いつモノコト
指先で転がすトラックボールの魅力。「Digio2 Q」
2019年6月18日 09:15
唐突だが、本稿の読者の方々は日々のネットサーフィンに何を使っているだろう。最近はスマートフォンやタブレットが主流といわれるが、PCであれば大体がマウスだろう。
今回ご紹介するのは、マウスとは違うポインティングデバイス、トラックボールというもの。筆者はこれを10年ほど愛用している。
なぜ使うのか?「楽しいから」
そもそもトラックボールがどんなデバイスか。本体にはめ込まれたボールを指で転がしてカーソルを動かすものだ。マウスを使う際は縦横に腕を振るが、トラックボールならば指先だけで済む。
指で使うにも2つの流派があって、親指派、または人差し指/中指派がある。これがレアなトラックボールユーザーをさらに二分する分水嶺となっている。筆者は親指派だ。
主流なメーカーといえば、ロジクール、エレコム、ケンジントン。その市場は狭く、数的に主流なマウスユーザーからは稀有な目で見られがちだ。
筆者はナカバヤシの「Digio2 Q」の有線モデルを使用している。購入価格は税込6,000円程度。購入からしばらく経っているため、現在売られているものとは若干仕様が異なっているかもしれないが、手のひらにすっぽりと収まるコンパクトさに加え、マットな触り心地とボタンの静音性が好みでここ数年のパートナーとなっている。
ゲーマーの筆者にとってひとつの悩みは、いわゆる「ゲーミングデバイス」がない。光らないし、10,000dpi前後のポインティング解像度もない。最近(といっても2017年だが)ロジクールから発売された「MX ERGO」でも最大解像度は2,048dpiとなっている。
それでも使う理由は「楽しいから」。これに尽きる。いくら市場が狭く自分と相性のいいトラックボールが見つかりにくいとはいえ、1度使えるようになったら楽しい。新しい世界が広がっているようだ。もともと腕を振って使うマウスに疲れを感じていたり、ちょっと特殊なものを触ってみたかったという興味もあるが。
正直なところマウス20余年、トラックボール10年の使用で感じたギャップといえば、トラックボールを使い始めたときの親指の忙しなさくらいだ。それも3日ほどだったし、個人差はあっても慣れるのにそう時間はかからないと思いたい。
デスクの省スペース化に貢献。日々の手入れは必須
トラックボールはデスクのちょっとしたスペースにも置ける。マウスを走らせるためのマウスパッドも不要で、そもそも手のひらひとつ分のスペースですべてが完了してしまうからだ。
最近確認しているなかで最大サイズのトラックボールはエレコムの「HUGE」シリーズだが、それでも114.7×181.9mm(幅×奥行き)。同製品はこのサイズに手を納めてしまう設計だ。一方マウスパッドは最低でもB5、だいたい180×250mm程度はほしい。Amazonで販売されている「Amazonベーシック マウスパッド ゲーム用 標準サイズ」でも269×315mmとなっている。
慣れれば腕を動かす必要もなく、手のひらひとつで疲れ知らず、かつコンパクトに作業が進むトラックボール。だがマウスより手が掛かる点として「ボールの汚れがセンサーの感度に影響を与える」というのがある。
トラックボールはボールの動きをセンサーで検出してポインティングしている。この際に当然指がボールに触れるのだから、手垢やホコリなどで汚れてくる。これを本体内部の支持球――支えやセンサーが削り取り、ボールの動きが悪くなり、ときにはセンサーを塞いでしまうこともある。
だがボールやセンサーの掃除自体は簡単だ。基本的に本体裏にボールを押し出すための穴が開いているし、その気になれば引き抜くこともできる。ボールを出した状態でティッシュなどでしっかり拭いてやれば問題ない。
トラックボールはちょっと手間がかかるものの、慣れてしまえば省スペースかつ少ない疲労感で扱える。何より目を引くボールの色鮮やかさがクールで、腕も疲れない。
今回紹介した「Digio2 Q」だけでなく、各メーカーが数種類ずつ発売している。自分の手になじむ製品がきっと見つかるはずだ。