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“集中”から“お会計”まで 3段階の遮音性を選べる耳栓 Loop「Switch」

Loop「Switch」

無線のイヤフォンやヘッドフォンにノイズキャンセリング機能が搭載されるのは今や当たり前になっていますが、私は最近、もっと簡単な、ノイズキャンセリング機能だけの製品が欲しいと思うことがあります。それはつまり、電気を使わない“ただの耳栓”なのですが、探してみるといろいろと高機能な製品があることが分かりました。

例えばイヤフォンメーカーが手掛ける製品には、ライブ会場などの大音量から耳を保護しつつ、音楽的に楽しめる特性に遮音性を切り替えられるコンセプトの、AZLA「POM1000」(4,000円前後、終売)がありましたし、パーツを交換して遮音性を変更できるゼンハイザーの「SoundProtex Plus」(14,300円)が最近発売されました。中にはビクターのように、完全ワイヤレスイヤフォン(TWS)そっくりの形にした「EP-S433」(3,537円)というイヤープラグの製品もあります。こうした製品のイヤーピースにはイヤフォンの技術が用いられているので、普段使っているイヤフォンと大きく変わらない装着感で使うことができます。

“集中”から“お会計”まで3段階で遮音性を選べる

さて、今回買ってみたのは「Loop」というブランドの Switch」という製品です。Amazon.co.jpにて8,490円でした。

イヤフォンのようなイヤーピースを搭載したデザインの耳栓、というところまではそう珍しくはありませんが、この製品は耳に装着したままリング状のパーツを回転させて、遮音性を3段階から選べるのが特徴です。コンセプトとしては、終売してしまっているAZLA「POM1000」に近いでしょうか。

パッケージを開けたところ。収納ケース、サイズが異なるイヤーピースが入っています
収納ケースに収まった状態
イヤーピースはイヤフォンでおなじみの形状、外に露出する部分はドーナツ状です
イヤーピースを外したところ
カナル型イヤフォン(左)との比較。イヤーピース部分は似たような構造です

遮音性能が最も高いQuietモード(-25dB)は、リラックスや集中したい時のモードと案内されています。中間のExperienceモード(-21dB)はライブイベントなど、音質を保ちながら効果的に音量を下げるモード。一番解放されるEngageモード(-17dB)は、雑音を低減しながら会話が楽しめるモード、となっています。

各モードでの遮音性の違い

実際に使ってみると、電車の中や、少々さわがしい喫茶店ではQuietモード一択という感触です。-25dBという遮音性能はそれほど強くはないので、騒がしさが“消え去る”わけではありませんが、電車の走行音や店内・厨房機器の騒音などは効果的に低減してくれます。“息が詰まるほどの遮音性”とは感じられないので(個人差はあると思います)、大抵の場合はQuietモードでOKという印象です。

Quietモードでも、近くにいる人の会話は思ったより聞こえてきます。ただ、“離れた場所にいる人の会話”という風に聞こえるため、こちらの集中を乱すほどではない、という感じです。喫茶店や比較的オープンなワークスペースなど、周囲の音をコントロールできない場所では効果的だと感じました。

中間のExperienceモードは、ライブイベントなどに最適ということですが、日常生活のシーンではEngageモードとの差が分かりにくく、あまり出番はなさそうです。

遮音性が一番低いEngageモードは、会話などに最適ということで、お店の会計時などに便利に使えるモードです。

ただ、ボタンのタップひとつで切り替えられるイヤフォンと違い、この製品はフルアナログなため、左右のパーツをそれぞれクイッと回転させる操作が必要です。それぞれのモードで止まるクリック感(?)があるので、回転させる操作感自体は明瞭です。

私は外出時の移動時間や余った時間によく本を読むのですが、そうしたシーンにこの製品は最適だと思いました。読書中に音楽は聞かないので、イヤフォンは使わないけれど、周囲の騒音は減らして読書に集中したい、という場面です。

また、(場合によってはイヤフォンから音が鳴ることもある)スマホの通知とかは一旦忘れて、しばらく手元の作業にフォーカスしたいというプチ・デジタルデトックスなシーンにも、“ただの耳栓”ならペアリングや充電管理は不要ですし、アナログでミニマルに完結できて、よい塩梅ではないかと思います。

太田 亮三