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「トヨタアリーナ東京」今秋開業 “選手に近いスイート席”を体感した

工事が進められているトヨタアリーナ東京

トヨタアルバルク東京は、今秋開業する「TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)」の建設現場見学会を実施した。

トヨタアリーナ東京は、B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「アルバルク東京」がホームアリーナとして使用する施設。2026-27シーズンからは「サンロッカーズ渋谷」がホームアリーナとして共同使用する。

所在地は東京都江東区青海1丁目、アクセスは新交通ゆりかもめ 青海駅から徒歩4分、りんかい線 東京テレポート駅から徒歩6分。お台場「パレットタウン」跡地の東側で、かつてトヨタの体験テーマパーク「メガウェブ」があった。

東京テレポート駅設置の駅周辺案内図。まだ施設名の表示はないが「G-2」の位置にて開業する
東京テレポート駅側から見たトヨタアリーナ東京(写真左)
パレットタウンがあったころの同地の写真(21年12月撮影)
建設地にあったメガウェブ(21年12月撮影)

敷地面積は約27,000m2、延床面積は約37,000m2。収容人数はスポーツ(バスケットボール)で約10,000人、コンサート(エンドステージ)で約8,000人。そのほかMICEにも対応する。施設構成はメインアリーナ、サブアリーナ、ジョイントパーク、スポーツパーク、アルバルク東京オフィス、アルバルク東京練習場。

アリーナ外観 パース ©TOYOTA ARENA TOKYO
施設構成

観客席の設置形状は楕円(オーバル)型を採用。どの席からもコートを見やすいことが特徴で、NBAではほとんどがこの形を採用しているという。メインアリーナで使用されるのは、1階のアリーナ面から5階のスカイラウンジ・飲食売店までの5フロア。メインゲートはスタンド3階西側に設置される。

メインアリーナの中央には、見やすさと演出に拘ったという3層構造のセンターハングビジョンを設置。また、上層と下層の2本のリボンビジョンを備える。2層のリボンビジョンは国内初。これらにより、エンタメ性を高めることを狙いとしている。

メインゲートがある西側から見たメインアリーナ
中央部分にセンターハングビジョンが設置される
天井のすぐ下にある黒い帯が上層リボンビジョン、その下(黄色い柱の上)の黒い帯が下層リボンビジョン

観客席には、新しい観戦体験を提供するホスピタリティエリアを設置。テラススイート(個室・6室)、スイート(個室・16室)、プレーヤーズラウンジ(60名)、プレミアムラウンジ(152名)、クラブラウンジ(276名)、パーティーラウンジ(25~40名)を用意する。

スイート パース ©TOYOTA ARENA TOKYO
プレーヤーズラウンジ パース ©TOYOTA ARENA TOKYO
プレミアムラウンジ パース ©TOYOTA ARENA TOKYO
クラブラウンジ パース ©TOYOTA ARENA TOKYO
パーティーラウンジ パース ©TOYOTA ARENA TOKYO

見学会で入ることができたのはテラススイートのエリア。一般的にスイートは高い位置に設置されるケースが多いが、トヨタアリーナ東京ではコートまでの近さを重視し、テラススイートを2階、スイートを3階に設置している。

黄色い柱がある部分が3階のスイート。その下にテラススイートが設置される

テラススイートからコートまでの距離は約18m。見学会ではアルバルク東京の選手が登場し、その“近さ”を体感することができた。また、6室すべて異なるコンセプト・内装デザインとする。コンセプトの例として「BOTANICAL」がある。

テラススイートの特徴
テラススイートの一例の「BOTANICAL」
工事中のテラススイートエリア
選手がコートの端のラインまで来たところを、約50mm相当の画角で撮影
テラススイートから超広角で撮影

メインアリーナ以外の設備については、スポーツパークには屋外のバスケットゴールを設置し、フリースロー大会などのイベントを実施できるようにするほか、イベントがない時には地域の人に開放する。

メインゲートがある3階とスポーツパークを繋ぐ階段

ジョイントパークはお台場のビル群が見える景色の良いロケーションとなっており、公園として楽しめるほか、キッチンカーやミニステージを設置できることからイベントにも対応する。

施設概要を説明するトヨタアルバルク東京 アリーナプランニング部 部長 林洋輔氏

アルバルク東京のホームアリーナへの強い想い

アルバルク東京はこれまで、国立代々木競技場の体育館などでホームゲームを開催してきたが、なぜ今、ホームアリーナを持つ必要があるのか。その理由について、トヨタアルバルク東京 代表取締役社長 林邦彦氏が説明した。

トヨタアルバルク東京 代表取締役社長 林邦彦氏

2016年にB.LEAGUEが開幕して以降、代々木競技場のほか、有明コロシアムや駒沢オリンピック公園などを使用してきたが、試合会場の確保に苦しんだこともあり、安定的に東京で興行を行なうためにはホームアリーナが必須であると実感したという。

さらに、2026-27シーズンからB.LEAGUEが新たなリーグ構造となり、B.LEAGUE PREMIER、B.LEAGUE ONE、B.LEAGUE NEXTの編成となる。そしてB.LEAGUE PREMIERに参入するには、売上高、平均入場者数に加えて、収容人数5,000人以上等の基準を満たすアリーナがあることが条件となる。

この変革により日本各地で新アリーナの建設が進められており、これに対応していくことが大切であるという想いから、ホームアリーナ建設に至った。

また、株主であるトヨタ自動車が保有するメガウェブの跡地であることから、資産活用の面での意義もあり、スポーツを含めて新たな情報発信拠点としていくことを目指す。

プロジェクトのコンセプトは「可能性にかけていこう」。林邦彦氏は「箱を運営するということではなく、トヨタアリーナ東京を拠点に、スポーツ、モビリティ、サステナビリティの3つの領域において可能性を掘り起こし、可能性が解き放たれるアリーナとなることが、アリーナの価値としての皆様からの評価に繋がる」と説明した。

国内のアリーナではクラブとは別法人のアリーナ運営会社により運営されることも多いが、トヨタアリーナ東京ではアルバルク東京のクラブ運営を行なうトヨタアルバルク東京がアリーナも運営する、一体経営型の形式となる。

クラブとアリーナの運営が別法人の場合、運用面で制約が発生することもある。トヨタアルバルク東京としてはメインディッシュである試合の価値を高めることを重視し、空間や観戦の快適さ、エンターテインメント性といった要素において自由度を増していくために、一体経営型にすることが重要と考えている。

見学会では設計と施行を担う鹿島建設の工事事務所 副所長 辻岡展宏氏が、工事に関する説明を行なった。

鹿島建設 工事事務所 副所長 辻岡展宏氏

23年7月の着工から25年7月の竣工予定まで約2年間と、短い工期で進められたという。現在の進捗率は75%。

観客席に関しては、来場者が直接触れるものであるということから入念な実物確認過程等を経て選定されたことを説明した。今後は内装工事のほか、屋根・外構工事などが進められる。

フォトセッションにはアルバルク東京の3選手も参加した
東京テレポート駅にはトヨタアリーナ東京開業の広告が掲示されていた

パレットタウン跡地ではトヨタアリーナ東京のほか、イマーシブ・フォート東京とシティサーキット東京ベイがすでに開業している。これら2施設は同エリアの賑わいを維持・継続することを目的に、森ビルが遊休施設の利活用として、刀社グループおよびトムスに賃貸し暫定的に営業している。

シティサーキット東京ベイ(手前)とトヨタアリーナ東京