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デジタル庁、地方の「アナログ規制」見直しを支援
2024年12月3日 10:01
デジタル庁は、地方公共団体のアナログ規制見直しへの支援を強化する。
アナログ規制とは、アナログ的な手法(人の目による確認、現地・対面での講習への参加、公的証明書等の書面での掲示など)を前提としているルール(規制)のこと。アナログ的な手法が必要な場合もあるが、デジタル化が進む中で、アナログ的手法を前提としたルールが、効率的な仕事環境やデジタル化を阻む要因になっていることから、見直しを進めている。
2021年11月のデジタル庁の発足以来、各官公庁におけるアナログ規制について、重点的に見直しを進めており、「国」においては、2024年9月時点で、約96%にあたる7,835条項の見直しが完了した。目視による検査・調査や、講習の対面実施、証明書の紙発行やフロッピーディスクの使用などの規制が見直され、3年間でアナログ規制を撤廃するという目標に対し、2年間で「ほぼ達成」としていた。
これにより、デジタル実装を通じた利便性向上や、人手不足の解消・経済成長などにつなげていく狙いだ。
ただし、国における進捗に対し、地方公共団体においてはアナログ規制がまだ多く残っている。こうしたアナログ規制は、国が4割に対して、地方公共団体が約6割(58.4%)と多いが、'24年4月時点で見直し実施されたものが11%、実施予定が11%で、検討中が37%、未定が41%と、多くのアナログ規制が見直し着手できていない状況だ。
東京都など大きな自治体は積極的に見直されているものの、人手の足りない地方自治体のアナログ規制の見直しは引き続きの課題となっている。
そのためデジタル庁が地方自治体と協力し、アナログ規制を見直す取り組みを進める。具体的には、デジタル庁が地方自治体に職員を派遣し、個別に支援を行なう。デジタル庁の支援チームは18名体制で、多くは地方公共団体勤務の経験があるという。
これまでも地方公共団体向けマニュアルの整備や、情報発信などで支援していたが、今後は意欲的に取り組む団体に対し、個別対応を強化していく。デジタル庁職員が実際に自治体を訪問して対応するほか、個別説明会や勉強会なども実施する。
また、令和6年度補正予算では「洗い出し」の外部委託支援(1億円)も決定。手間と時間がかかるアナログ規制の洗い出しについて、金銭的な支援も行なっていく。
地方公共団体によるアナログ規制見直しの事例としては、例えば福岡市において臨時で駐輪場を閉鎖する場合、「駐輪場の見やすい箇所に書面でその旨を掲示する」と定めていた。そのため、職員が現場に張り紙に行く必要があったほか、住民も「現場に行かなければわからない」という課題があった。条例の見直しにより、住民がネット経由で休業を把握できるようになった。
このように自治体・団体の業務負荷削減に繋がるよう、アナログ規制の把握・見直しを進めていく。