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アマゾンで処方薬を買える 「Amazonファーマシー」開始
2024年7月23日 13:29
Amazonは、薬局による服薬指導から処方箋の配送まで利用できる新サービス「Amazonファーマシー」を7月23日に開始した。アインホールディングス、ウェルシアホールディングス、薬樹、ユニスマイルなど薬局各社の対象店舗2,500店が対応する。
Amazon ショッピングアプリから、「Amazonファーマシー」に登録されている薬局で薬剤師によるオンライン服薬指導をうけたあと、処方薬を自宅など指定の場所に配送できる。また、薬局の店舗での受取も可能。
対象店舗は、アインホールディングス、ウェルシアホールディングス、クオールホールディングス、新生堂薬局、中部薬品、トモズ、ファーマみらい、薬樹、ユニスマイルなど。
Amazonファーマシーは、電子処方箋に対応している医療機関で診療をうけることで利用可能になる。メドレーのクラウド診療システム「CLINICS」導入の医療機関でオンライン診療を受けることでも利用可能。
利用時は、Amazon ショッピングアプリのホーム画面からAmazonファーマシーをタップ。医療機関で発行された電子処方箋をアップロードすると対象薬局が表示され、薬局選択後にオンライン服薬指導を予約する。予約時間前にはスマホに通知があり、アプリからビデオ通話に参加して服薬指導を受ける。
服薬指導終了後、薬の注文が確定し、配送状況を確認できるようになる。希望すれば、配送ではなく店舗で処方薬を受け取ることも可能。
医療機関によっては電子処方箋が紙で渡されることもあるが、アプリから撮影してアップロードすることで手続きができる。
なお7月23日現在、電子処方箋に対応したオフライン診療を行なう医療機関は一部に限られている。厚生労働省が公開している電子処方箋対応の医療機関リストを見ると、新宿区においては7件のみとなっている。
一方、メドレーのクラウド診療システム「CLINICS」でオンライン診療を行なう医療機関は多くあり、7月23日現在新宿区では50件が対象となっている。
今回のオンライン服薬指導は、オンライン診療ありきのサービスになるのか記者から問われると、アマゾンジャパン 消費財事業本部 事業本部長 ディレクター 筒井剛氏は「Amazonファーマシーは薬局をパートナーとしており、オンライン診療を利用するかはユーザーの判断となります。オンライン診療を利用すればそのままオンライン服薬指導も受けられ、すべてがオンラインで完結できるといったメリットがあります」と回答した。
Amazonでは、高血圧や糖尿病、花粉症など、慢性疾患などで定期的に処方薬を必要とする人や、子どもの待ち時間を減らしたい人などが利用可能とし、薬の変更が比較的少ない人に向けたサービスとしている。1つのAmazonショッピングアプリのアカウントで10名まで登録できる。
「ここ最近も猛暑が続いていますが、外を出歩きにくいときにもオンライン服薬指導が有効です。薬を定期的にもらうことが多い高齢者にもメリットが大きいサービスだと思います。操作方法もできるだけわかりやすくなるようにこだわって作りました」(アマゾンジャパン 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデント 前田宏)
Amazonファーマシー導入にあたり、薬局側の初期費用等は発生しない。薬の売上に対し、売上は薬局側が管理し、一定の手数料をAmazonが徴収する形となる。配送手続きは各薬局が行なう。
Amazonファーマシーのメリット
23日に開催された記者発表会では、俳優の瀬戸朝香さんと医療法人長久堂野村病院 薬剤科 科長 荒川隆之氏がトークセッションに登壇。
瀬戸さんはオンライン服薬指導について「店舗で薬を待つ必要がないので他のことに時間を当てられますし、薬剤師さんに相談したいこととかをオンラインでできるのが良いなど思いました。プライバシーを守れますし、これ聞いていいのかなということも聞きやすく、不安を解消できそうです」とコメントした。
荒川氏は「生活習慣病を患いながらも忙しくてなかなか病院に行けない人などが向いているサービスだと思います。また、患者だけでなく医療従事者側にもメリットがあります」と話す。
「病院の薬剤師だと入院患者の薬情報を確認する必要がありますが、電子処方箋なら他の病院でもらった薬もすぐに把握でき、作業負担を軽減でき、薬剤師が他の業務に集中できます。勤務時間の幅も広がり、夜間の方が働きやすい薬剤師にも新しい働き方ができそうです。Amazonがこのサービスを始めることで、オンライン服薬指導の認知が広がることを期待したいと思います」(荒川氏)