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「横浜駅西口大改造構想」始動 相鉄ムービル建替えからスタート

ザ ヨコハマ フロント 42階から見た横浜駅西口周辺の様子

相鉄ホールディングス、相鉄アーバンクリエイツは「横浜駅西口大改造構想」を発表。横浜駅西口周辺の大規模な再開発の本格検討に着手する。開発スケジュールは2020年代後半に相鉄ムービル建替えを行ない、その後2040年代までに横浜駅西口の“大改造”完了を目指す。

横浜駅西口では、終戦後の1952年に相鉄グループが土地を取得して、1956年の高島屋ストアと横浜名品街の開業を皮切りに本格的な開発が始まった。相鉄グループは現在、1973年開業の「相鉄ジョイナス」、1988年開業の「相鉄ムービル」、1998年開業の「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」、2024年4月から順次開業した「THE YOKOHAMA FRONT(ザ ヨコハマ フロント)」などを所有している。

横浜駅周辺の相鉄グループの所有物件
1952年当時の横浜駅西口
1956年当時の横浜駅西口
現在の横浜駅西口
相鉄ジョイナスおよび高島屋
相鉄ムービル
横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ
THE YOKOHAMA FRONT

開発着手から約70年が経過していることから、近隣の建物も含めて老朽化が進んでいる。一方で都内では新宿、渋谷、品川、池袋などで再開発による次世代の街づくりが進められている。

こういった背景から「横浜駅西口において何も取り組まなければ魅力低下につながる」(相鉄ホールディングス 代表取締役社長 滝澤秀之氏)とし、地域の人たちや地権者、横浜市と連携して、都市間競争を勝ち抜く魅力のある新しい時代に合わせた大規模開発やインフラ整備の実現を目指す。また、古いものを更新するだけではなく、「東京の再開発にはない独自の個性のある街づくりが必要不可欠」としている。

大改造構想の背景について説明する相鉄ホールディングス 代表取締役社長 滝澤秀之氏

横浜駅周辺の再開発に関しては横浜市が、横浜駅周辺地区において国際化への対応・環境問題・駅としての魅力向上・災害時の安全性確保などに取り組み、「国際都市の玄関口としてふさわしいまちづくり」を進めるための指針となる計画「エキサイトよこはま22」を掲げている。

エキサイトよこはま22のエリア
横浜モアーズの横の通りを入ったエリア
ザ ヨコハマ フロントの目の前の街並み。鶴屋町地区に当たる
南幸地区
相鉄所有物件である横浜ビブレも南幸地区にある
北幸地区

相鉄の大改造構想では、上位計画であるエキサイトよこはま22を踏まえ、世界の人々から選ばれる国際競争力を持った街づくりを官民一体となって推進する。その将来像をわかりやすく発信するため、現在の横浜駅西口の魅力に、「Well-being=豊かさ」をプラスした“Well-Crossing”というコンセプトを標ぼうして街づくりをすすめる。

横浜駅西口は、ターミナル性と繁華性を強みとして商業を中心に発展してきたが、その半面、街として商業や店舗に偏っているということが課題にもなっている。そこで相鉄グループでは、従来の魅力を活かしながら、働く、暮らす、遊ぶ、学ぶが交わる街へ進化させることを目指す。

加えて、横浜駅の東西の連携や、臨海エリア、相鉄沿線などと連携した街づくりも想定している。

2020年代後半から相鉄ムービルの建替え工事を開始。また、再開発準備組合が設立されている段階で地権者等との合意形成が今後必要となるが、相鉄ムービルに隣接する五番街地区や幸栄地区の開発も計画されている。

相鉄ムービルから幸川を挟んで向かい側にある西口五番街

街づくりにおけるソフト戦略については、「コンテンツ・サービス」「新産業の集積」「コミュニティの形成」の3つを重点テーマに掲げて推進する。例えば、新しいサービスやビジネスパートナー、24時間楽しめるエンタメに出会う、街の中での実証実験の実施、イベント運営や創作活動のお披露目にチャレンジといった活動を想定している。

公共空間の整備においては、エキサイトよこはま22における西口駅前空間のコンセプトである「HUMAN ENERGY CORE(ヒューマンエナジーコア)」を踏まえ、人が集い、街の回遊の拠点となる「ひとにやさしい空間」づくりを横浜市と連携して進める計画。駅前空間や親水空間を整備し、歩行者優先のウォーカブルな街づくりを目指す。

今後、大改造構想の本格的な始動に向けて、横浜市と連携して、地域の人および関係者へのアプローチを積極化し、検討を深度化する。

横浜駅西口の将来像について説明する相鉄アーバンクリエイツ 代表取締役社長 左藤誠氏
左藤誠氏(左)と滝澤秀之氏(右)