いつモノコト
"有線メッシュ"で自宅のWi-Fiが快適に NEC最新ルータを2台購入
2023年8月1日 08:20
自宅に初めてメッシュネットワークを構築しました。メッシュネットワークといえば、オフィスなどで導入している企業もあるかと思います。メッシュネットワークを使うと、広いオフィスでも、Wi-Fiの利用範囲を簡単に拡大し、1つのSSIDでWi-Fiが利用できるようになるので便利です。
メッシュを使わない従来の方法では、広いオフィスでネットワークを使いたい場合、Wi-Fiルーターを複数台設置して、それぞれ別のSSIDを使って接続していました。1つのWi-Fiルーターで通信できる範囲は限られますので、広い範囲でWi-Fiを使いたい場合は、Wi-Fiルーターを複数台設置して、切り替えながら使うことになります。
この方法で通信範囲は広がりますが問題もあり、利用者がノートPC等を持って場所を移動する場合、近くのWi-Fiルーターに自動で切り替わらず、いつまでも遠くのWi-Fiルーターに繋がったままで、通信速度が遅い、というシーンによく遭遇しました。この場合、手動でWi-Fiルーターを切り替える必要があり、手間です。そもそもWi-Fiルーターの台数だけSSIDが存在したり、それぞれ個別のパスワードの設定が必要だったりすると、なかなか面倒でもあります。
メッシュネットワークでは、対応するWi-Fiルーター同士をリンクさせることで、2台、3台とルーターを置いても、1つのSSIDとパスワードで利用できるのが特徴です。複数の機器がリンクされていますので、自分のPCやスマホが一番通信しやすいルーターに自動で切り替えてくれるようになります。
個人宅でもメッシュは有効
筆者の自宅でもオフィスと同じ問題を抱えていました。筆者は自室のある3階で仕事をしますが、リビングのある1階で作業することもあります。これまでは、どちらでもWi-Fiを使えるようにWi-Fiルーターを2台置いていたのですが、階を移動する度にWi-Fiの切り替えに悩まされました。まずほとんど自動で切り替わりません。なんだか通信が遅いなと思うと、大抵遠くのWi-Fiをつかんだままになっています。手動で切り替えれば済むことではありますが、スマホもノートPCも毎回切り替えるのは少し面倒です。
そこで、自宅のWi-Fiがそもそも古い世代のものであったこともあり、せっかくなのでメッシュネットワークを構築することにしました。購入したのはNECのWi-Fi 6E対応無線LANルーター「Aterm WX11000T12」です。Amazonでの購入価格は54,978円でした。
メッシュネットワークを組むには、このモデルとメッシュネットワークを構築できる器材が必要です。同時発売された下位モデル「Aterm AM-AX7800T8」(Amazonで25,278円)もあり、こちらでもメッシュネットワークは構築できますが、AX7800T8には10Gbps有線LANポートが付いていません。今回は「有線メッシュ」で構築したいため、高速な有線LANは必須と考え、WX11000T12をもう1台購入しました。しかし、高いので2台目を購入したのは3カ月後です。
有線LANでメッシュを構築
メッシュの構築方法としては、無線でWi-Fiルーター同士を接続して構築する方法と、有線でWi-Fiルーター同士を接続して構築する方法があります。
無線で構築する場合は、メインとなるルーター(親機)にのみ有線LANでネットワークを接続し、2台目のルーター(中継機)はWi-Fiで1台目と連携してメッシュを構築することになります。この場合、有線LANが無い部屋でも中継機を置くことができ、お手軽なのですが、1台目からの距離に応じて、2台目に届く電波は弱くなりますので、通信速度も遅くなってしまいます。
有線LANでメッシュを構築する場合は、親機と中継機をそれぞれ有線LANでつないでメッシュを構築します。この場合、いずれも有線LANで接続されたネットワークを元にWi-Fiを利用できるため、2台とも速度低下の少ないWi-Fi環境を提供できます。ただし、ルーターを設置する部屋全てで、同一ネットワークの有線LANが使える必要があります。
筆者の環境では3階にある光回線のホームルーターから、1階と3階へ有線ネットワークを引いているので、1階と3階それぞれにWX11000T12を設置して、有線メッシュを構築しました。
WX11000T12を使った有線メッシュの構築自体は簡単で、筆者宅の場合は、1階に設置した1台目のルーターを「親機」とするため「LANポート」に有線LANケーブルを繋ぎ、3階に設置した2台目のルーターを「中継機」とするため、「WANポート」に有線LANケーブルを接続するだけでした。本製品には工場出荷時点でメッシュが利用出来る設定がしてあるので、ケーブルの接続方法を間違えなければすぐに利用できます。また、メッシュで接続されると親機のSSID、暗号化モード、暗号化キーが自動で中継機に引き継がれます。
切替がすばらしくスムーズ
さっそく通信をしてみると、Wi-Fiの切り替えが明らかにスムーズになりました。従来は、1階から3階に移動しても、すぐに3階のWi-Fiルーターに切り替わらないことが多く、電波がギリギリの状態でいつまでも1階の電波を拾っていることが多々ありました。
メッシュを構築するとで、これが見るからに改善され、1階から3階に移動していると、ちょうど2階に来たあたりで大抵3階のルーターに切り替わります。電波が強いほうに積極的に接続し直してくれているのがよく分かります。これは、メッシュルーター同士が連携しているからこそ実現できる機能です。従来のように、部屋を移動しても、いつまでも弱い電波のルーターをつかみ続ける、ということがなくなりました。快適です。もうWi-Fiの受信状態を全く気にする必要がありません。
また、通信速度自体もかなり向上しました。元々自宅のネットワークは5Gbpsの光回線を契約していたものの、1Gbpsハブで構築していたため速度に限界があり、宝の持ち腐れでした。WX11000T12には10Gbpsの有線LANポートがあるため、これを活かし、ハブを全て1Gbpsのものから2.5Gbps対応のものに切り替えたことで、有線ネットワークが高速化し、より高速にインターネットを利用できるようになりました。購入したハブはプラネックスの「FX2G-05EM」でAmazonでの購入価格は9,345円でした。本来なら10Gbps対応ハブを購入すれば光回線の能力を最大に活かせますが、価格はこの数倍ですので今回は見送りました。
コストはかかるが便利
メッシュネットワークを構築することで、これまで煩わしかったWi-Fiルーターの切り替えがスムーズになり、Wi-Fiの使い勝手が飛躍的に向上しました。また、WX11000T12自体も10GbpsのLANポートを備えるなど基本性能が高く、自宅の有線LAN環境をアップデートできたことも嬉しいところです。WX11000T12の価格が高いのがネックではありますが、下位モデル「Aterm AM-AX7800T8」でもメッシュは構築でき、価格を抑えることができます。10GbpsLANポートは装備していませんが、そこまで有線LANの速度にこだわりがないのであれば、有力な選択肢の一つになるでしょう。
課題としては、筆者宅の場合メッシュを構築しても、WX11000T12を置いてない部屋ではWi-Fiの速度はかなり下がります。これは家の構造の影響が大きいので個人差があると思います。メインで仕事をする2つの部屋では快適になりましたが、将来的にはあと1、2台、安価なAM-AX7800T8を追加して家中をカバーしようと考えているところです。