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虎ノ門駅直結の29階建て複合施設「トラノゲート」

2027年竣工予定の、東京メトロ銀座線 虎ノ門駅に直結する複合施設の名称が「TORANOGATE(トラノゲート)」に決定した。あわせて外堀通りの南北をつなぐ地下歩行者通路が整備される。

虎ノ門一丁目東地区市街地再開発組合と、中央日本土地建物(中央日土地)、都市再生機構(UR)、住友不動産の参加組合員3者が推進する事業。施設はオフィス、店舗、ビジネス支援施設等で構成される。地下1階で虎ノ門駅に接続するほか、駅前広場を整備する。

ロゴマークおよび外観イメージ

所在地は東京都港区虎ノ門一丁目1000。規模は、敷地面積6,397.27m2、延床面積119,896.26m2、地上29階・地下4階、高さ171.31m。24年1月に着工しており、27年10月31日の竣工を予定している。

位置図
建設現場の様子。後ろにあるビルは右から、東京虎ノ門グローバルスクエア、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー
建設現場の様子

フロア構成は、地下1階~地上2階が物販・飲食店舗、3階がオフィスエントランス・ラウンジ・テラス、2~5階が(仮称)虎ノ門イノベーションセンター、6~28階が各階にバルコニーを備えたオフィス、29階が屋上庭園・ラウンジ。このうち、イノベーションセンターを事業の中核と位置付けている。

施設名称「トラノゲート」のネーミングはPOOLの小西利行氏によるもの。かつて江戸城の門のひとつであり、日本の行政の中枢を司る霞が関に隣接したオフィス街として発展を遂げてきた“虎ノ門”の歴史を継承し、新しい可能性を拓き、未来と世界の「玄関口」を担う存在でありたいという想いを込めている。

小西氏はさらに、施設のコンセプトである「OPEN INNOVATION GATE」と連動させることをベースにしたと説明。名前に「GATE」を入れる、人が集まるためにも「親しみ」を持った名前、近隣のビルに埋没しない「オリジナリティ」、SNSなどで「使われやすい短さ」などをネーミングのポイントに挙げた。

ネーミングについて説明するPOOL 小西利行氏

施設名称とあわせてロゴマークも発表。施設名称そのものである「門(GATE)」を表すように文字をコの字型に配置し、門をくぐった先にある新しい景色や体験を期待させるデザインとしている。また、文字の向きを変えてつなげる構成は、この場所が持っている文化、地域、自然といった様々な要素を結ぶ架け橋の意味も込められている。

ロゴデザインを担当した廣村デザイン事務所 廣村正彰氏は、国際的に通用するシンボルロゴであると同時に、シンプルで記憶に残る構成、虎ノ門という地名を視覚的にも認識できる要素などをポイントに挙げ、「門」が持つ“受け入れる”という概念を視覚化したと説明。さらに、門型のラインの内側を人や乗り物、動物などが行き来するグラフィックとして展開できるデザインとなっている。

ラインの内側を人や乗り物が行き来するグラフィックとして展開可能
外観への配置イメージ
地下の車寄せへの配置イメージ
廣村デザイン事務所 廣村正彰氏

屋上庭園は奥多摩、バルコニーは玉川上水のイメージ

発表会では、建築家の小堀哲夫氏、ランドスケープデザイン担当のランドスケープ・プラス 平賀達也氏による、建築デザイン等の説明もあった。

小堀氏は、ビルは内部と外部が壁やセキュリティで閉じられていることが多いが、トラノゲートの、特に低層部は外部から内部、内部から外部へ繋がっていく空間が特徴になっているとし、「光や風、自然があふれる居場所が低層部にあふれているようなイメージ」と説明した。例えば3階に設置された広場空間が、都市に表出しているようなデザインとなっている。また地下の駅前広場から大階段を上がると、地上の広場につながる。

建築家 小堀哲夫氏

平賀氏は虎ノ門の歴史について、「中原街道という地域経済を担った道があり、また羽村(東京都羽村市)から四谷大木戸までの間に築かれた玉川上水の終着点であった」と説明。トラノゲートの高さは、玉川上水が取水されている羽村の標高に近いという。

ランドスケープ・プラス 平賀達也氏

そこで、屋上庭園は奥多摩の環境、小川が流れる基準階バルコニーは玉川上水の環境を見立てて設計されている。また低層部は、皇居や愛宕山など周辺の自然環境を見立てた空間とした。

霞が関至近を活かした官民連携を目指す

イノベーションセンターについては、中央日土地の川島興介氏が説明。霞が関至近という立地であることから国・地方自治体等の「官」と、市民・NPO/NGO・事業者・教育/研究機関等の「民」の連携による「共想・共創・共奏」の場を創出し、社会的インパクトにつながる取り組みの創出・活性化、「和をなす社会」の実現を目指す。

中央日土地 事業統括部イノベーション開発室 川島興介氏

トラノゲートでは、各種データを活用した設備の自動制御やロボットによるビル管理業務の実行といったスマートビルの取り組みを検討。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が提供する次世代型統合ネットワーク「Passive Optical LAN(POL)」を国内のオフィスビルとして初めて導入する。運用性・拡張性のあるビル館内のネットワークシステムを構築し、インフラの長期運用や技術アップデートに備えたスマートビルを実現するとしている。

NTT Comの福田亜希子氏は、ビルOSやサービスの追加・カスタマイズ、データ活用などにより、スマートフォンのOSアップデートやアプリ追加と同じように、建物も竣工後に進化していくと説明。トラノゲート開発においては、「企画構想段階からスマートビル化支援に参画しており、より建物に最適化されたデジタル実装を実現する」と話した。

NTT Com 執行役員 ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部長 福田亜希子氏

あわせて整備される地下歩行者通路は、銀座線をくぐる形で設置。既存の虎ノ門ヒルズ駅から虎ノ門駅に至る地下通路を、霞が関方面まで延伸することとなる。