ミニレビュー
伝票の「手書き」は不要! ヤマトの「スマホで宅急便」を試す
2019年9月12日 08:15
ヤマト運輸は、宅急便の発送手続きをスマートフォンだけで完結できるサービス「宅急便はスマホで送れる。」を9月3日に開始した。住所や日時など発送に必要な情報をスマートフォンで設定しておくことで、送り状を手書きすることなく、送りたい荷物を店舗に持ち込むだけで宅急便を送れるようになる。
9日にはコンビニからの発送にも対応したほか、LINEを使った「匿名配送」にも対応するなど、矢継ぎ早に機能強化も行なわれている。早速試してみた。
利用には「クロネコ メンバーズ」登録が必要
本サービスの利用は無料の会員サービス「クロネコメンバーズ」の登録が必要。すでにアカウントを持っていれば、専用サイトからログインするだけで利用できる。
アクセス方法は専用サイトのURLを直接入力する以外に、ヤマト運輸の個人向けページや会員サービス「クロネコメンバーズ」のトップページに「宅急便でスマホを送る」というリンクが用意されている。専用アプリをインストールしている場合はアプリからの利用も可能だ。
発送の設定は、はじめに荷物の種類や発払い・着払いの選択、荷物の大きさや品名などを画面の指示に従って入力していく。スマートフォンに特化したデザインのためボタンサイズも大きく押しやすい。テキスト入力も品名以外はほぼ不要で手軽だ。
手書きが不要なほか、「発払い」「着払い」で異なる伝票を用意する必要もないのが、地味に便利だ。
LINE連携で「住所を知らない」相手にも宅急便を送れる
荷物の入力が終わったら届け先の住所を指定する。自宅やヤマトの宅急便センターといった拠点指定、手動入力、クロネコメンバーズのアドレス帳からも指定できる。
また、LINEと連携し、受け取り相手に住所を入力してもらうことで、相手の住所を知らなくても宅急便を送れる。LINE連携での発送の場合、受け取り先はLINEの友だちとしてつながっており、さらに受取先がクロネコメンバーズに登録して住所登録を行なう必要があるので、LINEを使っていれば誰でも送れるというわけではない。
相手先での住所入力が必須のため、住所を知らない相手へ勝手に物を送りつける、または勝手に荷物が届く、という心配は無用だ。
また、発送の際にはオプションで自分の住所を非公開にもできる。通常110円(税込)の有料サービスだが、12月31日までは無料で利用できる。
相手先では、受け取り場所を自宅またはヤマトの営業所から選択可能。相手先が入力を完了すると自分のメールアドレスに通知が届き、発送手続きが可能になるという流れだ。入力が可能な期間は7日間で、期間を過ぎると無効となる。
荷物は近隣の店舗へ持ち込み。セブンやファミマも対応
発送先が確定したら、発送元である依頼主の情報を入力。直接入力するだけでなく、クロネコメンバーズに登録した自宅情報やアドレス帳のデータを使えるので、同じ場所に送る場合にはすぐにアドレスが呼び出せて便利だ。
発送先、発送元の登録が終わると宅急便を送るための持ち込み場所やお届け日時、支払い方法などを設定する。
発送場所はヤマトの営業所に加えて9月9日からは全国のセブン-イレブンやファミリーマートでも利用可能になった。持ち込み場所はスマートフォンの位置情報機能を利用して近くの発送場所を検索できるほか、住所や地名からの指定も可能だ。
なお、サービス上ではコンビニエンスストアの店舗まで指定するUIになっているが、実際には同じ系列であれば店舗の指定は関係ない。自宅最寄りのセブン-イレブンを指定しておき、会社の近くにあるセブン-イレブンで手続きする、ということも可能だ。
支払い方法は「auかんたん決済/au WALLET」「ドコモ払い」「クロネコペイ/クレジットカード払い」のほか、iOSから利用する場合はApple Payも選択できる。9月30日まではApple Pay向けにApp Store & iTunes ギフトカードやTポイントをプレゼントするキャンペーンが実施されているため、iOSユーザーであればApple Payを使うのがいいだろう。今回のテストでもApple Payを利用した。
なお、クール宅急便はコンビニからは送れず、ヤマト運輸直営での受付となる。
店頭でバーコードを使って手続き。対応もスムース
すべての入力が完了すると、店頭での手続きに必要なバーコードなどが表示される。このバーコードはサービスの「荷物情報」からいつでも確認が可能。また、実際に店頭で手続きするまでは当然ながら発送は行なわれない。作成済みの荷物情報も後からキャンセル可能だ。
店舗での手続きは、送りたい荷物とスマートフォンを持っていくだけ。セブン-イレブンの場合、サービスで発行されるQRコードをレジで提示し、発行されたレシートを一緒に渡される専用袋に自分の手作業で入れて荷物に貼り付ける。
一方、ファミリーマートはレジではなく専用端末「Famiポート」で申込書を発券し、荷物に貼り付けることになる。
筆者は最寄りのセブン-イレブンの持ち込みを試してみた。各店舗の慣れにもよると思われるが、筆者の場合スマートフォンの画面を見せつつ「宅急便をお願いします」と声をかけるとスムースに手続きしてくれた。
発送手続きが終わるとステータスはリアルタイムに反映され、その後コンビニエンスストアが発送手続きを終えて決済が処理されたと思われる時間帯に利用明細がメールで送られてきた。これで発送の手続きはすべて完了だ。
「手書き不要」の気軽さと、「住所を知らない」相手に送れる新しさ
「宅急便はスマホで送れる。」のメリットは「伝票を手書きする」という手間を省略できるという点に尽きる。
レビュー用の家電やガジェットなどを返送することの多い筆者にとって、「手書きを省略できる」のはシンプルながらも大きなメリットだ。コンビニエンスストアへの持ち込みは手書きで時間がかかり、他の利用客を待たせてしまうのが、少なからず精神的な負担に感じるし、集荷なら手書きは省略できるが、集荷までの時間を拘束されてしまう。
一方このサービスなら手書きの負担もなく、レジでの対応時間もほとんどかからない。発送先もよく使う住所ならアドレス帳から入力できるし、アドレス帳だけPCから登録するという使い分けも可能だ。
サイトもスマートフォンに特化して作られているので見やすく操作しやすいのも嬉しい。対応店舗も手書きを待つ時間を省略でき、ヤマト運輸としても手書きの住所が読めない、という事態を回避できるだろう。
また、LINEを使って住所を知らない相手にも宅急便を送れるという点はいままでにはないメリットだ。LINEアカウントと相手先のクロネコメンバーズ登録が必要にはなるが、住所のやり取りをせずに荷物を送れるのは嬉しい。宅配便と別のサービスを組み合わせることで、新しい価値が生み出されている。今後もさまざまな展開を期待したい。