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グーグル、新フラッグシップスマホ「Pixel 9 Pro」 2サイズ展開でGemini強化

Googleは。新フラッグシップスマートフォン「Pixel 9」シリーズを8月22日から発売する。「Pixel 9」と「Pixel 9 Pro」、「Pixel 9 Pro XL」の3モデルを展開し、GeminiなどのAI機能やカメラを強化したほか、Pixel 9 Proシリーズは2サイズで展開する。「Pixel 9」と「Pixel 9 Pro」は6.3型、「Pixel 9 Pro XL」は6.7型ディスプレイを搭載する。価格は128,900円~。

Pixel 9シリーズ

また、折りたたみ型のスマートフォン新型「Pixel 9 Fold 2」やスマートウォッチの「Pixel Watch 3」、イヤフォン「Pixel Buds Pro 2」を発売する。ここではPixel 9シリーズについて紹介する。


    【価格】
  • Google Pixel 9 128GB:128,900円
  • Google Pixel 9 256GB:143,900円
  • Google Pixel 9 Pro 128GB:159,900円
  • Google Pixel 9 Pro 256GB:174,900円
  • Google Pixel 9 Pro 512GB:194,900円
  • Google Pixel 9 Pro XL 128GB:177,900円
  • Google Pixel 9 Pro XL 256GB:192,900円
  • Google Pixel 9 Pro XL 512GB:212,900円
新Pixelシリーズ。Pixel 9シリーズのほか、Pixel 9 Fold 2やPixel Buds Pro 2、Pixel Watch 3が新発売となる

2サイズになった「Pro」 画面も明るく

Pixelシリーズのフラッグシップモデルが一新。新世代「Google Tensor G4プロセッサ」や16GBメモリを搭載するほか、「Gemini」によるAI活用などが特徴となる。Pixel 9 Pro/9 Pro XLとPixel 9 Pro Foldの購入者は、AI機能にアクセスできる「Google One AI プレミアム プラン」(2,900円/月)が6カ月間無料で利用できる(Pixel 9は対象外)。OSはいずれもAndroid 14。

Pixel 9 Pro XL(左)とPixel 9 Pro(右)

Pixel 9 Pro/9 Pro XLの主な違いはディスプレイサイズ。Pixel 9 Proは6.3型/1,280×2,856ドット(495ppi)、Pixel 9 Pro XLは6.7型/1,344×2,992ドット(486ppi)で、いずれもLPTO OLED「Super Actuaディスプレイ」で明るく、没入感あるディスプレイを採用する。

ユーザーからの意見を参考に、最上位のProシリーズでも好みに合わせてサイズで選べるようにした。アスペクト比はいずれも20:9、フレームレートは1Hz~120Hz。輝度は2,000nit(最大2,700nit)で、従来モデルより明るさが35%アップした。

Pixel 9 Pro XL

Pixel 9は、6.3型/1,089×2,424ドット(422ppi)のLPTO OLED「Actuaディスプレイ」、フレームレートは60Hz~120Hz。輝度は1,800nit。

Pixel 9

メモリはPixel 9 Pro/Pro XLが16GB、Pixel 9が12GB。ストレージは128GB/256GBで、Pro 9/Pro 9XLは512GBが選択可能。最新のTensor G4プロセッサを搭載し、AI機能を強化。Tensor G4は、スマートフォン上でテキスト・画像・音声を理解できるマルチモダリティを備えたGemini Nanoを実行する初のプロセッサとなる。

カラーは、Pixel 9 Pro/Pro XLがObsidian、Porcelain、Hazel、Rose Quartzの4色、Pixel 9がObsidian、Porcelain、Wintergreen、Peony。

Pixel 9 Pro
Pixel 9 Pro XL
Pixel 9

Google Pixel 9 Pro/Pro XLは、「Google 史上最高」というカメラシステムを搭載。トリプル背面カメラ、42メガピクセルの前面カメラのほか、多くの撮影機能を搭載。Google Pixel 9 Proでは、動画でも超解像ズーム機能が利用可能で、動画ブースト機能で解像度を8Kにまで引き上げできる。

Pixel 9 Pro XLのカメラ部

背面カメラは、50メガピクセル(広角)、48メガピクセル(ウルトラワイド、マクロフォーカス付き)、48メガピクセル(5倍の望遠レンズ)で、最大30倍の超解像ズームと0.5倍、1倍、2倍、5倍、10倍の光学ズームに対応する。新たに、超解像ズーム機能が動画撮影でも利用できるようになった。

Pixel 9 Pro XLとPixel 9 Pro

Pixel 9はデュアル背面カメラで、50メガピクセル(広角)と48メガピクセル(ウルトラワイド、マクロフォーカス機能付き)で、超解像ズームは最大8倍。0.5倍、1倍、2倍の光学ズームを搭載する。前面カメラは、10.5メガピクセルDual PD自撮りカメラ(オートフォーカス機能付き)。

Pixelシリーズでは、パノラマ撮影をアップデート。これにより、暗い場所でも高品質のパノラマが撮影できるようになった。13日(米国時間)に開催されたMade by Googleの発表会ではiPhone 15 Pro MAXとの画質を比較し、Pixel 9 Proの優位性をアピールした。

Pixel 9 ProとiPhone 15 Pro MAXのローライトパノラマ画像の比較

また、Pixel 9 Pro/Pro XLの「動画ブースト」も強化。ビデオ夜景モードの処理速度が 2倍になり、さらに 48MP 5倍望遠レンズを使用して、超解像ズーム動画で最大20倍の高解像度ズーム動画に対応。「最高画質のビデオスマートフォン」とアピールした。

夜景モード、天体写真、ポートレートモードなどの撮影モードのほか、編集マジックや消しゴムマジックなどの編集機能も搭載する。編集マジックは、数回のタップ操作でAIが背景を編集し、被写体を移動。切り抜き位置の提案や景色を広く見せるための画像の拡大などに対応する。

Pixel 9シリーズの新機能として「一緒に写る」を搭載。グループの写真撮影時に「撮影者」を別撮りする機能で、グループ撮影の後で撮影者を交代し、もう1枚写真を撮って2枚の写真を合成できる機能。また、「ベストテイク機能」では、連射などで撮影した複数の写真から、皆のよい表情を選んでベストな表情の写真を作成できる。

「一緒に写る」。まず“中央を空けながら”2人の写真を撮影
撮影者が“中央”に入って撮影
合成して

編集ツールでは、写真撮影後の作業も補助。編集マジックは、フレーミングを自動的に再調整できるほか、最適な切り抜き位置の提案や選んだ被写体の拡大を行なう「オートフレーム」などの機能を搭載する。また、言語設定が英語の場合、新機能の「イマジネーション」を使うと、紅葉や緑の芝生を追加できる。

オートフレーム

Pixel 9シリーズは、いずれも本体は100%リサイクル素材のアルミニウムを使用し、Corning Gorilla Glass Victus 2 カバーガラスやメタルフレームを採用。カメラ部のメタルフレームがデザイン上の特徴となる。

Gemini Nanoをスマホ上に対応 本格的なAIスマホに

AI機能の「Gemini」も搭載。電源ボタンの長押しでGeminiを起動して、文章の作成や、イベントの計画などでGeminiを活用できる。電源ボタンの長押しは、Google アシスタントとGeminiの選択式だったが、Pixel 9シリーズではGeminiが初期設定となる。

Pixel 9シリーズに搭載したTensor G4は、スマートフォン上でテキスト/画像/音声を理解できるようにするマルチモダリティを備えたGemini Nanoに対応した初のプロセッサとなり、オンデバイスでのマルチモーダル性能を向上している。

Tensor G4のGemini Nanoにより、Pixel 9シリーズ上で写真や音声などのマルチモーダル対応を強化。例えば食材の写真を撮影して、「この食材を使ってレシピを作って」などとGeminiに依頼すると、写真からレシピを作成してくれる。また、「Gmailに来ている今月の沖縄旅行の航空券の情報をまとめて」と依頼すると、予約完了メールから飛行機のスケジュールや問い合わせ先などを表示。出典元となるメールへのリンクが付いており、詳細を確認できるようになる。

食材の写真からレシピを作成

Geminiでは、Google ドキュメントなど、Googleサービスで未読のメッセージやドキュメントの要約も可能。

Google ドキュメントの議事録からGeminiでイベント情報を抽出

言語設定を英語にし、「Google One AI プレミアム プラン」限定となるが、スマートフォンやPixel Buds Pro 2からGeminiと会話できる「Gemini ライブチャット」に対応。英語でGeminiに質問して、面接の準備やプレゼントのアイデア出しなどで活用できる。

また、オンラインで見つけた画像の背景や文脈を調べる「この画像について」機能では、画面上の調べたい画像を丸で囲んで検索できる。また、その画像がAIで作成された場合、その情報もあわせて表示する(画像に適切にデータが付与されている場合)。

「緊急SOS」にも対応。緊急時に電源ボタンを5回押せば、Pixelが緊急サービスに通報し、連絡先に位置情報を共有する。米国では衛星を使った緊急SOSにも対応する。

米国では衛星を使った緊急SOSに対応

ディスプレイ内センサーによる指紋認証と顔認証機能を装備。SIMはデュアルSIM(ナノSIM×1とeSIM)。Wi-Fi 7、Bluetooth v5.3、NFC、Google Castなどに対応する。従来のPixelシリーズと同じく、7年間のソフトウェアサポートを提供。OSアップグレードとセキュリティアップデート、定期的な新機能アップデートが含まれる。

外形寸法と重量は、Pixel 9 ProとPixel 9がほぼ共通で72×152.8×8.5mm、199g(9 Pro)/198g(9)。Pixel 9 Pro XLが76.6×162.8×8.5mm、221g。

バッテリー容量と駆動時間は、Pixel 9 Pro/Pixel 9が4,700mAhで約24時間以上、Pixel 9 Pro XLが5,060mAhで24時間以上。いずれもQiによるワイヤレス充電に対応する。充電端子はUSB Type-C。

新Pixel 9シリーズ

なお、Google ストア限定の発売記念特典として、対象スマホの下取りと次回以降に使える Google ストアクレジットの付与で、Pixel 9、Pixel 9 Pro、Pixel 9 Pro XLが実質39,800円~購入可能なキャンペーンを9月2日まで実施。また、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの各キャリアも販売する。

全てのAI体験を持つGoogleの強み

13日に開催されたMade by Google発表会は、先日逝去した、YouTubeの前CEOでGoogleの初期メンバーであるスーザン・ウォジスキ氏の写真からスタート。同氏は広告事業やYouTubeをリードしただけでなく、彼女がラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンに貸したガレージからGoogleがスタートしている。写真の紹介以外の言及はなかったが、今回の発表の中心となるAIとハードウェアについても、Googleが積み上げてきた様々な技術的蓄積を活かしたものであることがアピールされた。

プラットフォーム&デバイスを統括するRick Osterloh氏は、「Google アシスタント」からの最大の変化として、「Gemini」について言及。新たなハードウェアでGeminiが音声を含めた「生活のパーソナルアシスタント」になると説明。Pixelシリーズだけでなく、多くのAndroidデバイス、イヤフォンがGeminiに対応していく。

Geminiは、Googleサービスの全てのレイヤーで採用。AndroidがAIを前提に設計されているだけでなく、Google WorkspaceやGoogle ドライブなどのGoogleアプリ、基盤モデル、Tensorプロセッサなどの半導体、クラウドインフラを含めて、全てのレイヤーでAIを統合。「End to Endで体験を設計できるのはGoogleだけ」と強調し、新Pixel 9シリーズは「Gemin時代を前提にした初のスマートフォン」とする。

新たなAI機能としては、音声通話履歴を後で確認できる「Call Notes」を紹介。通話履歴をデバイス上で文字起こしし、後で確認できる機能となる。また、新機能の「Pixel ScreenShot」ではスクリーンショットを整理して、Wi-Fiパスワードをコピペしたり、レストラン情報を抽出可能とする。多くのAI機能とともに、自社のクラウドサービスとオンデバイスAIによりプライバシー保護する点も強調した。

Call Notes
Pixel ScreenShot