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コロナ禍で話題になった「シャープのマスク」抽選販売を終了

シャープ製マスク普通サイズ

コロナ禍で大きな話題を呼んだシャープ製マスクの抽選販売が終了し、2024年11月15日17時以降、誰でも自由に購入できる常時販売の仕組みへと変更された。シャープでは、「いつでも購入したいというお客様の要望に対応し、必要な時にいつでも通常購入できるように、マスク販売再開に合わせて見直した」とコメントしている。

シャープは、マスクの抽選販売の終了を発表した
通常販売となった50枚入りパッケージ。写真は小さめサイズ

シャープでは、2024年7月22日に、同社公式オンラインストア「COCORO STORE」への不正アクセスによる改ざん事象を検知し、サービスを停止。マスクの抽選販売も7月17日を最後に停止していた。11月13日には同サイトでの販売を再開しており、今回のマスクの常時販売もそれにあわせて実施したものになる。

11月13日のサイト再開の告知

マスクの抽選販売の対象としていたのは、50枚入りマスクや、これに関連するセット商品で、COCORO STOREで応募手続きを行なうと、毎週水曜日に行なう抽選の対象となり、当選者にはメールで告知。その後、COCORO STOREの会員に登録し、月曜日午後5時までに購入手続きを行う仕組みを採用。一度応募すると、自動的に次回以降も抽選対象となっていた。

なお、立体形状のクリスタルマスクや、毎月届く定期便は、いつでも購入できるようにしていた。

シャープ製マスクは、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、マスクの供給不足が社会的問題となっていたなかで生産、販売を開始して注目を集めた。

2020年3月24日から、日本政府からの要請を受けて、液晶パネルを生産する同社三重工場(多気)のクリーンルームを使用して、マスクの生産を開始。3月31日からは、先行する形で日本政府向けに出荷を開始した。

マスクを生産しているシャープ三重工

その後、生産体制が整ったのにあわせて、4月21日午前10時から、一般販売を開始しようとしたところ、先着順にしたことや、申し込み時にCOCORO STOREへの会員登録手続きを必要としていたことから、販売サイトや登録サイトにアクセスが集中。購入できない状態となったほか、同じデータセンターを活用してサービスを提供していた同社AIoT家電の一部製品でクラウドサービスが利用できなくなるといった状況に陥った。

同社では、販売を一時的に停止し、体制面や技術面での見直しに加えて、販売方法の見直しも実施。4月27日から、抽選方式で販売を開始することにした。

最初の当選分として50枚入りマスクを4万箱用意。1回目の応募者数は470万6385人となり、当選倍率は118倍という驚くべき数字となった。その後、増産体制を整えて、旺盛な需要に対応したものの、その後も応募件数が増加し、当選倍率が99倍と、ようやく100倍を切った2020年7月8日時点では、851万5,239人が応募していた。同社によると、累積応募件数は、約960万件に達しているという。

また、これまでに約200回の抽選が行なわれ、シャープ製マスクの累計販売枚数は、抽選販売分と、定期便などの常時販売分を含めて、約4億5,000万枚に達しているという。

2020年4月にはアクセスが集中し、販売を中止する事態となった

コロナ禍で大きな話題となったシャープ製マスクが、常時販売へと移行したことは、いまさらではあるが、コロナ禍の終焉を示す象徴的な出来事のひとつともいえる。

50枚入りパッケージの購入ページ。いつでも購入が可能だ