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パナソニック、"曲がる太陽電池"を26年にテスト販売

パナソニック ホールディングスの技術部門は、2040年の未来にありたい姿とその実現に向けた研究開発の方向性を示す「技術未来ビジョン」を策定した。2040年に実現したい未来を「一人ひとりの選択が自然に思いやりへとつながる社会」とした上で、どのような形で次世代に繋いでいきたいかを示し、実現に向けて共創に取り組む羅針盤とする。

技術未来ビジョンのポイントは下記の通りで、「一人ひとりの選択が自然に思いやりへとつながる社会」の実現に向けた3要素と“めぐる”姿を定めた。

  1. 資源価値最大化(エネルギー・モノ・食)
    日々の生活の中にグリーンで安心安価なエネルギー・資源が“めぐる"
  2. 有意義な時間創出
    日々の時間の使い方の中に生きがいが“めぐる"
  3. 自分らしさと人との寛容な関係性
    心地よい心身の状態でまわりの人との関係性の中に思いやりが“めぐる"

(1)は、サステナブル領域において、グリーンで安心・安価なエネルギーや資源を行き渡らせることを目指し、(2)と(3)は、(1)を前提に、くらしのウェルビーイング領域において、自分や友人・家族・コミュニティ・自然との関係に生きがいや思いやりを行き渡らせることを目指す。それぞれの循環を生み出す取り組みが、社会課題を解決していく力になるという。

特に資源価値最大化については、「曲がる太陽電池」や「発電するガラス」としても知られる「ペロブスカイト太陽電池」の実用化を目指し、2024年度中に1×1.8mモジュールの試作ラインを立ち上げる。その後、2026年に建材一体型太陽電池のテストマーケティングを開始する予定。元々テストマーケティングは2028年を予定していたが、大きく前倒しをする形で進めている。

ペロブスカイト結晶を発電層とする「ペロブスカイト太陽電池」はフレキシブルで軽量、印刷・塗布技術を使って安価に製造でき、一般的なシリコン系太陽電池では設置が難しい場所にも設置できるといった利点がある。ガラスに直接形成するなど、設置場所を選ばず景観と調和するため、消費電力が大きい都市部でもエネルギーの地産地消を実現するという。発電効率は世界トップクラスとする18.1%を目指し、ディスプレイ製造技術で培った大面積・サイズフリーに対応する自社開発装置を活用する。