ミニレビュー

モニターど真ん中「超小型Webカメラ」。視線も外れずレンズ交換も

プラネックスのWebカメラ「好感度WEBカム」を試してみた

これだけオンライン会議が普及したにもかかわらず、いまだに定まっていないのがWebカメラのポジションではないだろうか。たとえばノートパソコンだとモニター上部にWebカメラが埋め込まれていることが多いが、モニターの見やすい角度とカメラの最適な画角を両立させるのは難しい。カメラ映りを優先すれば画面がよく見えないし、画面を見やすくしようと思えば自分の顔が見切れる、なんてことになりがちだ。

また、デスクトップパソコンの場合は、たいてい外部モニターの上にWebカメラを載せることになるけれど、自分の姿を見下ろすような形になってしまい、意識しないとカメラ目線になりにくい。YouTubeのゲーム実況配信のように、あえてカメラ目線にせず斜めアングルから映しておしゃれな雰囲気にする、みたいなテクニックもあるが、通常のオンライン会議ではやはり相手と目線が合うようにしたいもの。

であるなら、どうするのが最適解なのか。いっそのことカメラを画面のど真ん中に配置すれば、画角もカメラ目線もバッチリになるはずだッ! ということで登場したのが、プラネックスの「好感度WEBカム」(USB-CAM02)だ。実売価格は11,000円程度。レンズ交換にも対応するユニークなこのWebカメラを試してみた。

画面内にカメラを配置することで目線の問題を解決

「好感度WEBカム」のパッケージ内容

「好感度WEBカム」は、パソコンとUSB接続して使う、無指向性マイク内蔵の外付けWebカメラ。外付けWebカメラというとモニター上部に載せるタイプが一般的だが、本製品は超小型のカメラユニットをモニター上部から吊り下げるようにして使うのが特徴だ。

といっても、ただモニター上からだらりとぶら下がってカメラがあさっての方向を映してしまう、みたいなことにはならない。先端のカメラレンズから30cmほどが堅めのフレキシブルアームになっていて、そのアームをほどよく曲げてモニター上に引っ掛けるようにする。曲げ方や曲げる位置を調整することで、カメラの上下ポジションや向きを調整できる仕組みだ。

先端から30cmほどはフレキシブルアームになっている

加えて、カメラポジションを安定させるためのアイテムとして3種類のホルダーも付属している。ノートPCや薄い外部モニターなど向けには2パターンの厚みの異なる透明なプラスチック製ホルダー(と調整用シート)が、中・大型モニター向けにはゴム素材のホルダー2個があり、これらをモニター上部に取り付けることで幅広い環境で最適なポジションにカメラを固定できるようになっている。

ノートパソコンや薄型モニターでカメラを固定しやすくするためのホルダー。厚みの異なる2種類と、調整用のシートが付属

カメラユニット部はおよそ15mm角で、フレキシブルアームはだいたい5~6mmほどの細さ。カメラ性能はフルHD解像度(1080/30p)となっており、Webカメラとしてはごく標準的な性能と言える。付属レンズは対角110度の視野角で、一般的なWebカメラと比べてやや広い画角で捉えられるだろう。

視野角は変えることもできる。別売の交換用オプションレンズ(いずれも実売価格2,000円前後)が2種類用意されているのだ。より広い視野角のレンズ(対角130度、US2-LA130)と、狭い視野角のレンズ(対角65度、US2-LA65)から選んで、好みや環境に応じてユーザー自身の手でいつでも付け替えられる。レンズはねじ込み式で、そのねじ込む量によってピントが変化する。

標準の対角画角110度のレンズの他に、同65度と130度の2種類の交換用レンズが用意。ねじ込むときはかじりやすいので注意

つまり、ピント合わせは手動ではあるけれども、一度セットしてしまえば交換時以外で調整することはほとんどない。レンズの違いによる映像の見栄えについては後ほど紹介したいと思う。

カメラ目線はバッチリ! 場所や用途に合わせられるレンズも便利

実際の使い勝手はどうだろうか。筆者の仕事環境にセットしてみた。モニターは34型の大画面で厚みもあることから、付属の透明プラスチックのホルダーは2つとも使えなかった。そのため、粘着テープで取り付けるゴム素材のホルダーと組み合わせることにした。

ゴム素材のホルダーでモニター上部に固定することにした

説明書ではモニター裏側にホルダーを取り付けることになっているが、あえてモニター上に取り付けることにした。理由は、モニター背面が少し複雑な形状になっていることが1つ。それと、座ったままでも脱着できるようにしたかった。Webカメラを使わないときも画面前に吊り下げておくわけにはいかないので、Web会議のたびに脱着を繰り返すことが考えられる。そうすると、立ち上がってモニター背面をのぞき込みながら脱着するのはちょっと面倒そうだからだ。

モニターは厚みがあり、背面側が少し複雑な形状なので、透明のプラスチックホルダーは使えず

しかし、いずれにしろWebカメラを使わないときにどこにしまっておくか、という問題は残る。完全にモニターから取り外してデスク上に置いておく、なんてのはさすがに邪魔だ。そこで、もう1つ付属していたゴム素材のホルダーを同じくモニター上に横向きに貼り付け、使わないときはそこにWebカメラを固定しておくことにした。これなら使用時と非使用時で固定先のホルダーを変えるだけで済む。もしくはモニター裏にフックを取り付けて、そこに引っ掛けておく、という手もアリかもしれない。

使わないときは、横向きに取り付けたもう1つのホルダーに移し替える

かなり小型のカメラユニットと、細いフレキシブルアームからなることもあって、使用中は想像以上に目立たない。もちろん画面を全く遮らないというわけではないが、会議しながら画面上でWebブラウザーを開いて調べ物をしたり、メモを取ったりするのにも支障はないし、わずかに陰になる程度の範囲は、少し体勢を変えれば覗き見ることができる。あるいは、無意識のうちに陰になった部分を脳内で補完してくれているところもあるのかもしれない。

では、画面中央にカメラがあることで視線がどうなるのか。画面の中央付近を見つめた状態で、他社のモニター上に載せるタイプのWebカメラと、モニターから吊り下げた「好感度WEBカム」の映像をそれぞれキャプチャーしてみた。

モニター上に載せたWebカメラの映像
「好感度WEBカム」(標準レンズ)の映像

画像を見るとわかるとおり、モニター上に載せたWebカメラでは目線が下がってしまっているが、本製品はしっかりカメラ目線になっている。アングルについては個人の好みにもなるかもしれないとはいえ、きちんと相手の目を見て話している雰囲気が出ることは間違いない。

続いて標準のレンズとオプションレンズとで見え方がどう変わるかも見てみよう。

標準レンズ(対角110度)の映像

まず標準の対角110度のレンズは、筆者の環境(画面までおおよそ55~60cm)ではやや広めに捉えられているものの、バランスはいい感じ。より間近で使う可能性があるノートパソコンだとぴったりだろう。ただ、モニターまでの距離が遠い環境だと視野角が広すぎるように感じる場合があり、映像左右の歪みも少し気になるかもしれない。

オプションレンズ(対角65度)の映像

対角65度のオプションレンズはかなり寄りの映像となり、ほぼバストアップのみ。一般的なノートパソコン内蔵Webカメラと同じか、それより少し狭いと思える視野角だ。(顔のディティールが見えすぎて恥ずかしいので)筆者としては使いにくいが、背景の余計なものをあまり映したくないときにも都合が良さそうだ。

オプションレンズ(対角130度)の映像

最後の対角130度のオプションレンズは視野角がかなり広い。歪みは大きいものの、狭い会議室に複数人が集まってオンライン会議するにあたり、全体を捉えられるようにしたいときには便利だろう。

変わりダネっぽく見えつつも、実用性高い堅実なWebカメラ

パッと見はエキセントリックというか、変わりダネの雰囲気をかもし出している「好感度WEBカム」だけれど、十分に実用性の高い機能や性能を備える至って堅実な製品、という印象。小型で邪魔になりにくいし、レンズ交換可能という特徴も他のWebカメラにはあまりない優れた部分だ。

ただし、いくつか気を付けるべき点や、弱点みたいなところもある。

1つ目は今回の筆者のように、使っていないときにカメラを退避しておく方法を工夫する必要があること。2つ目は、付属のレンズカバーで映像は見えないようにできるものの、内蔵マイクは自動でオフにならないこと。気になる場合は、OS側の設定でマイクをオフにしなければならない。レンズカバーは小さく紛失しやすいので、できればカメラユニット部にシャッターのような形で取り付けてほしかったなあ、とも思う。

カメラ目線になっていることでオンライン会議中の議論に説得力が増すとか、相手に与える印象が大幅に良くなるとか、そこまでの効果はもしかしたらないのかもしれない。それでも、完全に違う方向を向いて話しているよりはカメラ目線になっていた方がいいだろうし、画面内で情報収集している状態でも視線が大きく逸れにくいことで「内職」がバレにくい効果もあるはず。

今使っているノートパソコン内蔵カメラの画質や視野角に不満がある人、外部カメラでしっくりくる視野角になかなかならない人に、ぜひ導入してほしい製品だ。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。