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若手社員で開発 カシオのサウナ用「サ時計」はなぜ生まれたか
2024年12月10日 10:30
カシオ計算機は、耐熱仕様のサウナ用ウォッチ「サ時計」を開発し、「Makuake」のプロジェクトで公開した。すでに予定生産数の2,300本は完売しプロジェクトは完了、2025年6月に発送される予定になっている。
この「サ時計」について9日、開発者が製品を紹介するメディア向けの体験会が実施されたほか、12月から全国12カ所のサウナ施設にて「サ時計体験会」を開催することも明らかにされた。
「サ時計」は、視認性に優れた時刻表示と、サウナでの利用を想定した「12分計」をワンプッシュで切り替えられる、シンプルな機能の腕時計。サウナ愛好家が増える中、適度な時間を計ることが大切という認識が広がっており、サウナの熱に耐えられる腕時計として開発された。
機能面でのポイントは「100℃以下のサウナで、腕に着用して15分耐えられる」という仕様を実現したこと。市販されていない耐熱仕様の電池を搭載するほか、ケースの樹脂はカシオとして初採用という高温に耐える低透湿樹脂で、高温環境から低温環境に移動するサウナでの利用を考慮した。
「MODE」ボタンを押すたびに時刻モードとサウナモードを切り替えることができ、時分針には蓄光塗料が塗布され暗いサウナでも見やすい仕様になっている。時刻モードは2針で表示し、秒針は備えてない。
サウナモードでは長針が12分計の「分」を示し、12分で1周する。サウナモードでの短針は秒を示し、60秒で1周。サウナモード中でも「MODE」ボタンを押すと現在時刻を確認でき、再び「MODE」を押すことで計測中のサウナモードに戻る。サウナモード中に右上のリセットボタンを押すと経過時間がリセットされる。
カシオは、「サ時計」の開発で協力を仰いだ「サウナイキタイ」とともに、サウナ施設にて「サ時計」の体験会「サウナの時間」を開催する。期間は12月12日~2025年1月30日で、北海道から熊本まで12施設で開催する予定。
カシオ若手社員4人による新規プロジェクト
「サ時計」は、カシオ計算機の入社5年目で同期という若手の社員4人「Teamサ」が中心になって開発された。プロジェクトリーダーの山田真司氏によれば、「サ時計」はサウナの利用が広がっている20代などの若者がターゲット。山田氏自身もサウナをよく利用する中で、サウナの時間の計測に困っているケースがあることを実感し、カシオとして何かできるのではないかと考えたのがきっかけという。
2021年にプロジェクトが始動すると、業務時間の10%を新規事業の業務に割り当てられるカシオ社内の仕組み「IBP」(Idea Booster Program)を活用。当初は時間が限られていたため、電池やケース素材の検証などにも時間がかかった、現在チームは「サ時計」にほぼ集中している形とのことだった。
開発初期は、12分計ではなく複数の機能を検討したものの、サウナは雑念を払い「ととのう」といった目的で利用されることが多いため、搭載した機能に気をとられるのは逆効果ととらえ、最終的には機能を厳選し、サウナの時間経過を知る「自分だけの12分計」に絞り込んだ。
今回の「サ時計」は予定生産数(2,300本)がすべて完売。「もう少し生産数があればよかった」(山田氏)と、事前の想定より人気が高かったとしており、第2弾以降も「前向きに検討していきたい」(同)としている。