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ドコモ、増収減益の中間決算 新料金プランで顧客基盤強化 金融拡大へ

NTTドコモは5日、2024年度第2四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比1.6%増の2兆9,938億円と増収となったが、営業利益は4.7%減の5,533億円で増収減益となった。通信ARPU(一人あたり月間収入)は'24年度第1四半期と同様の3,910円で下げ止まりとなった。

営業収益の増加は、金融・決済やマーケティングソリューションが好調なスマートライフ事業が牽引。営業利益は前年同期比691億円増の5,901億円。内訳は金融・決済が341億円、マーケティングソリューションが323億円、エンタメ領域が31億円とそれぞれ増加。

金融・決済分野において、「dカード」の会員数は1,809万件に達し、このうち「dカード GOLD」が10月末時点で1,100万件を突破、全体の約6割を占める。また、金融・決済の取扱高は7兆1,400億円に達した。さらに「dカード PLATINUM」(年会費29,700円)を11月25日より提供開始する。特典として、ドコモ利用料金の最大20%ポイント還元などを強化。「事業を加速させるため、新たなラインナップとしてdカード PLATINUMを提供する」(NTTドコモ前田義晃社長)とし、年間で対前年20%超の増収を目指す。

コンシューマー通信事業のうち、モバイル通信サービスは354億円減。営業利益では、前年同期比で208億円減少の1兆6,495億円。

料金プランでは、旧プラン(ギガホ、ギガホライトなど)から新料金プラン「eximo」への移行が進み、移行率は前倒しで60%を達成。「eximo」への移行を促進した結果、低価格プラン「irumo」による値下げの影響が低減したことで、通信ARPUが3,910円となり、下げ止まりに寄与した。

顧客基盤強化に向けた取り組みにより、10月のMNPは想定を上回るプラスに。特に若年層によるMNPが好調であった。顧客基盤強化の具体的な取り組みとして、量販店における販売人員施策店舗の拡大、複合商業施設の出張イベントなどがあり、下期も強化する方針。「顧客基盤強化による取り組みは確かな手応えを感じている。下期に向けても、このモメンタムを維持し、取り組みをさらに強化、拡大する」(NTTドコモ前田義晃社長)。

また、解約率も0.6%と前期の0.7%に続き、低水準を維持している。

ネットワーク面では、引き続き5GのSub6エリアを全国的に拡大している。山手線や大阪環状線などの主要鉄道動線でもSub6の基地局数を20%増加させ、4月から9月にかけて、平均スループットが渋谷駅で10%、大阪駅で20%、名古屋駅で40%向上。

東名阪や福岡などの主要都市中心部でも4月から9月にかけてSub6の基地局数を30%増加させ、年度末までに90%の拡大を予定している。

さらに、1都3県を中心にSub6基地局数を10%増加させ、年度末までに30%の拡大を計画している。4G周波数を利用した5G基地局数についても、1都3県を中心に年度末までに40%増加させる方針。

給与デジタル払いについて、NTTドコモ前田社長は「準備を進めている。まずはNTTグループで始めたいが、規模が大きいため、準備する部分が多い。なるべく早いタイミングでやりたい」と述べた。あわせて、銀行事業への参入については「今年度中に目処をつけたいと申し上げたが、まだ報告できるレベルではない。焦っているが、頑張って進めたい」と語った。

また、決算会見では新たなブランドスローガンを発表。「つなごう。驚きを。幸せを。」とし、「テクノロジーと人間力で新しいつながりを生み、心躍る価値創造で、世界を豊かに、幸せに。」というグループビジョンを掲げた。