ミニレビュー

350度画面が回る! Amazon「Echo Show 10」がかなり凄い

人を“追いかける“Echo Show登場

Amazonから最新のスマートディスプレイ「Echo Show 10」が14日から出荷開始します。特徴は、10型のスクリーンが350度回転し、ユーザーを追従すること。部屋のどこからAlexaに話しかけても、Echoが「こっち向いて」反応してくれるというユニークな製品です。

ディスプレイでの情報や動画、写真表示や音楽再生、スマートホーム機能などの多くは従来のEcho Showシリーズと同様に搭載していますが、画面サイズもシリーズ最大の10型となっています。

価格は29,980円で、チャコールとグレイシャーホワイトの2色を用意。今回、短時間ながらEcho Show 10を試用できたので、特徴的な回転機能(モーション機能)を中心に紹介します。

大型のスマートディスプレイ。設置に注意

同梱品はEcho Show 10本体のほか、ACアダプタだけにシンプルなもの。ベースとなる本体部と、アームで支持された10.1型/1,280×800ドットのディスプレイから構成され、左右350度にディスプレイを自由に回転できます。

ディスプレイの上部には、13メガピクセルのカメラとマイクを搭載。Alexaを通じたビデオ通話中に部屋の中を移動しても、スクリーンから外れずにビデオ通話できるほか、話している人を自動的に正面から拡大表示する「自動フレーミング」機能も備えています。

また、上部にはマイク/カメラのオンオフボタンと、カメラカバー、ボリュームボタンを装備。カメラを使いたくない時は物理的に「オフ」にできます。

本体部分には2つのツイーターとウーファーからなる、2.1chのスピーカーを搭載し、重量は2,560g。外形寸法は251×172×230mm(幅×奥行き×高さ)で、スマートディスプレイとしてもかなりの大きさ。

今回は、120×90cmの比較的広めの仕事用デスクの上に設置していますが、少し大きすぎるという印象です。リビングなどより広い場所に設置したほうが良さそうです。

本体部とディスプレイ部
底面に電源端子

Echo Show 10の最大の特徴は左右350度のディスプレイの回転ですが、コーナー設置などでは、90度ぐらいしか回らないこともあります。また、近くにコップなどを置くと、回転した際にぶつかって倒す危険性もあります。そのため、Echo Show 10の回転幅がひと目で分かる紙の台紙が用意されており、事前に設置場所の回転範囲を確認できるようになっています。

付属の台紙で回転範囲を確認

また、回転範囲はセットアップ時、および設定から調整可能です。「回転範囲の調整」から、配置する場所にあった回転範囲を選択できる。「周囲に壁がない場所」「壁際」「コーナー」から選択できます。

「回転範囲の調整&待機ポジション」の設定も可能で、スライダーから動かす範囲を選択できるため、Echo Showを設置してからの微調整も行なえます。

設置場所で回転範囲を設定
スライダーで回転角度を調整
350度動かしてみた

なめらかな350度回転動作

基本は「画面が大きいEcho Show」で、天気やレシピの確認や動画や音楽の再生、スケジュールの表示・追加、スマートホーム制御などに対応しています。

特徴の画面回転「モーション機能」は、デフォルトでは「オン」(設定の変更で「オフ」も選択できます)。

スクリーンの追従は、「ウェイクワード(アレクサ)を検知した時」、「ユーザーの動きを検知した時」の2回で判別しています。

実際に使ってみると、面白いぐらい、顔の動きに画面が追従してきます。スムーズかつキビキビと動き、音も静かで感動的ですらあります。350度動作も伊達ではなく、なめらかに人を追いかけるので、「おもしろガジェット」的な魅力があります。

追従性能が高くてなめらか

ただ、少し慣れてくると、正直“動き過ぎ“という印象になってきます。例えば、仕事をしながら、音楽をEcho Show 10で再生している時、少し視線を動かしたら、Echo Show 10も追従するなど。あるいは、Netflixを見ている時に、ちょっと背伸びをしたら画面が動いたりと、おせっかいな程よく反応するので、「ほっといてくれ」という気持ちも芽生えてきます。

ただ、この問題は設定で回避可能です。モーションの設定では、「すべてのアクティビティの実行中」「指定したアクティビティの実行中」「リクエストした場合」から選べます。

上記は、「すべてのアクティビティの実行中」(デフォルト)ですが、「リクエストした場合」にすれば、「アレクサ、ついてきて」と話したときだけ追従します。

もっとシンプルな使い方は、カメラのシャッターを「オフ」にすること。すると自動的に人の追従をやめるため、仕事机で使う場合などでは、普段はモーション「オフ」で、カメラが必要なときだけ「オン」にするという使い方で思います。

広い部屋で、頻繁に向きを変える場合などに、「すべてのアクティビティの実行中」で使うと良さそうです。

カメラスイッチ

また、声でのモーション機能コントロールにも対応します。

「アレクサ、ついてきて」
「アレクサ、左に回って/右に回って」

アレクサ、右に回って

と話しかければ、Echo Show 10が自由に首をふって追従してくれます。本当になめらかに動くので無駄に動かして、いろいろな向きを向かせられるのが楽しいです。

また、「アレクサ、ついてこないで」、「アレクサ、モーションをオフにして」といった動き制限側の命令にも対応しています。

なお、自動追従は左右の動きのみで、上下の傾きは手動で行ないます。そのため、ビデオ通話時などに顔に合わせた角度調整などは必要になります。

ビデオ通話もスムーズ。アプリから画面をコントロール

ギミックとして面白いモーション機能ですが、主な用途は、家族や友人とのビデオコミュニケーションでしょう。最大8人までに家族や友人とグループ通話でき、許可した連絡先への呼びかけ機能も搭載しています。

家庭内のEcho ShowやAlexaアプリから、Echo Show 10を呼び出して、ビデオ通話が可能。別の場所で暮らす家族とでも、Echo Showをセットアップしておけば、「アレクサ、お母さんに電話して」と話しかけて、ビデオ通話を行なえます。

Echo Show 10に話しかける関根麻里さん

家の中からAlexaアプリでビデオ通話を試してみましたが、この画質も音質もよくて、通話品質は十分です。また、通話中に追従だけでなくズームもするので、話者を画面に捉えたままにできます。

また、他のEcho ShowシリーズやAlexaアプリから、Echo Show 10のカメラにアクセスし、Echo Show 10を回転させて部屋全体を見渡す機能も備えています。外出先からのアクセスを許可する「自宅の監視」にも対応しており、ペットの状態を確認するなどで使えそうです。

実際に、Alexaアプリから、家庭内のEcho Show 10を操作してみましたが、画面のスワイプに合わせて、1秒とかからずにEcho Show 10が反応してくれるなど、かなりスムーズに動作してくれます。

外出先からも見られるとなると、プライバシー上の不安も出てくるかと思います。「自宅の監視」を使わないというのも一つの考え方ですが、カメラカバーをスライドするとカメラ機能がそもそも使えなくなるので、このカバーを使いこなすことが、Echo Show 10では重要と感じます。

別室からEcho Show 10のカメラを確認

なお、米国ではEcho Show 10は、ZoomやAmazon Chimeなどのビデオ会議ツールにも対応していますが、日本では未対応。特にZoomが使えるとビジネスでも利用シーンが広がるため、日本での対応も期待したいところです。

実は音が良い。魅力的なガジェット

スクリーンが大きなEcho Show 10は、Prime VideoやNetflixなどの映像配信サービスにも対応しており、かなり迫力ある映像が楽しめます。

Prime Videoは音声のほか、タッチパネルでの番組選択が可能。Netflixも人気番組をリストで表示できるほか、スマホアプリからの番組検索や再生指示などが行なえます。

Prime Videoを再生

なお、YouTubeアプリはありませんが、WebブラウザのSilkからのYouTubeへアクセスして、動画再生などが可能となっています。そのほか、ひかりTVやParavi、Amazon Music、Spotify、Apple Musicなどのサービスにも対応します。

Netflixで「Lupin/ルパン」のオープニングを見てみたところ、画質がいいのは予想通りですが、音質の良さ、低音の力強さとキレが印象的です。音の良さが映像体験にもプラスで、13インチのMacbook Proより迫力が感じられます。

ただ、前述のようにPrime VideoやNetflixを見ている時に、画面追従するのはかなり気が散ります。映像プレーヤー的に使うのであれば、モーションを「オフ」にしておくべきです。

また、SpotifyやAmazon Musicで音楽を再生しても十分に高音質です。音楽専用のEchoより音量が大きく、また低域の量感やキレも優れているように感じます。音楽用スピーカーとしてもなかなかの実力です。

スマートスピーカー/ディスプレイとしての基本能力が高く、コミュニケーションや家事をハンズフリーで行なう手助けをしてくれる、使い所の多いガジェットです。

サイズが大きいのでやや設置場所は限られますが、モーション機能をフルに活かすには、広めのリビング、例えば、ダイニングとキッチンの間において、1台で料理中のレシピ確認やキッチンタイマー、スピーカーや、ダイニングテーブルでの仕事のお供のスピーカーとして使うなど、活用の幅は広がりそうです。

Echo Show 10発表会から。関根勤さんと関根麻里さんも出演

なにより、このモーション機能のスムーズな動きは、ガジェットとしてかなり魅力的。ガジェット好きで、普通のスマートスピーカーに飽き足らない人にも、ぜひ体験してほしい製品です。

臼田勤哉