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カレンダーアプリ「TimeTree」、GPTと公開カレンダーでグローバル展開へ

TimeTreeは25日、創業10周年を迎えるにあたり、カレンダーシェアアプリ「TimeTree」のこれまでの事業の歩みや今後の展望を紹介する説明会を開催した。代表取締役社長CEOの深川泰斗氏と代表取締役CSOの朴且鎮氏が登壇し、今後の機能強化やAI活用とともに、グローバル展開について説明した。

カレンダーシェアアプリ「TimeTree」は2015年3月24日よりサービスの提供を開始して以来、約200の国と地域、23の言語で展開している。今年の4月には、ユーザー数5,500万を突破。そのうち2,600万ユーザーが日本の登録ユーザーで、1カ月に約100万ユーザーが新規登録しているという。

TimeTreeの事業領域として、ビジネス向けには広告プラットフォームの「TimeTree Ads」と「MIRAIDSP」(外部配信)があり、コンシューマー向けには「共有カレンダー」と「TimeTree プレミアム」(サブスクリプション)を展開。今年4月にはビジネス、コンシューマーの両方の領域をカバーした「公開カレンダー」の正式版を提供している。

予定を広告にするTimeTree Ads

TimeTree AdsはTimeTree内の予定データにターゲティングできる広告プラットフォーム。予定に連動したサジェストメニュー「TimeTreeレコメンド」や、新商品の発売日やセール日など、特定の日付を訴求する「ターゲットデイ」を展開している。

代表取締役社長CEO 深川泰斗氏
TimeTreeレコメンド

また、習慣に焦点を当てた広告メニュー「習慣化広告」をリリース予定。例えばビールメーカーが「毎週金曜日をビールの日」として訴求する場合、TimeTreeアプリにバナー広告を配信。ユーザーが広告をタップすると「ビールデイ」として、カレンダーに自動登録され、金曜日に近づくと特別なリマインドが届く。この仕組みで、習慣化を自然に促す広告として機能するという。

「推し活」で利活用が進む公開カレンダー

「公開カレンダー」は、カレンダー形式でイベント情報を発信できるプラットフォーム。個人、企業問わず誰でも利用できる公開カレンダーの活用も進んでいる。例えば、ECサイトの楽天のセール情報を発信する「ECカレンダー」や、ABEMAで配信予定のヨーロッパサッカーの配信日などを発信する「番組カレンダー」などバラエティに富んでいる。自治体でも新潟市が公開カレンダーを活用しているという。

公開カレンダーを活用した新たな事業領域として「推し活」を挙げた。アイドル、お笑い芸人、VTuberなどのクリエイターがライブ配信日、チケット発売日などの情報を公開カレンダーを通じて発信している。これらはクリエイターや事務所が発信することもあれば、ファンが独自に推しのアイドルやタレントの公開カレンダー、共有カレンダーを作ったりするパターンもあるという。

公開カレンダーがこうした「推し活」に使われている背景から、ファンの「見たい」に答え、発信がより気軽に情報を届けられるための「公開カレンダーウィジェット」を11月にリリース予定だという。これは公開カレンダーを作成したアイドルなどのタレントが、ファンに向けて販売できるカレンダーウィジェット。ホーム画面に設置したウィジェットは日めくりカレンダーのようにカレンダーに登録された写真が表示される。深川氏は「壁に貼るアイドルのカレンダーなどから着想を得た」と語った。

100億を超える予定データでインサイト分析

TimeTreeは4月1日に未来総合研究所を設立。TimeTreeに蓄積された「予定データ」は累計100億を超えており、こうしたデータでインサイト分析を行なっている。例えば、「納車」の予定日から、その予定日前後の関連予定をデータに基づいて予測し、人々のライフスタイルの変化などを分析できる。こうした分析データの提供も行なっているという。

TimeTreeの今後の展望とCalendar GPT

朴氏は「今のインターネットは、ユーザーが頼りにしている情報がフェイクニュースで汚れている」と指摘。頼りになる情報を求めてユーザーが取捨選択をしているなかで、友達や家族同士で時間をかけて共有している予定が信用できる情報になるのではないかと語った。

代表取締役CSO 朴且鎮氏

2022年はDeep LearningやMachine Learningなど、AIのための学習が積極的に行なわれた結果、インフラ優位であった。その2年後の2024年では、AIがデバイスに搭載されはじめ、現在はデバイス優位の状況。さらに2年後の2026年頃には、デバイス優位からアプリ優位にプレイヤーが移り変わると予測している。こうした背景もあり、TimeTreeはAIの活用を進めている。

2023年7月にOpenAIのChatGPTとOCRを組み合わせた「予定スキャン」をリリース。学校のプリントや受信したメールなどの予定をOCRとChatGPTの力で読み取り、カレンダーに登録できる。他にも、蓄積された予定データを学習させ、TimeTree Adsなどにも活用を進めている。

なかでもTimeTreeが目指すのは、Calendar GPTを活用したTimeTree Agentの実現。Calendar GPTはユーザーのイベントやToDoを分析し、ライフサイクルやライフステージに基づいて次のアクションをサジェストする。例えば、面接の予定を登録すれば、面接回数や頻度を分析。子どもの誕生日を登録すると予防接種のスケジュールが自動追加され、引っ越しの場合は関連するToDoを自動生成する。TimeTreeは、予定を登録するだけで必要な予約が完了する未来を目指す。

TimeTreeはロードマップを公開。フェーズ1(2024年8月)に共有カレンダーの強化。フェーズ2(2024年9月)は共有カレンダーと公開カレンダー、生成AIに力を入れ、ユーザー数1億人を目指す。フェーズ3は(2025年3月~)で、フェーズ2までの内容に加えてグローバル展開を加速させたい考えだ。

既に韓国では、現地の広告代理店と連携し、TimeTree Adsを拡大。韓国でもK-POPや自治体との公開カレンダーの拡充を進めているとしている。

創業10周年を迎えるにあたり、ミッション・ビジョン・バリューも刷新する。