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AI翻訳「ポケトーク」5年ぶり新モデル 双方向で自動翻訳
2024年10月15日 17:11
ポケトークは、約5年ぶりとなるAI翻訳機の新モデル「ポケトークS2」を10月17日に発売する。小型のポケトークS2が36,300円、大画面のポケトークS2 Plusが39,930円。
モバイル通信機能を内蔵し、Wi-Fiがない場所でも使えるAI翻訳機。74言語を音声・テキストに翻訳し、11言語をテキストのみに翻訳できる。月額料金は不要で、2年間追加料金なしで利用可能。
新モデルのS2では、ドイツ1NCE(ワンス)社のSIMカードを採用。通信可能な国と地域が拡大し、世界170以上の国と地域で利用できる(ポケトーク Sが141の国と地域、ポケトーク Wが139の国と地域)。
ポケトークの翻訳履歴や利用データなどを確認できる「ポケトーク アナリティクス」との連携も強化した。これによりセキュリティ面がさらに強化され、会話の履歴などの重要な情報が保護される。セキュリティはグローバル基準に準拠しており、個人での利用のほか、企業や団体、自治体での導入においても、安心して使えるとする。
このほか、バッテリーの持続可能時間拡大、双方向自動翻訳機能などを新たに搭載。双方向自動翻訳は、あらかじめ選んだ2つの言語のうち、どちらで話したかを自動判別し、翻訳方向を気にせずスムーズな会話を実現する。
端末を一括管理できるビジネスモデル
企業や店舗での利用が多いことから、ビジネスモデルを用意。SIM通信期間3年で、ポケトーク アナリティクスの利用も可能なプランとなる。ビジネスモデルの料金は、ポケトークS2が66,000円、ポケトークS2 Plusが72,600円。
ポケトーク アナリティクスでは、複数のポケトーク端末を総合的に管理、分析可能。端末の利用データを一目で把握でき、よく使われている翻訳元の言語、翻訳先の言語を月別で表示可能なほか、利用者は実際の会話履歴をあとから確認し、ポケトークがどのように使われているか把握できる。
こうしたデータをもとに、例えば訪日外国人が多い店舗では観光客がなにを求めているかを把握でき、満足度向上、インバウンド事業の売上アップにつなげられるとする。
「実際の事例として、ベトナムからの観光客からは免税に対する質問が多いということがわかりました。こうしたデータから、ベトナム語で免税商品のオペレーションをあらかじめ用意しておくといった対応をするということがあったと聞いています」(ポケトーク 代表取締役社長 兼 COO 若山 幹晴氏)
通期黒字化 アメリカで需要増
現在ポケトークはアメリカでの需要が高まっており、売上は前年同期比2.5倍で、2024年通期で黒字化の見通しとなっている。成長の背景には教育機関での導入拡大があり、アメリカで学区単位での受注を獲得。1学区あたりポケトーク1,000~5,000台規模、約1億円の受注が生じている。現在の導入率は、全米約14,000学区の約5%で、今後も導入拡大を見込んでいるという。
物流業界においても、英語でのコミュニケーションが難しい移民労働者が増加していることからポケトークの需要が高まっている。
「物流現場は倉庫に入る際に個人スマートフォンをロッカーに預けるため、専用端末で翻訳ができるという点でポケトークが評価されています。ただ翻訳ができるというだけでなく、翻訳の正確性と、翻訳した会話のセキュリティが担保されている点もポケトークの特徴です」(ポケトーク 代表取締役会長 兼 CEO 松田憲幸氏)
同様の理由から、医療現場や公的機関でのポケトークの導入も進んでいる。はやく正確な翻訳ができ、会話記録が残るため、英語での会話が難しい場合でもスムーズな対応ができるという。
「米国での売上が増えたのは、コロナ禍もきっかけ。それまでは観光需要を見込んでポケトークを押し出していましたが、コロナ禍で旅行者がいなくなり、そのタイミングでアメリカのゼネラルマネージャーから『移民が増えている米国では、観光と関係なくずっと言語の壁があるよ』と言われ、教育現場や公的機関、企業での利用に注目して舵を切りました。こうした現場で使われることを想定して、セキュリティ面を強化したポケトークS2の投入に至りました。翻訳アプリなどソフトウェアでの勝負だと競合他社がたくさんいますが、専用端末というのはあまりなく、今後もどんどん進化させいきたい」(松田氏)