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メルカリ、暗号資産を“持つだけ”で年3%ポイント付与

メルカリ子会社のメルコインは、12月18日から「メルカリ」内でイーサリアムを保有しているだけで、毎月メルカリポイントがもらえる新機能を提供開始する。あわせて、メルコインは、イーサリアムのステーキングを12月18日より開始する。

メルカリの暗号資産サービスでは2023年3月にビットコインから開始し、'24年5月にイーサリアムの取引に対応。メルカリの売上金やポイントでの暗号資産購入や、ビットコインを使ったメルカリの商品購入が可能で、12月17日には暗号資産口座数が300万人を超えた。特に暗号資産取引の“初心者”が多い点が特徴となっている。

今回、イーサリアムをメルカリで“保有”しているだけで、毎月メルカリのポイントがもらえるサービスを開始。保有しているだけでポイントを貰える、という体験を通じて、利用者とイーサリアム保有の拡大を狙う。

想定年率は3.0%で、初回付与は2025年1月となる。年率は、前月1カ月間の保有暗号資産の平均時価評価額と、メルカリが決定する年率をベースに算出され、「メルカリポイント」として毎月受け取れる。

例えば、イーサリアムを1万円保有していると翌月25ポイント、12万円保有で305ポイントもらえることとなる。銀行預金(0.126%)より高いだけでなく、価格変動の大きな暗号資産でも定期的なポイント収益が得られる点が特徴となる。また特別な申込みも不要で、メルカリでイーサリアムを保有していることが、ポイント付与の条件となる。

ポイントは、1ポイント=1円でメルカリやメルペイ、メルカードでの精算・充当等で利用可能。有効期限は180日間。また、暗号資産の購入への使用(1円分から取引可能)も可能となっている。

わかりやすさを重要した「持つだけでポイント」

「イーサリアムを保有しているだけ」でポイントが貰えるサービスだが、メルカリではビットコインも保有できる。ただし、ビットコインでは「ステーキング」の仕組みがないため、当面イーサリアムのみでポイント付与を提供する。

ステーキングとは、ブロックチェーンの安定稼働に貢献できる仕組みを持つ暗号資産を保有することで、その対価として報酬を受け取れる仕組み。メルカリユーザーがイーサリアムを多く持ち、メルコインがステーキングを行なうことでメルコインが報酬を得られることになる。こうした収入を間接的な原資としてポイント付与を行なうが、ユーザーに付与するポイントの年率は、ステーキングで獲得する報酬とは独立して算出しているという。

他の暗号資産取引所では、ステーキングでより高い利率を出しているところもあるが、「わかりやすさ」を重視して、ポイント付与を選択したという。メルカリの暗号資産サービスは、多くの利用者が初めて暗号資産を扱う人で、「イーサリアムだけでも難しいと言われる。そこでステーキング等を説明しても伝わりにくい。ステーキングをベースにしながら、ポイント還元プログラムを作ることで、『持つだけでポイントが貰える』というわかりやすさを重視した」(メルコイン 中村 奎太CEO)という。「還元の実感を得られる」ためには、ポイント付与というわかりやすい仕組みが必要と説明する。

メルコイン 中村 奎太CEO

また、保有している仮想通貨を取引所などに預けて利益を得る「レンディング」については、「ビットコインも含めて検討課題」としているが、同様にサービスの説明が難しく、UX上の課題もある、とし、当面はステーキングをベースにしていく考えだ。

今回の取り組みにより、メルカリにおけるイーサリアムの利用を拡大。現時点ではメルカリ内のサービスとなっているが、イーサリアムはWeb 3サービス等での活用が多く、将来的には外部接続の際にはイーサリアムを持っていることが価値に繋がるという。

なお、年率3.0%というポイント付与については、「メルカリの経済圏の中で決めていくが、状況をみながら引き上げ余地もあると考えている」とした。