マスク着用で手放せなくなった「メガネの曇り止め」

新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大にともなってマスクの着用が当たり前になると、メガネ着用者には「メガネが曇る」という新たな悩みが増えた。そこで、ウェットシートやスプレーの形で販売されている「メガネの曇り止め」を試してみた。外出前にひと手間かかるとはいえ、想像以上の効果があった。

今ではメガネが曇りにくい形状と謳うマスクはたくさん登場しているが、気温が下がりメガネのレンズが冷えてしまう冬場は、わずかな呼気が当たっただけでもレンズが曇ってしまう。マスクの形状が優れていても、人の顔の形は千差万別のため、必ずしも曇りを防げるとは限らないのもツライところだ。

2020年のはじめの冬は、筆者は「マスクの着用は一時的なものだから」と予想し、マスクをあれこれ工夫したり、マスクの中で口を変な形にして息を下向きに吐くようにしたり、レンズの曇りが早くとれるよう歩く速度を上げてみたりと、涙ぐましいものも含めてその場しのぎのスタンスでやり過ごした。しかし、春どころか夏が終わってもマスクが不要になる状況は訪れず、この冬を迎えるにあたり抜本的な対策が必要と感じるようになった。そこで、マスクではなくメガネに対策を施すことにし、「メガネの曇り止め」を探して購入してみた。

ウェットシートタイプの「メガネクリーナふきふき くもり止め」

当初はドラッグストアに行けばたくさん商品が売っていると予想していたのだが、曇り止めが欲しくなる秋口の時点で近所のドラッグストアを何店かまわってみたものの、商品ジャンル自体ほとんど取り扱いがない状況だった。

ただ、近所のホームセンターでは小林製薬の「メガネクリーナふきふき くもり止め」が売られていたため、まずはこちらを購入した。価格は1箱に20包入りで368円だった。個別包装で、駅弁に入っているお手拭きのような1回使い切りタイプになっており、携帯にも便利になっている。

小林製薬の「メガネクリーナふきふき くもり止め」

ウェットシートタイプのこの商品は、レンズに付いた指紋や油汚れを落とす揮発性のクリーナーに、曇り止め効果も加えたというもの。メガネのレンズをシートで軽くはさみ、左右に5往復させ塗り拡げるだけと、使い方は簡単。液剤は揮発性のため、別途ティッシュで拭くといったこともしなくて済む。レンズ表面には曇り止め剤を塗り拡げた跡が残るものの、メガネ着用時の視界に影響はなかった。

使い方。拭きすぎるとベトベトになるので説明通り軽く5往復程度にしておく

個別包装で使い切りタイプ。別途ティッシュなどは不要なので手軽だ

初めてのメガネの曇り止めとしてこの商品を使い、マスクを着用して外に出た時は、ちょっとした感動があった。それまでは息をするたびにマスク(鼻の脇)から呼気が漏れレンズが曇っていたのに、まったく曇らなくなったのだ。正直なところ、こうした商品を使っても「ちょっとは曇る」「曇りにくい」程度だろうと予想していたのだが、まったく曇らない。意地悪に「フゥゥー」と大きく息を吐いてみても、びくともしない。自分の呼気が何か別のものに変化してしまったのかと錯覚するほどで、もっと早くこの商品ジャンルを導入していれば……と軽く後悔した。

スプレータイプ。超強力なパール「ピュア500 くもり止め」

メガネの曇り止めは、使ってみると非常に効果が高く、今後も手放せなくなることが予想できた。そこでさらなる高みを目指したどり着いたのが、パールの「ピュア500 くもり止め」だ。筆者が購入したタイミングでは、Amazon.co.jpにて2本セットが851円だった。

パールは、1959年に日本初の「メガネの曇り止め」を開発し製造・販売したというメーカー。クリーナーをはじめ、さまざまなメガネ関連商品をラインナップしている。「ピュア500 くもり止め」は1本13mlのスプレータイプで、適量をレンズにスプレーして塗り拡げ、しばらくしてからティッシュなどで拭きあげる。この際、メガネ拭き(マイクロファイバー)では拭かないよう説明されている。

パールの「ピュア500 くもり止め」。中字のサインペン程度の大きさで、ボディの色は複数用意されている

使い方。スプレー後の拭きあげにマイクロファイバーを使わないよう説明されている

レンズに直接スプレーする

ウェットシートタイプの小林製薬「メガネクリーナふきふき くもり止め」と比べると、液剤を最後にティッシュで拭くというひと手間はかかるものの、そうした点を覆すほど「ピュア500 くもり止め」の効果は強力だ。

「メガネクリーナふきふき くもり止め」は、効果の持続という意味では概ね1日分と考えるのが無難。しかし「ピュア500 くもり止め」は、1日どころか翌日も曇り止めの効果が続いている事が多い。環境・コンディションによっては3日目でも効果が残っている場合もある。使い勝手はウェットシートタイプとは異なるが、こと曇り止め効果とその持続という点では頭ひとつ抜けた性能といえそうだ。

写真左側のレンズにパールの「ピュア500 くもり止め」を塗布、丼に沸騰したお湯を注ぎ、湯気で曇るかどうか試してみた(部屋は室温21度、湿度50％)。効果は強力で、びっくりするほど曇らない

「メガネクリーナふきふき くもり止め」は効果の持続という点で少し物足りないものの、クリーナーを兼ねているため、塗布時に指紋や脂汚れも綺麗にできる。「ピュア500 くもり止め」は効果の持続時間が長いものの、その後に指紋や油汚れを落とそうとしてメガネ拭き(マイクロファイバー)を使うと、曇り止め効果はリセットされてしまう。それぞれ一長一短があるという印象だ。

メガネ着用者の新しい習慣

メガネの曇り止めを使い始める前は、どうしたら曇りにくくなるのかと、マスクをあれこれ買ったり着け方を工夫してみたりと、いろいろやってみたが、容易に解決することは難しそうだった。

外に出る度にメガネが曇って前が見にくくなるのは本当に鬱陶しく(そしてカッコ悪く)、外出が億劫になるほどだったが、メガネの曇り止めを使い始めてからは、そうしたストレスから開放された。

マスク側であれこれ試行錯誤することなく、レンズを拭いたりスプレーしたりするだけで解決するのだから、メガネ着用者はこの冬の必携アイテムとして曇り止めの導入を検討してみてはいかがだろうか。