのほか、地域の特性に応じて、分別収集(ステーション・戸別)と拠点回収(分散型回収拠点や回収ボックス等による回収)を併用して、住民の利便性を高めることや、人が集まるイベント等における回収なども提案。発煙・発火の危険性があるため、膨張・変形したリチウムバッテリ等は他のバッテリ等とは別に回収、保管するなどを求めている。
周知・広報活動も重要となるため、どのような製品にリチウム蓄電池が使われているか、具体的に示すことも重要としている。火災の原因となっているのは、モバイルバッテリー、加熱式たばこ、コードレス掃除機等のバッテリー、スマートフォン、電気かみそり、電動工具、ハンディファン、電動式玩具、作業服用ファンなど。通知では、こうした品目について、特に住民に適切に回収ルートを周知するよう呼びかけている。
環境省によれば、リチウム蓄電池等の分別回収を実施している市町村は、分別回収を実施していない市町村に比べて、1自治体当たりの火災事故等の発生件数が少ない傾向にあるとのこと。そのため、市町村でリチウム蓄電池の分別回収を実施することは「火災事故等のリスク低減に有効」としている。
環境省では、3月31日付けで自治体向けに対策集を公開。分別・回収方法の基本的考え方や分別・回収方法のパターンや、先行自治体の事例などをまとめている。
4月15日に会見した浅尾環境大臣は、「今後、市町村による分別回収および適正処理をさらに徹底していく必要がある。燃やすゴミや燃やさないゴミなど、他のゴミとは区別して排出していただくことが重要。発出した通知では、各市町村における安全な収集・処理のための対策・方針を盛り込んだ。国民の皆様は、適切な廃棄方法についてお住まいの市町村に問い合わせるなどして、火災事故の発生防止にご協力してほしい」とコメントした。