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ニセコでスターリングエンジンによる「雪発電」

東急不動産、東急不動産R&Dセンター、電気通信大学の3者は、ニセコにおける環境取組みの一環としてスターリングエンジンによる雪発電の実証実験を実施した。実施期間は1月9日~2月19日。

雪発電は、高温熱源と低温熱源の温度差から発電するスターリングエンジンを使った温度差発電を利用するもの。高温熱源には太陽熱、バイオマス熱など化石燃料に依存しない燃料から得られた熱エネルギーを、低温熱源には雪で冷却された不凍液を熱媒体として利用する。

不凍液は高温熱源からの熱エネルギーで90℃ほどに加熱され、その熱を道路・屋根などに積もった雪と熱交換で放出し、雪を溶かすと同時に雪によって冷却される。このサイクルを繰り返すことで、発電と広範囲の融雪を両立する。これにより、日照時間が短く太陽光など再生可能エネルギーの取組みが難しい豪雪地帯において、これまで資源とは見なされなかった雪を活用した高効率な発電が可能にする。

倶知安町との包括連携協定における「サスティナブルリゾート形成」に向けた取組みの一環として、昨年度に引き続き倶知安町内で実施されたもの。昨年度は1kWであったエンジンの発電能力を7kWに拡大し、1日に最大で168kWhの電力を発電できる。冬季の一般家庭の使用電力が1日あたり平均14.2kWhであることから、約12軒分の電力量を供給できることになる。

今回の実証実験では新たな取り組みとして、発電施設を設置する建屋の屋根に積もった雪を融雪し、その融雪水を集水するシステムを考案。人力での雪下ろしを低減するだけでなく、融雪水を集水・ろ過して活用することで、水不足などの地域課題解決や、散水融雪への活用についても検証していく。