ミニレビュー

スリコの3000円スマートウォッチに新作! どこが変わった?

「デバイスバンドplus」3,300円

1ドル150円台後半とヤバい円安です! 昨年、物価高が騒がれる中で、ご紹介したのが3,300円のスマートウォッチ、3COINS「デバイスバンド」。それが、「デバイスバンドplus」として、この円安にもかかわらずお値段そのままでアップデートしました。

もはやスリコ(3COINS)は日銀総裁よりも頼りになる存在なのか? などと思いながら、どこがplus(プラス)されたのかをチェックしました。

より正方形に近いフォルムに

まずは本体サイズから。「デバイスバンドplus」は41×46×12mm(幅×奥行き×高さ)。「デバイスバンド」(以下、旧モデル)は37×44.5×9.5mm(同)なので、厚さ(高さ)は2.5mmほど増し、縦長から正方形に近いフォルムになっています。若干Apple Watchに寄った感じですかね。重量は新モデルが約38g、旧モデルが約39gと1gほど軽くなっています。

画面サイズは1.69型(240×280)から1.87型(240×284)へと拡大。前回指摘したチープ感のあったリューズも少し厚みが出て違和感が解消されています。

バンドのカラバリは、アイボリー、ブルー、ピンク(前回は、ベージュ、ピンク、パープル)。バンドは前回同様、各色におまけとしてブラックのバンドが同梱されています。

色以外は前モデルから素材や形状に変化は見られません(装着の際に、余ったバンドを裏側に押し込む際にひっかかりがちなのはそのまま)。腕が細くひんぱんに着脱したい人にはちょっとストレスです。しかし、バンド自体の肌へのあたりはやさしく、本体の重量含めて、長時間装着していても不快感はないでしょう。

新モデル(上)と旧モデル(下)。若干スクエア(正方形)に近くなった。バンドの形状や素材は同一
背面。新モデル(右)はセンサーの数が増えている。充電端子の位置は変更されたが、充電器は共通で使用可能
ケースは新モデル(右)のほうがツヤ感が若干増している。リューズも厚みがある

血中酸素濃度とストレス評価が計測可能に!

使用できる機能もいくつか追加されています。健康系の記録は、従来からの歩数や移動距離、消費カロリー、心拍数、睡眠に加えて、血中酸素濃度と表皮温度、ストレス評価の計測が可能になっています。

ストレス評価はリラックス状態を1から99で数値化します。Fitbitのように自動的にストレスを検知したりはしませんが、定期的もしくはストレスの自覚ある時に使用して、休憩や気分転換をはさむことでメンタル状態の維持につなげられるでしょう。これは、コロナ禍以降に知られるようになった血中酸素濃度測定と合わせて、個人的には最大の進化ポイントだと思います。

また新たに「電卓」機能が追加されました。小さなボタンを指で正確に押すのは難易度高めですが、あれば買い物での消費税計算やレート計算で便利そう。その他、好きな写真を待受画面にしたり、サブメニューからバイブレーションのオン・オフが可能になるなど、地味に使い勝手も改善されています。

血中酸素濃度
ストレス評価
電卓
文字盤に好きな画像を選択できるようになった

難点だったスマホとの接続性は改善

バッテリーの持ちは、仕様上は「約5日~10日」。旧モデルは「約7日~10日」と若干短くなっていますが、バッテリー容量が250mAhと変更がないので、大画面化の影響かもしれません。とはいえ普通の使い方なら1週間は十分に持ちます。

また前モデルでは、専用のスマホアプリとの接続性が悪く、データが同期しなかったり通知が反映されないことが多かったのですが、これは解消されています。運動量などのデータはアプリを開く度に確実に反映されていますし、今のところスマホに来た通知は本体にほぼ100%届いています。通知のためのデバイスとしても実用的になりました。

ただし、通知に対応するアプリは、デバイスバンド側に用意されたもののみで、本体で見られる通知の履歴は10件までと制限もありますし、返信もできません。とはいえ、最大の難点だったスマホとの接続性が改善されたことで、多くの人におすすめできるようになりました。

明らかに旧モデルよりもスマートフォンとの接続が向上。通知が漏れることがなくなった

高級スマートウォッチの洗練されたデザインや質感、音声認識やキャッシュレス決済、緊急SOSなどの機能を必要としなければ、これで必要にして十分。世の中に登場した時のカシオのデジタル腕時計やユニクロを思い起こさせる存在です。

すでに数万円のスマートウォッチを持っている人は、これを使うとちょっと複雑な気持ちになるかもしれません(そして、欠点を探したくなります。たとえば、用意されている文字盤のデザインがダサいとかねw)。そのぐらいモノの価値と値段について考えさせられる製品です。

視認性が高くバッテリーも持つ
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>