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AIを活用している職業はかなり偏っている Anthropic経済指数
2025年2月14日 10:25
AIモデルの「Claude」を展開するAnthropicは12日、Anthropic Economic Index(Anthropic経済指数)を発表した。AIサービスの「Claude.ai」上の匿名化された何百万もの会話に基づき、現在のAI利用がどのように行なわれているかを検証したもの。同指数によれば、現在のAI利用はソフトウェア開発とテクニカルライティングの業務に集中しており、AIが使われる職業に偏りがあるほか、使う職業と使わない職業の賃金差も大きい。同社では「現在のAIの能力の限界と、テクノロジーを使用する際の実用的なバリアの両方を反映している」と分析している。
Anthropic Economic Indexは、Claude.ai上のAI活用について会話のデータセットを使用し、Clioという自動分析ツールなどを用いて、職業別やタスク別などで会話を整理し、使われ方を分析している。
その結果、AIの採用が圧倒的に多かった業務と職種は、「コンピュータと数学」カテゴリーで、多くはソフトウェアエンジニアリングに関するものとなった。Claudeに送信されたクエリの37.2%が同カテゴリーで、ソフトウェアの修正、コードのデバッグ、ネットワークのトラブルシューティングなどの業務をカバーしている。
次に多かったカテゴリーは「芸術、デザイン、スポーツ、エンターテイメント、メディア」でクエリの10.3%。文章の執筆や編集にClaudeを使用している人々を反映している。続いて「教育」(9.3%)、「事務管理」(7.6%)などの領域で使われている。一方、「農業、漁業、林業」はクエリの0.1%であり、肉体労働を伴う職業でのAI利用は非常に少ない。
AIの活用と給与の関係性では、「給与の低い仕事」と「給与の非常に高い仕事」では、AIの使用率が非常に低いという。これらはシャンプー係や産科医など、高度な手先の器用さを必要とする仕事としている。AIを多く使用しているのは、給与の中央値が中程度から高めの範囲にあるコンピュータープログラマーやコピーライターなど。
また、AIによる作業が、AIが直接タスクを実行する「自動化(automation)」か、ユーザー協力してタスクを実行する「拡張(augmentation)」のどちらであるかも調査した。その結果は、タスクの57%が拡張で、43%が自動化となっており、「やや拡張に傾いた結果」となった。半数以上のケースでは、AIはタスクを実行する人間を置き換えるためではなく、人間と協力して、ユーザーの作業のダブルチェックなどの検証や、ユーザーのスキルの手助けなどの学習、タスクの反復などに使われているという。
Anthropicでは、この調査を継続的に実施。Anthropic Economic Indexの一部として、定期的に結果と関連データセットを公表していくことで、AIと労働市場に関する変化を見ていく方針。例えば、自動化と拡張の比率を注視していくことで、自動化がより普及している分野の兆候を得られるとする。