ニュース

デジタル庁の3年間 マイナカード/ポータルで住民サービス強化

デジタル庁は2024年9月1日に発足から3年を迎える。浅沼 尚デジタル監は8月30日、2024年の年次報告2024年1年の活動報告を行ない、マイナポータルの強化や、4年目の重点施策などについて説明した。

マイナポータルとマイナンバーカードを軸にデジタル化

マイナンバーカードの発行枚数が9,308万枚(7月末時点)となり、国民の75%が保有。運転免許証を超え、「日本で一番普及している本人確認カード」になった。マイナ保険証の登録は7,371万件、公金受取口座は6,320万件が登録されている。

大きく伸びたのが「マイナポータル」。デジタル庁になって、行政のオンライン窓口として重点的に取り組んできており、「窓口にいかずに手続きできる」ことを重視。この2年で利用が大幅に拡大し、マイナンバーカード保有者の77%がアカウントを登録し、オンライン申請や自分の情報の確認に活用している。

利用者のフィードバックから改良を進めており、サービス満足度は5割を超えた。具体的には子育て・介護が10万回、引っ越しが68万回、確定申告が753万回、コンビニ交付が3,318万回。オンラインで数分で申請できるため、利用者の時間短縮などに役立っているとする。

8月にリリースした「デジタル本人確認アプリ」のダウンロード数は3.9万。金融機関や古物商、携帯電話事業者などでのマイナンバーカードのICチップを使った厳格な本人確認を目指したものだが、200以上の団体がサービス利用を希望しているという。

マイナンバーカードの主要機能である「本人確認」は、JPKI(公的個人認証サービス)の導入事業者が566、本人確認数が5.6億回となった。

今後、住民向けサービスは、本人確認は「マイナンバーカード」、オンライン申請は「マイナポータル」に集約していく。また事業者向けの行政サービスは、事業者確認は「GビズID」に集約するほか、オンラインの窓口として「事業者ポータル(仮)」を2025年にα版をリリース予定。これらに行政デジタルサービスを集約していく。

なお、マイナンバーカード機能のiPhoneへの搭載については、予告通りの「2025年春」で変更なし。7割を超える普及率になったマイナンバーカードだが、iPhone対応などでカードを持ち運ばすに行政サービスを受けられる仕組みを作っていく。

アナログ規制については、全6,405条項のうち、4,365条項を完了。法制度の見直しとともに新技術の活用推進を図っている。

ガバメントクラウドやガバメントクラウドソリューションについては、「成果が見える形で現れている」と言及した。コスト最適化のみならず、省庁の職員の満足度も高いとする。

デジタルサービスの満足度を利用者視点で改善

今後の展開は、6月に策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づいて進める。計画では、デジタル化を通じて解決すべき重点課題として、「人口減少と労働力不足」「産業全体の競争力低下」「持続可能性への脅威」「デジタル化に対する不安やためらい」を定めている。

浅沼デジタル監は、「日本の行政デジタルサービスへの満足度は低い」とし、デジタルサービス利用の向上や体験向上、情報提供の強化、生産性向上のためのデジタル基盤、災害・サイバー攻撃への対応力強化などを課題にあげる。

目指す姿としては「利用者視点」での改革を推進。ライフイベントなどにおける行政サービス利用においては、デジタル化で、国民・事業者・職員の負担や面倒をなくす方向で推進する。そのために共通システムの開発と共用や、データ利活用を前提とした新システムへの移行、行政や産業におけるデータ利活用などを進める。

また、3年間で課題を残している点としては、省庁連携や、国やシステムの最適化、デジタル競争力が重要になる中での産業との関係強化など。4年目はこうした課題解決に取り組むとともに、「利用者とともにつくるデジタルサービス」、「関係省庁・自治体との連携強化」、「経営企画機能や企画・開発プロセスの変革」などに取り組む。