ミニレビュー

スマホ決済最後の大物? 「メルペイ」を使う。メルカリの売上金をコンビニで

iPhoneに「iD」としてメルペイを登録

スマホ決済の最後の大物? がついにデビューした。フリマアプリ最大手のメルカリによる、「メルペイ」が2月13日にスタート。iOSのみの先行スタート(Androidは後日)ではあるが、最大の特徴は、メルカリの取引による「売上金」を、メルカリ内ではなく、コンビニやレストラン、ドラッグストア、ファーストフード店などの実店舗で利用できることだろう。店舗数は約90万。

なぜ、スタート当初から90万もの加盟店を獲得できたか、というと、三井住友カードとの事業連携により、NTTドコモの非接触決済サービス「iD」に対応したから。iDは、主要なコンビニやレストラン、ドラッグストアなど多くの店鋪で使えるが、その決済の仕組みを使って、メルペイで支払いできるようになるのだ。

プリペイド型の「iD」。登録はシンプル

「iD」は、クレジットカードと紐付けて、使った分だけ後払いする「ポストペイ」型の電子マネーとして主に使われてきた。

しかし、メルペイでのiDの動作は、事前にチャージして使う「プリペイド型」として機能する。クレジットカードではなく、メルカリの売上金(もしくは銀行からの入金)をポイントに変え、そのポイントを支払いに使うかたちとなる。後述する電子マネーカード登録でも、登録後のカードに[iDプリペイド]のロゴが入る。

メルペイのサイト等には詳細情報はないようだが、iDのサポートページによれば、ポストペイとプリペイドの違いとして、ポストペイは、「全国のiD加盟店でご利用いただけますが、一部店舗(飲料自販機・ガソリンスタンド・その他ホテル等)ではご利用いただけません」と記されている

メルペイの利用は、「メルカリ」アプリから。iOSアプリVer.4.0.0以降では、最下部に[ホーム]、[お知らせ]、[出品]、[マイページ]のボタンのほか、[メルペイ]ボタンが用意された。これを押すとメルペイの画面に入る。

iOSの「メルカリ」アプリの下に[メルペイ]ボタンが用意され、メルペイを開ける

iDの登録はシンプルで、アプリに従って「電子マネーカード」を作成し、Apple Payにカード登録するだけだ。

まずは電子マネーカードを作成
アプリに従うだけで、Apple Payにカード登録される。名称は「MERPAY MEMBER」のようだ
Apple Pay(iPhoneのウォレット)にMERPAYのiDが登録される。iDのロゴは「プリペイド」。mastercardのロゴも入る

iDを登録したら、「ポイント」を購入する。ポイントは、メルカリの「売上金で購入」(1円を1ポイント)、もしくは「銀行口座からチャージ」の2種類の方法で購入できる。

メルペイのトップ画面でポイント購入が可能

今回は売上金からチャージしてみた。上部の[ポイント]から、[ポイント購入]を選択し、購入するポイント数を入力、決定するだけで購入完了となる。これで入金した金額を、お店で使えるようになる。

売上金からポイント購入の流れ

銀行口座を登録すると、メルペイに銀行から入金可能になる。対応の銀行は、三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、埼玉りそな、イオン銀行などで、14日にアプリ内で確認したところ30行。1日のチャージ額上限は20万円で、最低チャージ金額は1,000円。チャージによる手数料は無料。

銀行口座の登録。パスコードやFaceIDなどの設定も行なえる

なお、銀行口座を紐付けたところ、メルペイの売上金の扱いが変わるようだ。これまで「売上金」と「ポイント」と表示されていたものが、「メルペイ残高」と「ポイント」に改められる。銀行口座を登録すると、メルカリの売上(メルペイ残高)をメルペイでの支払いに利用できるになる(都度ポイントを交換する必要がなくなる)ようだ。

銀行口座を登録すると、「売上金」が「メルペイ残高」に変わる

店では「iDで支払い」とお願い。メルカリマネーの解放

お店では、買いたいものを手にとって、店員さんに「支払いはiDで」とお願い。あとは端末にiDが入ったスマホをかざすだけだ。これまでiDを使ったことがある人であれば、使いかたは同じで、支払い元がカードからメルペイに変わるだけだ。お店で「メルペイで」と言っても(たぶん)通じない。

ファミリーマートで購入した
支払いはiDでと伝える

ということで、メルペイのお店での使い方はとてもシンプル。特にiDを利用した事がある人は、戸惑うことはないはずだ。逆に言うと、メルペイならではの「新鮮味」も無いとも言える。

とはいえ、iD対応を「第1弾」と説明しているので、今後iD以外の決済手段の拡充も行なわれるだろう。また、福岡で展開しているメルチャリなど、メルペイと連携した様々なサービス展開も見込まれ、決済手段以外の金融サービス展開も予告されている。メルペイのサービス開始により、これまでメルカリ内でほぼ「閉じていた」マネーが、世の中に出てくることになる。

また、メルカリの売上を銀行口座に振り込む場合、1万円以上でなければ、出金手数料(210円)がかかる。1万円に満たないメルカリ売上の利用方法としても、メルペイは活用できそうだ。

メルペイでは、2月20日に今後の事業構想やサービス拡張計画を発表予定としている。

iD以外に流行りのQRコード決済対応は? Android対応をどう実現するのか? あるいは他社“Pay”サービスのようなポイント還元は? など疑問は残されているが、メルペイならではのユニークな展開を期待したい。

臼田勤哉