ミニレビュー
「着るこたつ」と話題 ワークマンのヒーター内蔵ベストを試す
2025年1月4日 09:15
今年は冬がないのかも……と思っていたら、12月に入ったら急に寒くなってきた。それでもここ関東では、特に日中は、例年のようなもこもこのダウンジャケットで完全武装しなくても過ごせるくらいだ。
そんな気候にちょうど良い上着はないかと探ってみたところ、ワークマンの「ウィンドコアヒーターウェア」が「着るこたつ」と言われるほど話題だという。気になったので購入して試してみた。
じわじわと体を暖めてくれる電熱シート
「ウィンドコアヒーターウェア」は、背中にあたる箇所に電熱シートを内蔵している。専用のモバイルバッテリーをつなげると、生地の中の電熱シートが発熱して、温まるというもの。
ベストやインナーベスト、フリースなどがラインナップされているが、筆者はアウトドアジャケットの中に着ることを想定して「ウィンドコアヒーターインナーベスト WZ9200」を選んだ。価格は3,900円。
電熱シート内蔵ということで、着た時にシート部分の肌触りというか当たりが気にならないかと少し心配だった。実際に着てみると、電熱シートが内蔵されている部分も柔らかく、特に気になることはない。
電熱シートは首下と腰のあたりに配置されている。専用バッテリーを充電し、右脇のポケット内にある電源ケーブルと接続して準備は完了。あとはバッテリーの電源をオンにしてから、同じく右脇のポケットに配置されている電熱シートの「温度調節スイッチ」を長押しして電源を入れると、首下と腰のあたりがじわじわと暖かくなる。
なお専用バッテリー「ウィンドコアハーフバッテリー」は別売で、価格は4,900円。少し高い気もするが、夏場のファン付きウェアなどにも使えるため、1つ買っておけばさまざまな製品で活用できるようになっている。
電熱シートは、温度調節スイッチを押すごとに「低温/中温/高温」の3段階で調節できる。低温では40℃前後になり約16時間の連続使用が可能。また高温では50℃前後となり約4.3時間使える。
実際に寒い場所で使うと、電熱シートがぐんぐん温度を上げていくのが実感できる。ただし、あまり高温にすると電熱シートが当たっている場所だけが熱くなり、それ以外の箇所……特にベストなので腕などは、逆に寒く感じる気がした。
そこでおすすめなのは、低温に設定して使うこと。高温にした場合と比べて、感じる暖かさは弱いが、電熱シートの部分とそれ以外の箇所との差が少ないため、体全体が暖まっていく。
この弱の状態でまだ寒いようであれば、電熱シートの設定を上げるのではなく、ジャケットなどを着込んだ方が良いだろう。いずれにしろアウターではないので、薄手のものでも良いからウィンドブレーカーなどを羽織ると、電熱シートによる熱をより感じられる。暖冬がこのまま続くのなら、このヒーター内蔵のインナーベストとジャケットで、今回の冬を快適に過ごせそうだ。
外出時も部屋の中でも重宝している
インナーベストは、もちろん電熱シートを使わなくても役に立つ。電熱シートを使わない時の使用感も重要だろう。
筆者は身長167cmで体重が71kgくらい、もう少しで肥満ゾーンに入る中肉中背。店舗でインナーベストを試着した時には少し余裕のあるLサイズと迷ったが、ぴったりとフィットするMサイズを選んだ。
表地はリップストップ生地ではなく、撥水加工が施された一般的なナイロン地。その内側に中綿と電熱シートがあり、背中の裏地にはグラフェンシートという、保温性と蓄熱性を高める素材が使われている。
この裏地がカサカサとした肌触りの生地で、実際、体を動かしたり椅子の背もたれに寄りかかった時には、ほんの少しカサカサと音がする。この裏地の質感については、筆者はすぐに慣れたが、好みの分かれるところかもしれない。
全体としては中綿がモコモコしているわけでもなく、アウトドア向けのゆったりとしたジャケットであれば、インナーベストの上から羽織りやすい。ただし、背広のジャケットなどを上から着るのには、少し中綿などが厚すぎる気がする。
外出時だけでなく、シャツだけでは寒いなと感じた時に、サッと着られるので重宝している。例えばオフィスではもちろん、自宅でも気軽に着られるインナーベストは気に入っている。
また、これは良いなと思ったのが左胸のあたりにある隠しポケット。はたから見るとポケットだと分かりづらいが、チャックを開けると意外とポケットが深く作られている。そのため筆者のiPhone 12はもちろん、最近のもっと大きめのスマートフォンもすっぽりと入れられるはずだ。
モバイルバッテリーとしても使える専用バッテリー
なお専用バッテリーは、対応ウェアなどとつなげるためのコネクター端子(出力)のほか、出力用のUSB Type-A端子を備える。そのためいざという時には、スマートフォンなども充電可能だ。容量は3,350mAhなのでフル充電は難しそうだが、ピンチのときには役立つだろう。
バッテリーにはもう一つUSB Type-C端子があるのだが、こちらは残念ながらバッテリー自体を充電するための端子で、スマートフォンやパソコンなどの充電には使えない。そんな、色々とややこしい仕様となっている。
同バッテリーの対応商品は、冬用ではベストのほかフリースなどがあり、夏用にはファン付きウェアがラインナップされている。せっかくバッテリーを手に入れたので、夏になったらそうした商品も試してみたいと思う。