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PayPay、お賽銭に対応 現金無しで初詣

PayPayお賽銭を導入した浄土宗大本山 増上寺

PayPayは、12月から神社や寺院などの「お賽銭」として、PayPayを利用可能とした。PayPayユーザーは、現金を用意することなく、PayPayで指定した金額をお賽銭できるようになる。

12月から愛知県名古屋市の東別院で導入し、12月23日には東京の浄土宗大本山 増上寺に導入、24日には神奈川県川崎市の稲毛神社に導入。また、12月中に京都市の熊野若王子神社、大阪市の総本山 四天王寺、京都市の大本山 本能寺、東京都目黒区の天恩山 五百羅漢寺に導入する。

これまでは、PayPayでは寄付や賽銭は利用禁止としていたが、2024年8月から寄付団体や寄付サービスを運営する企業がPayPayの法人向けビジネスアカウントを作り、寄付を募れるようにしていた。この枠組みを拡大し、神社や寺院で利用可能とする。

新年の初詣や節分、受験時期など、参拝者が増加する時期に合わせて、PayPayでの賽銭対応により、参拝者の利便性向上と混雑緩和を図る。

QRコードで「お賽銭」。増上寺の大殿(本堂)の賽銭箱や柱に設置

「お賽銭」は、宗教法人への非営利の支払いとなることから、通常のPayPayの「決済」ではなく、「送金」の仕組みを使う。また、利用には条件があり、本人確認(eKYC)が必須となるほか、賽銭は「PayPayマネー」に限定される。

「PayPayポイント」や、PayPayカードからチャージした「PayPayマネーライト」は賽銭に対象外で、賽銭を行なうためにはPayPay残高に、銀行もしくはATMからチャージした「PayPayマネー」が必要となる。普段クレジットなどで使っている場合は、戸惑う可能性も高いので注意したい。

金額は1回1円から30万円まで(送金と同様)可能となり、1日の上限は30万円。30日間の上限は100万円。PayPayでのお賽銭は、PayPayのQRコードをスキャンすると専用のUIが立ち上がる仕組み。金額を入力し、[お気持ちを送る]を選ぶと、支払い(お賽銭)が完了する。賽銭が完了すると、「ペイペイ!」の音も鳴る。

なお、送金の仕組みを使うため、PayPayステップやポイントの対象外となる。送金のため、PayPayへの決済手数料は発生しないが、法人向けのPayPayビジネスアカウントの手数料は寺院側が負担する仕組みとなる。

PayPay導入は参拝客ニーズ

浄土宗大本山 増上寺の参拝部部長 武智公英氏によれば、増上寺の参拝客は増えており、インバウンドの外国人観光客のほか、若い世代も増えている。一方、現金や小銭を殆ど持っていないという人も多く、「お賽銭」を「したくてもできない」、「しづらい」という声もあったという。

浄土宗大本山 増上寺 武智公英 参拝部部長

同様に、物販においては、クレジットカードや交通系ICカードを入れているが、PayPayなどのコード決済についても聞かれることが多いという。そのため多様化する参拝客のニーズに対応すべく、PayPayを導入し、利用動向などを検証していく。現時点ではどれくらいPayPayが使われているかなどの試算は特にしていないとのこと。

本殿以外にもQRコードを設置

「お賽銭」については、「現金でやるからこそでは」とか「欲を手放す」という趣旨などについて、増上寺内でも意見はあったという。ただし、「賽銭したい気持ちに違いはない」としてPayPayの導入を決めた。また、賽銭すると境内で「ペイペイ!」と音がなってしまうが、武智氏は「『ナムナム』とかにしてほしいですね(笑)」と語りながらも、「商店などですでに一般的なものになっているので受け入れられるのではないか」とした。

また、QRコードさえ読み取れれば、お賽銭できることから、混雑時には賽銭箱まで行かず、境内の一定の場所にQRコードを貼付し、賽銭できることもメリット。一定の混雑緩和も期待できるとする。

増上寺では、物販はカードと交通系ICカードのみだが、今後PayPay対応も検討していく。なお、物販では通常の決済となるが、お賽銭などの非営利行為については寄付の仕組みを使うなど、同じお寺でも用途にあわせた対応が必要になる点が課題だという。